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リベラ・メ [丁寧に暮らしたい]

 2007-10-23(Tue)
■「Libera me. われを解き放て」とこの世の重荷から自由になった馬がいる。
【主席】が21日の日曜日夕方に亡くなった。
元気になってきて軽い運動も始めたところだったのに…
黒砂糖をあげて首筋をなでた木曜日が最後になってしまった。

■「心が疲れてしまった」と先週末からクラブに行く気にならなかった。
月曜日もいつになくグズグズと出かけると、休日にしかお目にかからない男性会員の方がスーツ姿で花束を持って車から降りてきた。
「ふう〜、今日も気持ちのいい秋晴れだなあ」なんて空を見上げて深呼吸をしていると、声をかけられた。
「【主席】が昨日亡くなったんです」
凍り付いてしまった。
「まさか…」
「昨日の5時頃亡くなって、それで今日家にあった花を持ってきちゃいました」
頭の中にいろいろなことが駆け巡る。
クラブの駐車場に入る時にスタッフが揃って歩く姿をいぶかしく感じたのは、あれは遺体搬出の最後のお見送り直後だったのか…
なぜ私はいつも通りの時間にこなかったのか、そうすればひと目でも会えたかもしれなかったのに。
なぜ、週末にいつものように様子を見に来なかったのか。
限りある命とは知っていたし無理矢理つなぎ止めてはかえってむごいとも感じていた。
でも「ああ、ひと安心だわ」と感じた矢先に、すり抜けていってしまった。
■その場から動けなかった。
レッスンのために来たのに、予約してありスタッフも馬も待っているのに、【主席】のいない馬房を見るのが怖くて。
「今日はダメです」と逃げ帰ろうとも思った。
迷ったあげく「私を乗せて教えてくれた恩義に報いるのは、乗って上手くなるしかない」と自分を叱って馬場に向った。
今は何も見ない、何も聞かない、涙が止まらなくなりそうだから。

■レッスンも終わりお昼を過ぎて、【主席】ゆかりの人達と馬房に置かれた祭壇に手を合わせる。
日曜日は朝までは食欲もあり元気だったのが、昼前から調子を崩したようだった。
獣医さんが呼ばれて鎮静や点滴の処置をして「とりあえず」と様子を見ているうちに、この世の全てから解き放たれていった。
呼吸が止まった時もちゃんと見守られてひとりではなかった。
最後のケアもスタッフに丁寧にしてもらえたらしい。
形見のたてがみは、きれいな三つ編みに束ねられていた。
■顧みる人もないまま死んでいく馬たちがいる現実を考えれば、老いて大事にされ病んで看病され死んで弔われる馬は幸せなのだと思う。
「これ以上寒くなって節々に来るのはかなわん」と旅立っていった【主席】を見送る私は、悔やむことも嘆くこともない。
ただ、振り返っても彼がいないことが寂しい。
たまらなくさびしい。

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2007-08-25 : 小康状態
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