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オーバーホール [丁寧に暮らしたい]

 2007-06-02(Sat)
■私はひどい喘息で、死なないために大量の薬を長期にわたって使っている。
抗原暴露を減らすためのマスクなのに、花粉症の季節が過ぎるとひとりだけマスクをつけているのが恥ずかしくなる。
ついマスクなしで馬の手入れをしたら、てきめんに体調悪化。
これだけが原因ではななく、蒸し暑さと肌寒さが交互にやってくるこの時期の天候も多いに関係がある。
とにかく日常生活を送る限界線を突き破ってしまった。
血中の酸素濃度が減ると身体が動かせなくなる。
「どうして何もやる気がしないのだろう」
「やらなくちゃいけないのに、おっくう」と昔は自分のぐうたら加減にあきれかえっていたが、いまでは自覚的酸素濃度モニターと看破した。
■低迷を続けるPF(ピークフロー)に対して、主治医と相談してステロイドをドンと内服することにした。
「いったんリセットして、また維持療法に切り換えればいいから」
恐るべしプレドニン。
PFはあっという間に自己ベスト値になり、気道粘膜の腫れがひいて嗅覚が3年ぶりにもどってきた。
くん、くん、くん。
わずか10日足らずの匂いの世界。今のうちにいろいろ嗅いでおこう。
猫の肉球、バラのつぼみ、洗濯物、ダージリン…
血中酸素飽和度が98%近くまで上がると信じられないくらい活動が楽になる。
世界が明るい、頭すっきり、歩くのも走るのも自由自在。
健康な皆さんはいつもこんな感じで動けるんだなあ〜、いいなあ。
■効果はあるが反動も大きい治療。
全身に水分を抱え込んで体重が激増。脳みそが浮腫んで眠くて死にそう。
ニキビが増えてシミも濃くなる。
抵抗力がなくなるから、ひっそり潜んでいた感染巣が暴れ出す。
私の場合は、虫歯まわりと副鼻腔炎、中耳炎。
治療を強化して普通に暮らせるレベルにもどすことを目指したけれど、あちこちぼろが出てきて困った。
■「調子悪くなるなら、馬も猫も諦めるべきかも」と時々考えるが、
大量の薬でコントロールしてでも走れたり馬に乗れたりできる今の人生の方が、半分窒息しかけで生きているよりQOLが高いのだ。
贅沢なことである。
こうやって手に入れたエセ健康生活、世のため人のために使わないと罰が当たる。


494鞍目 初の反対駆歩 [第12章 初級騎座拳安定編]

 2007-06-07(Thu) 合同クラス 通算494鞍目
■「あ〜馬に触りたい、馬に乗りたい」
維持療法に切り換えても問題ないという見極めがつく前に予約を入れてしまった。
わずか1週間で体重が4kgも増えているんだが、キュロットや長靴は入るだろうか?
まあ、よし。
いろいろな体調の時に馬に乗って、どうなるか自分の身体で実験してみようじゃないか。
■クラブに行って馬たちに挨拶して回る。
やっぱり、馬はいい。
YouTubeでアンキーの馬場馬術の演技を見たり、日本ダービーで牝馬が勝つ場面を楽しむより、実際に触れて乗れる方が絶対にいい。
■本日はどなたがお相手かな?と配馬表を見ると【山桜】になっている。
気心が知れている彼となら安心して乗れる。よかった。
【霧丸】に乗る駆歩クラスの方と合同でゴンちゃん先生に見ていただく。
この組み合わせなら、Let`s enjoy riding ! の時間になる。これまた、よかった。
■難しいことはやらないで、馬に乗ることを楽しむ。
扶助に敏感でちゃんと前に出てくれるから、自分の手や脚に意識が向けられる。
水勒だけで乗っていると手綱の感触がとても気になる。
馬が動き出すにつれて「もっとしっかり手をつなぎたい」という感じなり、
巻き乗りをすれば「うわ〜もどかしい」という不満感がたまる。
もう自動的に手綱を短く持つようになったのだが、短いまま持ち続けるのがちょっとお留守になる。
「しまった、また伸びてきている」と持ち替えたり、
「こんなフワッと持っていていいのかなあ」とあれこれ握り換えてしまう。
すると【山桜】から「なにやってんだよ〜」「そんなことされると気が散るじゃない」という不機嫌オーラが手綱から返ってくる。
目に見えて首を振ったり、リズムが崩れるわけではないが、
ハミをくわえている感じが微妙に変わるのだ。
ちょうど手をつないでいるときに、相手方がこちらの握り方から逃れるようにわずかに指を動かすような感じ。
「あっ、ごめん」「こっちの都合だけでやっちゃった…」
〈脚をつかってから手綱を〉などの注意点が身にしみてわかる。
馬にとって必然性のある手綱でなければ、安心してハミに頼れないのだ。
■「じゃあ、駆歩もしましょう」とゴンちゃん先生の指示で長距離駆歩へ。
蹄跡から輪乗りに入る所で、外側の鐙が外れてしまう。
鐙なしで駆歩に乗り続けるには、膝でつかまって重心が上がると転げ落ちるので、なんとしてでも脚を長く伸ばしていなければならない。
「下に長くおろし続ける」と意識することでかえって駆歩が楽に乗れてしまう気がする。
鐙がない方が駆歩は楽だと実感するが、速歩に落ちる瞬間に身体を支える物がなくて慌ててしまう。
速歩に落ちない、急に方向転換しないという確信があれば駆歩の鐙上げをもっとやってみたいなあと思う。
■簡単に鐙が脱げたところを見つかったためかゴンちゃん先生の指示は、
長蹄跡 60mを2ポイントで短蹄跡を座った駆歩に。
このエクセサイズのいい所は、駆歩で鐙を踏む感覚が養われるのと
どんな体勢になっても手綱の張力を一定にする必要性がわかるところなのだ。
ラリホ〜と楽しんで乗っていると、
「今度は肩後ろにして脚使って、長蹄跡で駆歩伸ばしましょう」の指示。
60m あるので伸ばした駆歩が気持ちいい。
左右の長蹄跡で2ポイントと伸ばした駆歩、短蹄跡で3ポイントの詰めた駆歩とメリハリのついた走りを何周もする。
そうなのだ、これだけ滞駆歩時間があれば自分がどう乗っているのか検討することができる。
手の小指あたりにいつも鞍が触れている感触ー拳が下がっている証拠
外方の肘が腰の脇に来ている感じ。
脚の扶助も普段はふくらはぎで、もっと推進しなければと思った時だけ踵を使う。
肩甲骨がくっ付いて、胸骨と鎖骨のつなぎ目にワイヤーがついて斜め前に引っ張り上げられている感じ。
地上からあれこれ注意されて、あわてて直すのではなくて
馬に乗りながらいま自分がどう乗っているのかひとつひとつ確認してみる。
■伸ばした駆歩から身体を起こして脚を使うと、上にあがるような乗り心地に変わる。
うわー、折り返し手綱がなくてもメリーゴーランドのお馬ちゃんに乗れる。
楽しい〜 気持ちいい〜
■「じゃあ、もちぇさん頑張って斜めに手前を換えてみましょう」
頑張らなくても今の【山桜】ならオチャノコサイサイ。
「そのまま駆歩続けて!」
「そのまま〜蹄跡に出て〜」
うわッ【山桜】の馬体がねじれてる。
右手前駆歩を嫌がる【グプタ】と同じじゃないの。
馬場の内側に見えない埒があって、それに身体をこすりつけながら走っているような感じ。
短蹄跡を回って長蹄跡に入ったところで「速歩、軽速歩〜」の号令。
「今のが反対駆歩です、駆歩のリズムとバランスが崩れなければ速歩に落ちたりせずに続くんですよ」とゴンちゃん先生が解説してくれる。
よく【杏爺】の右手前駆歩で逆手前が出て、その度に「気持ち悪い」と思ってきたが
この気持ち悪さを我慢して走らせるわけか…
見えない埒に馬体をこすりつけながら走る感覚って、
す〜とかふわっと表現する快の感覚とはちょっと違う。びみょー。
手前を換えて再び、駆歩で斜めに手前をかえてそのまま反対駆歩もやってみる。
さすが【山桜】だけあって、こちらも難なくやってもらえた。うれしい。
■スパルタと噂されるゴンちゃん先生のレッスンで、とてつもなく長距離の駆歩をした。
前回とちがって、治療の効果で息切れすることもなく苦しまずに馬に乗れた。
運動するのは馬とは言え、やっぱり乗馬はスポーツなのだからベストコンディションで乗れるよう日頃から気をつける必要があるのだ。
■レッスンの後は、かえって調子がいい。
びくびくして損した。
乗馬はどんなスポーツよりも私に合っている運動なのかもしれない。



495鞍目 右肢でお手してごらん  [第12章 初級騎座拳安定編]

 2007-06-09(Sat) 初級クラス 通算495鞍目
■本日は【チャンドラ・グプタ】にお相手をいただいて、
【毒うま】くんとの2騎部班。
ゴンちゃん先生のレッスン。
■【グプタ】は朝からビギナークラスでのお仕事が続いたらしい。
取りあえずのんびり動いていればいいかなという雰囲気から抜けきれず、
「もうちょっと前に出て」とせかす私とぶつかる。
この〈取りあえず動く〉状態が曲者。
まあいいかと追求しなくても形だけは運動しているので部班レッスンはすすむ。
でも、こんな動きではダメなのはわかっている。
コンタクトをとらなくてはと手綱をとれば「ぎりぎりぎり」と歯ぎしりが聞こえてくる。
ああ手綱だけが強くなっているんだろうな〜
前に出すのは難しい。
■駆歩もしてレッスン最後の5分というところで、
ようやく「よし、いいぞ」という速歩になってくれる。
乗り心地が全然違う。柔らかく力強く弾んで気持ちのいい動きになる。
ああ、レッスン時間の半分はこんな動きをしてくると楽しいのに。
■レッスン後、ちょっとだけ草地のプチ散歩。
午後の仕事に備えてリフレッシュできればいいなと考えてのこと。
【グプタ】は草を食むのに右肢を曲げ左肢を前に投げ出す姿勢をとることが多い。
左右逆には決してならない。
【グプタ】が右駆歩を嫌っているのと関係があるのかも。
右前肢を前に出すのが不自由なく楽になるといいのに…


競技会をまるごと楽しむ [丁寧に暮らしたい]

 2007-06-16(土)&06-17(日) 県民総体&国体県大会
■今回はご縁があって、県大会のまるごと2日間全競技を楽しむ経験ができた。
競技会観戦(参加)5回目にして、ようやく競技会の全体像がわかってきた。
これまでは、関心のある人馬の競技のみを応援して「では、お先に」と帰るパターンだっただけに、第1競技から最終競技まで見届けて「やったぜコンプリート!」と妙な達成感。
しかも、競技の裏方をちらりと垣間見る機会があって、これまたびっくり。
「今後は、審判に心を込めて敬礼しよう」と思うようになった。
■馬場馬術、障害飛越の両競技を、初級者クラスから国体予選クラスまで通して観ると、ひとつひとつ積み上げて難しくなっていくというのがよく分かる。
120cmの障害を見て「こんなもん飛べるわけがない」と思うのではなくて、
「今やっているクロスバーの練習がこの高さに繋がっていくのだ」と素直に思える。
■競技会では「いかに正確に優美に、より高くより速く」が求められる。
これは馬に乗れることが大前提。
水泳やシンクロが、水を怖がらず自由に動けることが前提なように。
何の苦もなく上達の階段を上っていく方々は、
「馬や水を怖いと思う経験をせずにすんなりと来たのだろうなあ」と
ひらりと障害を跳び越える年若い人の姿を見て思った。
駆歩する馬に乗るのが怖かった私は、階段の一段目が登れなくて苦労しているわけだ。
競技会の中級上級クラスの高みから見下ろすと、高層ビルから地上を眺めるようで
「一段目が登れないなんて論外!」というより「離れ過ぎて気が付かない」
競技会でいい成績を出す指導員が、初心者やトラウマ経験者を上手く教えられないのは当然なのかも…
なんてことも、ふと考えたりする。
■そして、今回一番驚いたことと言えば、
「競技会とは、なんと大勢の労力で支えられているか!」
障害競技は、競技ごとにコースデザイナーが障害間距離を測り高さを測り障害を組んでいるのだ。
あの長い棒や大きな箱やフェンスをひとつひとつ人が運んで動かしている。
走行中に障害を壊してしまえば、すぐに走りよって組み立て直し馬場を整地する。
落下のみならずバーに肢をあてただけでも次の走行前に確認をしている。
炎天下や雨の中でも、最後までつとめを果たさなければならない使役の人達。
また、審判もストップウォッチで時間を計っているだけと思っていたのに、
3人以上が細かく走行を見守っている。
競技結果の集計にはさらに多くの人手がかかって、ジャッジシートや結果一覧表が各クラブに渡るようになっている。
選手にとっては、馬場で長くても6分間、障害なら1分以下で終わってしまうので「たったこれだけなのに」と思えるかもしれないが、
「あなたのかけがえのない瞬間のために、多くの人の労力と集中力が注がれているのだ」とわかると、
この競技を支えてくれる方々を代表して、審判に心を込めて敬礼するのが礼儀というものだと思えてきた。
ついその次の経路のことで頭が一杯で、形ばかりの敬礼になりがちな自分を反省した。
■選手の立場からしても、競技会は馬や人の準備で手がかかる。
しかしそれ以上に競技会運営にも手間暇がかかっている。
馬術って、本当に贅沢。
だからこそ、競技会を楽しむ心のゆとりが大切なのかも。
(馬場外から怒号を浴びせるのは、やめてほしい…)


496鞍目 乗らなきゃ始まらない [第12章 初級騎座拳安定編]

 2007-06-18(Mon) 初級クラス 通算496鞍目
■週末ひたすら騎乗姿を見続けたせいか、
「あれこれ御託を並べても、馬に乗らなきゃはじまらない」と思い至る。
体調も戻りつつあるので「乗せてくださいっ!」とクラブに飛び込む。
■私の相手をしてくれたのは【アレフ・ゼロ】
【アウグスティヌス】との2騎部班。
■下乗りをしていただく段階から、【アレフ】の首の位置が気になってしょうがない。
なんだか首が長くて、駆歩していても首が弧を描いて垂れ下がっている感じに見える。
「普通馬って、あんなに垂れ下げて駆歩しないんじゃないかなあ」
「もっと首を起こして、しゃきんとコンパクトになるといいのに」と思えてくる。
4%先生の手綱の長さを見ると、ピッチマークが6〜7個はありそうな長さ。
「準備運動の段階だから長めで運動しているのかな?」
■乗り替わってレッスン開始。
基本的な運動で内方姿勢の練習。
乗りながら、ひたすら「もっと近くに来て」が私自身の課題になる。
4%先生が「手綱はもっと短くできるはず」「腕を伸ばしきらないで、肘を引いて」「もっと持ち込んでいいから」と声をかけてくるタイミングと「馬が遠い」「もっと私の近くに集まって来て」という私自身の感覚が一致する。
拍車も長鞭も遠慮なく使わせてもらって、外側の肘から手綱をびしっと張って、馬の内側のまつげが見える体勢にもっていく。
ああ、【山桜】なら馬エンジンの回転数が高いまま維持できるから楽なのに…
【アレフ】は気を抜くとふ〜と回転数が落ちたり、すぐだらりと伸びてしまう。
常に人の気合いというガソリンを喰う、燃費の悪い馬なんだから。
■【アレフ】の駆歩は、稲穂のように垂れ下がった首になったら絶対に乗り心地が悪い。
これまで安定して座れないのは自分が100%悪いと思っていたが、〈乗り心地の悪い駆歩だと安定して座れない〉という真理に行き着いた。
『下手な騎手は乗り心地の悪い状態でしか乗れないから、永久に上手くなれない』という乗馬格差拡大の法則を発見して、下手階級に固定されたままあがき続けたこの500鞍を虚しく振り返る。
輪乗り駆歩をしながら、「ん〜もう、乗り心地が悪いなあ」「もっと首を起こして馬を前に出さなきゃ」とあれこれやってみる。
すかさず「もちぇさん、拳がまだ動きますね」「腰の方が固定されちゃって、かわりに手が動いてしまうようです」と4%先生の忠告が飛んでくる。
寒い頃までは素直に拳を動かさないように努めていたが、今では自分の拳のために馬をどう動かすかとあまのじゃくに考えるようになった。
「駆歩じゃなくて速歩の輪乗りで内方姿勢をとる練習して」と言われたのを幸いに、ひたすら「もっと近くにおいで」と手綱を短く馬の口を近くにもってくるよう働きかける。
鏡で見る限りでは、かなり首がコンパクトにおさまっている感じ。
そして再び「輪乗りで駆歩」の指示。
絶対、前にだらりと伸びていく駆歩はさせないぞ。
外側のコンタクトがゆるくならないよう、強気の推進で前に出す。
よっしゃ、メリーゴランドのお馬ちゃん状態でひとつ所に安定して座れる。
「最後の駆歩は安定して乗れるようになりましたね」と4%先生。
いえいえ、私が安定して乗れるようになったのではなくて、
座りやすい駆歩ができるようあれこれ画策したところに【アレフ】が応えてくれたということ。
■最後に常歩からの停止の練習。
気の抜けた常歩をしていると、手綱も伸びてだらだら常歩になっている。
ビシビシ長鞭を使って馬エンジンの再起動。
スライムのようだった馬がむくうと盛り上がり、手綱にも張力がかかってくる。
「そう、馬がハミをとりはじめましたね」
「そこをあわてずに、じわーと体勢を整えて」
あらら、私の扶助はがさつだったのか…
「馬の首を吊り下げている感じで」
そうそう、この手綱の張力を一定にする感覚はよくわかる。
「馬体がまっすぐになったところで、両脚を少し後ろでつかって人の準備をして」
こころもち背中から腰を反らせるようにして、後ろに荷重。
【ヴィーヴ】だとこれだけで止まってくれるのだが、【アレフ】はさらに
「手綱を引くというより、やや上に持ち上げる感じで焦らずに」と声がかかる。
1回目は、止まるまでに時間がかかったが、2回3回と繰り返すうちにすうと小さな扶助で止まる。
そう言えば、【アレフ】は口が敏感だったのだ。
重いのでつい脚や鞭を使うのに力を入れて、人がヒートアップしてしまうのだが
乗り方全てが乱暴になってしまうと、手綱やバランスの扶助が伝わらなくなってしまう。
「脚に力を入れると上半身も一緒に力が入ってしまうようですね」とは4%先生の評。
身体の各所が独立して使えるようにならないとなあ。先は長い。


497鞍目 外側を支えて [第12章 初級騎座拳安定編]

 2007-06-20(Wed) 合同クラス 通算497鞍目
■梅雨入りを宣言されたのに強烈な初夏の陽に照らされる毎日。
比較的カラッとしているから、29℃になっても我慢していられる。
朝は4時前には明るくなり夕方7時過ぎても野外で活動できる。
梅雨前線が離れていれば、早朝やナイターの騎乗の方がさわやかでいい。
■本日は、私が【チャンドラ・グプタ】
初級の方が【毒うま】、中級の方が【青雲】という合同クラス。
4%先生は3騎部班でレッスンをすすめ、途中からクラス別メニューとなった。
■前回の【グプタ】は右手前駆歩を嫌がってギリギリ歯ぎしりをし通しだったが、
今日はどうなることやら。
部班で【毒うま】の後についているためか、【グプタ】はしっかり遅れずに動いてくれる。
駆歩がちょっとモタつくと、
「もちぇさんが、あの地点から出すぞと決めて出して!」との忠告が飛んでくる。
そう「駆歩出してくれたらいいのになあ」という曖昧な扶助ではなく、
「私はあそこから駆歩したい」という明確な意志が馬には伝わりやすいのだ。
「あそこで!」という気持ちが、馬エンジンの回転数やギアを変えて駆歩準備を整えていくのが感じ取れる。
駆歩が出る前に、次はちゃんと発進するぞというのがわかる。
苦手な右手前でも無事発進してくれる。
いや、珍しく駆歩がでたのでかえって「逆手前になってますよね?」と4%先生に確認をとってしまう。
「大丈夫ちゃんと出てますよ」と言われて、ええっ〜?! と気が抜けてしまう。
■後半は、内方姿勢がメインの課題となる。
中級者は駆歩で、蹄跡の中点から20m輪乗りに入り、蹄跡に戻った所でこんどは10mの巻き乗りをするという運動。 
短蹄跡、長蹄跡それぞれの中点で大小2重の輪を描くことになる。
われら初級者は、速歩でこの図形を描く。
【グプタ】は右回転でなかなか内側を向けない。
とくに半径の小さな巻き乗りでは頭を上げて苦しそうな体勢になる。
首は外側に向いて肩から内側に切れ込んでくる。
内方の押し手綱と内方脚でとにかく押し出す。
「外方の手綱を開いて、こっちだよと示してあげて」
そうだった、出て行けるスペースを作ってあげないと馬がつらいんだった。
外にでると「顔が外向いたままだから、進行方向を向かせてあげて」と矢継ぎ早の指示。
ぐいと無理矢理内側を向かせるのではなく、必要な分だけ少しずつ。
と、「外側の手綱をしっかり握っていて!」と鋭く注意を受ける。
「手綱が緩んじゃうと、馬が外方のハミをとろうとしてきた時にぶらんとして頼れなくなってしまうんですよ」
くう〜、頼りにならないハミか〜
グッと持ち過ぎると「窮屈になるんじゃないか」とついつい楽なようにとふわあと持ってしまうんだよなあ。
馬を向ける方には、がさつなくらいグイグイ引っ張れるのに。
まだまだ、左右の力加減を慮って手綱を使うことができない。
〈外方の肘を起点に馬を支える〉〈外方手綱をしっかり張って譲らない〉〈外方の脚を引いて意識して使う〉をベースラインとして、
そこに向って押し出していったり、内側を向かせたりと状態にあわせて微調整をしていくのだ。
【グプタ】のような苦手な向きのある馬を相手にすると、
自分が何もできていないことを突きつけられる。
「馬がそれ以外の姿勢をとれないように」
「求められている姿勢をとれば楽になるんだとわかるように、人も馬も我慢して」
なんちゃって扶助で馬が適当に動いてくれる状態ではないので、こちらも最大限集中して扶助をださないといけない。
鏡に映る【グプタ】は苦しそうに右まわりをしているが、それでも4%先生の細やかなアドバイスのおかげで前回の歯ぎしりギリギリ状態にまで悪化することは避けられた。
■手綱とハミはつながって大きな環になっているのだ。
環だから片方を引っ張って逆を緩めれば、左右に横移動するだけで効果的な指示を伝えられない。
本当はものすごい小さな動きで伝わるはずのものなのに、ハミがゆるゆるずるずるの状態だからあり得ないほどがさつに操作してしまうのだろうな。
〈手綱をつり革代わりの支えとしない〉課題がなんとかクリアできたら、
次は〈手綱とハミの円環が常に生きた状態になるよう気を通す〉という課題だ。
脚とのバランスで手綱の操作が成り立つわけだから、よけいに難しい。
今日は手綱を持つ指がものすごく疲れた。
「だいじょうぶ、しっかり支えてあげるから安心して踏み込んで来て」といつか【グプタ】に言えるようになりたい。


498鞍目 鐙上げ駆歩 [第12章 初級騎座拳安定編]

  2007-06-21(Thu) 合同クラス 通算498鞍目
■いま、限りなく500鞍に近づきたくない気分。
馬には乗りたいが「これだけ乗ってこの程度」という現実からは目をそむけたい。
■本日は【山桜】にお相手願う。
彼は、先週末の競技会で頼もしい活躍を見せてくれた。
なんだか一段と逞しくなった風情。
レッスンは、中級者@【チャンドラ・グプタ】との合同クラス。
例によって、中央に立つ4%先生の指示のもと各個乗りレッスンとなる。
■【山桜】は最初の常歩からぐいぐい歩いてくれる。
「もっと前に出さなけりゃ」とか「右に向いてくれない」などの苦労がない。
駆歩もスムース。
「隅角で内側に入ってきやすいので、もっと隅角通過を丁寧に」
「輪乗りに入る所で曲がり難いときは、もっと外方で押さえて」
など、要所でアドバイスが入る。
ところが、普段より早い段階で駆歩が始まり長時間続くと息切れがする。
ん〜、調子がいい時は駆歩が続いても平気なのだが、
今日はいきなりの駆歩でついていけないのか。
■常歩、速歩での運動に切り換えて、自分の身体を慣らしていく。
蹄跡行進でときおり巻き乗りを入れるというメニューをこなす。
「内方脚は馬の肩を外方の拳に向って押し出すように使って」
【山桜】は〈外側に押し出す〉扶助への反応がわかりやすい。
押し出して外方でしっかり受け止められると、するりと抵抗なく曲がってくれる。
このするりと楽に動く感覚が気持ちいい。
「速歩、鐙上げでも乗ってみましょう」
脚の付け根をしっかり伸ばす。
隅角通過を丁寧に行うと魔法の瞬間がやってくる。
楽になって馬がいかようにでも動いてくれる感じ。
「今なら駆歩でも何でもできるぞ」と思える。
■4%先生に「あの、駆歩の練習をしてもいいですか?」とリクエストしてみる。
「いいですよ、鐙上げの駆歩でもしてみます?」
今なら何の心配もなくできる気分。
駆歩発進。
最初は鐙を踏んだままで駆歩が安定しているのを確認できたら、
「しゅぱっ」と両方の鐙を脱ぐ。
脚を下に長く伸ばすと意識をするだけで、後はなんの問題もない。
方向を変えるのもできるし、鞭を使って前に出しても大丈夫。
反対の手前でも挑戦してみて、蹄跡行進と輪乗りとクリアできた。
駆歩から速歩に落とした瞬間だけ座れなくなるが、慌てず常歩まで落としてしまえば鐙上げは問題ない。
「やった、やった、できた、嬉しい〜」
ようやく到達できた〈鐙上げ駆歩〉の境地。500鞍目前で間に合った。
駆歩バランスのゴールであり悲願であった。
■「競技会の観戦が役に立ったかな」
「自分が乗るつもりで人の騎乗姿を見ることができるようになると、得るものが多いんです」と4%先生の談。
とまあ、やっぱり【山桜】のおかげである。


499鞍目 ネックストレッチの威力 [第12章 初級騎座拳安定編]

 2007-06-22(Fri) 夏至 初級クラス 通算499鞍目
■ようやく梅雨らしい雨模様。
ところが、先のホースショーで大雨の中騎乗した経験が仇をなして
しとしと降る程度なら「これなら乗れる」と考えてしまう。
普通の感覚なら、雨傘と長靴を装備し屋外の活動はキャンセルするのに…
世間一般からズレてきている自分がちょっとコワイ。
■クラブに行くと、やっぱり皆さん乗っている。
本日もお相手は【山桜】にお願いして、4%先生のひとりレッスン。
■このところの【山桜】は、さらなるバージョンアップをしたなあと感じる。
身体が柔らかいのが取り柄だったけれど、くねくねふらふらしがちで線の細いイメージだった彼が、芯が通って内側からぱんと張り出してきた雰囲気。
こっそり自主トレーニングでもしているんじゃなかろうか?
馬房でスクワットしたり、放牧中はずっと速歩でジョギングしたりする姿を想像してしまう。
■レッスンは並足から丁寧に運動を組上げていく。
元気のいい常歩で、隅角通や過巻き乗りを利用して少しずつ手綱をとっていく。
肘を起点に外方の手綱をしっかり張って、内方の脚は馬の肩を外に押し出すように使う。
「内方脚の力が外方の拳に出るように」と表現されるが、
確かに脚に使った力が外方の手綱の張力と連動している。
しかし、せっかく馬が近くに来て、手綱もピッチマーク3番と半分の理想に近い所まで短くできるのに、ちょっとした方向転換とかリズムの崩れでするっと手綱が緩んでしまう。
鼻がかゆくても決して片手手綱にしちゃダメだし、拳の位置も握りも気を抜いちゃいけない。
■「歩度を詰めて、速歩軽速歩」の号令。
歩様を変える前の「歩度を詰めて」の号令に最近ようやく反応するようになった私。
これまで枕詞程度に流していたのだが、脚を使って背を起こしてスピードはそのままに馬エンジンの回転数をあげて準備する必要性を【山桜】から教わった。
自分の扶助に反応を示してくれるからこそ、さらに脚を強めて手綱を譲るとポンと速歩になるというのが実感できる。
速歩でも、巻き乗り輪乗りで内方姿勢の練習。
「内方姿勢も収縮のひとつです」
「馬には不自然な姿勢だから、馬が納得するまではきちんと姿勢がとれないかもしれない」
「人がその姿勢以外にとれないように規制すれば、馬は内方姿勢をとれば楽になれるとかわる」
「人も我慢、馬にも我慢させて」
だんだん慣れてくると手綱も短く安定した状態を維持できる。
蹄跡にもどると「直進する時もわずかに内側を向かせて」と指示が出る。
ああ、これが外方のコンタクトってやつだ。
わずかに【山桜】の内側のまつげが見えるくらいの状態だと外側の肘に常に引っ張られる感じがある。
これがあるから、曲がる時にわざわざ外方の手綱を張って脚で規制してとゼロからの手順を踏まなくても、すっと動けるわけなんだ。
とまあ、一瞬いい感じになるがすぐほどけて緩むのが、私の現状。
緩ませずに維持するには、人の集中力や体力がさらに必要とされるということだ。
中央線から左右10mの巻き乗りをすると、新しい姿勢をとらせるのにあらぬ方に向きたがる【山桜】に手こずる。
「馬自身はどちらに行くのかわからないので、人がきちんと伝えて」
「もう一周同じ手前の巻き乗りで」とスムースな回転になるまで何度も回る。
正面を向いた時に馬体が一瞬まっすぐになりすぐに逆の姿勢をとらせるのは、思ったより難しい。
正面から審判が見ていたら、できていないのが丸わかり。
蹄跡から右に入って左に出るなど直線の組み合わせでも、直進と姿勢の入れ替えの準備という忙しい作業があるのを今更ながら気がつく。
ああっ、簡単な運動だけど何もわかっていなかった。
ちゃんとやっていたわけじゃなかった。
■「まっすぐ進む時と内方姿勢の時の拳の位置関係を気にして下さい」
「直進時は両拳は同じ位置に揃えて同じ力で持つ」
「内方姿勢をとっている時は、内側の拳がやや上がることはあっても外側は上がりません」
「外方拳は下ろしたまま動かさない」と改めて説明をして下さる4%先生。
ふむふむ、以前に「外側を固定して内側を引っ張って馬が苦しくないのか」という説明をしてもらった。
「馬は内側に顎を引くように首をかしげるから、スムースにいくのだ」と。
「だから、内側の手綱はすくいあげるように使う」と。
輪乗り速歩で拳の位置の確認を終えると、
「じゃあ、次は駆歩で」
■短蹄跡中央から輪乗り駆歩を出す。
「駆歩でも同じです」
「外側の拳は下ろしたままで」
右手前では左側の拳が安定しているのが自分でもわかる。
しかし、左手前になると
「ん〜外側の拳が上がって動いちゃいますね」と指摘される。
「外側の鐙を踏むことを意識してみて」
「内方脚は腹帯のすぐ後ろで」
言われた通りやってみる。
「内側に人が倒れ込むとどうしても外側の拳が上がってくるようですね」
うへえ、内側に傾く癖がまた悪さしている。
進行方向直前を見つめるのではなく馬場を広く眺めるよう、言われる前に気をつける。
自分が傾いているかどうかは広い空間の中の自分を意識しないとわからないのだ。
駆歩の回転運動で傾かないというのがこれからの課題だな。
■駆歩を終えて再び速歩。
蹄跡行進から斜めに手前を換えて斜線軽速歩で歩度を伸ばす。
斜線になってから脚で強く蹴るのではないことは、重々承知している。
手前を換える段から歩度を詰めておいて、斜線で馬体がまっすぐになってからグンと脚を入れて拳をゆずる。
「馬が行きたがっているのにあわせて、もうひとつ前を許して」と声がかかる。
ええ? 譲ってないですか?
どうもメリハリがないらしい。
やっているつもりのチマチマこちょこちょした扶助なんだろうな。
これも私の個性に由来するやっかいな課題だ。
■歩度の詰め伸ばしの後は、下方移行や停止の練習。
「準備して」と号令で、脚をやや後ろに付けて背を起こしてという動作をとれるようになってきたのだが、
【山桜】はこの半減却を違う意味で受け取っているらしい。
急によれるのだ。「どうして?何がわるいの?」
同じように使っているつもりの脚か拳に力の左右差があるのか?
ハッキリした原因がわからないまま、雑にならないよう左右差が出ないよう何度が繰り返す。
馬が「やらせたい事はこれね」と理解すれば、問題なく停止できるようになるのだが。
停止の扶助もバランスなど難しいことが山積したままだ。
■「じゃあ、今日はこれでネックストレッチ外しましょう」と4%先生。
ゴンちゃん先生の時はクーリング時はネックストレッチを外して楽に自由常歩をさせるパターンが多いだけに、レッスン終了だなと確信した私と【山桜】
ところが「常歩で推進して」「内方姿勢をとらせるように」と指示が出る。
のんびり自由常歩のはずが手綱で規制されたまま。
「ええ?まだ続くの? 聞いてないよう〜」と意義を唱えたのは【山桜】
常歩の蹄跡行進だけなのに、いきなり首が上がってくる。
そして水勒1本だけで、落ち着いた姿勢にしてコンタクトをとる難しさに直面。
鼻梁が垂直のあのいつもの美しい姿勢はどこにいっちゃたの?
頭が高い姿勢はなんとか落ち着かせたが、鼻梁は前を向いたままつんつんしちゃってる。
「内方姿勢をとらせて」と言っていた4%先生も、これはダメだと感じたらしく
「ハミを口の中で左右にすべらせてみて」
「馬が顎を引く感じになるように」とアドバイス。
がーん、ネックストレッチのおかげでコンタクトがとれていたわけなのね…
クイクイと動かしてみるが、馬の首がフラフラ揺れるだけでなんの効果もない。
見かねた先生が馬を止めて、手綱を持ちくいくいと左右を引っ張る。
思ったより強く合図している。
「はいはい、わかりましたよっ」とすいと顎を引く【山桜】
ああ、私の扶助にはメリハリがないんだなあ。
■今度は心を入れ替えて、わかってくれるように明確に扶助を出す。
すぐ伝わって、顎を引いてくれる。
「その位置で!そのままっ!」
「舌鼓でいいからそのまま速歩に」
脚とか鞭を使ったらバランスを崩して拳の静定ができない私をお見通しの指示になっている。
速歩になってもなんとか維持していたつもりだが、隅角を曲がってまたもや解けてしまう。
世界のほとんどが拳になったような感じ。
〈そのままの位置で〉がかくも困難とは… 背中と拳の筋肉トレーニングしなきゃ。
■折り返し手綱やネックストレッチという助けがあって、馬に姿勢をとらせていただけだったと反省。
まあ、最初はできないことの自覚から始まるのだ。
最後の停止は四肢がそろって綺麗に止まれたから【山桜】を大いに褒めてレッスン終了。
学ぶことの多い45分間であった。








500鞍目 スタンダードレッスン [第12章 初級騎座拳安定編]

 2007-06-25(Mon) 初級クラス 通算500鞍目
■とうとうこの日がきてしまった。
この節目の数字が持つイメージと自分の現状が余りに隔たっていて、「私は500鞍乗りました」と胸を張って言えない。
まあ、このうち約350鞍は駆歩恐怖のトラウマを抱えての騎乗だったからなあ。
先日鐙上げ駆歩ができたということで、よしとしよう。
■小糠雨の中、本日のお相手は【アレフ・ゼロ】
【毒うま】くんとの2騎部班でごんちゃん先生に見てもらう。
ドレサージュアリーナ全面を使って初級クラスの最もスタンダードな練習。
馬や騎乗者の組み合わせによって様々な内容になるレッスンなので、典型例をこなせる回は数えるほどしかない。
■朝一番、まずは手綱を伸ばしたまま常歩、軽速歩、そして駆歩まで流す。
かつて「手綱ブラブラでは方向転換できない、駆歩発進できない」とぼやいていたのがウソのよう。
馬たちは軽く駆歩を終えて「ブルルルっ」とウォームアップ完了の鼻息。
普段はここでネックストレッチをつけるのだが、ごんちゃん先生は水勒のみでやらせるつもりらしい。
慎重な4%先生に較べて、ごんちゃん先生の方が大胆でハードな内容。
女同士の方が容赦が無いというわけだ。
■ウォームアップでは【毒うま】のスピードに遜色なかった【アレフ】だが、
手綱をとって内方姿勢を気にし始めると、徐々にサイドブレーキがかかっているような重さになる。
舌鼓と拍車と長鞭とを使って動いてもらう。 
一瞬でも「もういいや」と気を緩めると、そのあとの挽回に3倍の気力体力が必要。
くう〜、気力食いの燃費の悪い馬だ。
■速歩で中央線に入り斜め横足の練習。
中央線でいったん巻き乗りを入れ、その姿勢を崩さないまま斜め前に進めていく。
「内方姿勢を維持したままで」が肝心なようだ。
つまり外方の規制を解かないことと馬のリズムに合わせた内方脚の推進。
左手前は姿勢もとれてスイスイと気持ちよく動いてくれる【アレフ】
だが右手前はただ斜めに直進しているだけなような…
前に進む力も弱いし、なんだがぐちゃぐちゃして何が悪いのか今ひとつわからない。
こうやって前進気勢がなくなると手綱をきちんと張っておけなくなり、
なんども手綱を持ち替えつつ内方向かせるなどのガチャガチャ操作が増えてくる。
最近の私は、手綱をガチャガチャさせているのに気がつくと気持ち悪くて、自分に嫌気がさす。
「なんですぐに手綱が緩むのっ!」 
「なんてがさつなのっ!」 
「馬の口の中を想像してご覧なさいよっ!」と自分の怒鳴り声が頭の中に響く。
何とかせんとなあ、すぐに手綱が緩む癖。
困ったなあ、前に出る力が弱くても動いていればまあいいかと流してしまう癖。
なあなあで騎乗してしまうと結局は馬の背中にも良くないし、人も徒労感で終わってしまう。
【アレフ】は速歩よりまだ駆歩の方がいい、はやく駆歩の号令にならないかなあ。
■「駆歩させてくれ〜」という心の叫びが聞こえたのか、ほどなくして駆歩運動。
【毒うま】とは蹄跡の対角線上に位置取り、それぞれ蹄跡行進、輪乗り、15m巻き乗り、斜めに手前を換えをする。
発進に手間取ったり、速歩に落ちたりということもなくなり何とか図形は描けるようになっているが、一定のリズムでバランスのいい駆歩には程遠い。
特に斜めに手前を換えは、途中で勝手に下方移行されたくなくてこちらも気合いを入れて走ってしまう。
それを受けて、まるで突進していくかのような走りになる【アレフ】
どんな図形を描くにせよ、バランスよく一定のリズムを刻めるようにまだまだ修行が必要。
ごんちゃん先生は、
「【毒うま】の駆歩は頭を上げるし【アレフ】は前にのめりやすい」
「それぞれ両極端のコワイ駆歩タイプですよね」と我らの苦労をねぎらってくれる。
そうなのだ、駆歩発進に苦労はしないが広い馬場で自由自在に駆歩するにはさらなる技術が必要。
「【アレフ】がのめってしまう時は、身体を起こして手綱をしっかり持つとさらに巻き込んでくるので、もちぇさんのようにやや前傾で手綱も強く持たない方がいいんです」
あらっ、やっぱりまだ前傾なんですね…
この場合、褒められているのか注意されているのか?
「そこで、脚で推進してあげれば頭が起きてきますから」
「起きて来たところで手綱で支えてあげればいいんですから」と説明を受ける。
速歩とやることは同じなのだ。
スピードがあるから慌てやすいが、滞駆歩時間が延びれば慣れるだろう。
■オーバーホール明けの騎乗では、〈手綱で支える〉が課題になってきた。
手綱を一定の張力に保てず、すぐ緩んでガチャガチャ握り直してしまう自分が嫌だ。
また、前傾したり肘を伸ばしっぱなしにして手綱を譲るのと引くとをごちゃ混ぜに使っているし、外側で支えるはずがいつの間にか許してタリラリランと外が緩み内側だけ引っ張り続けている。
何をさせたいのかわからないだろうなあ。
馬たちには申し訳ないなあ。
次の600鞍に向けて、馬とつながる時間を1秒でも長くしたい。
そして、一定のリズムでバランスよく駆歩ができるようになりたい。
基礎の基礎なんだろうけれど、それ以外に望むことはない。

 




501鞍目 もっと自立を [第12章 初級騎座拳安定編]

 2007-06-27(Wed) 初級クラス 通算501鞍目
■近所の方に驚かれた。「えらい日に焼けてまんなあ」
7月に入る前からこんがりきつね色になっていた。
夏至近くの強烈な太陽光を一日中浴び続けていたのだった。
ああ、おそろしや紫外線老化。
■本日は【山桜】と。
【チャンドラ・グプタ】との2騎部班でごんちゃん先生が見て下さる。
■内方姿勢がきちんととれるよう、姿勢の入れ替えはスムースにと心がけたが、果たしてどれだけできたか。
反応のいい【山桜】だと、自分が正しい姿勢を維持していなくても馬があわせてくる所があって楽をさせてもらっているのだ。
慢心しないようにしないと。
■駆歩は、指示通り続けてくれるのだが… 
どこかで馬に無理をさせている感じがある。
レッスンが終わって、長靴の手入れをしていると拍車受け(拍車をつけずにいた)の周囲に馬の汗と毛が付いていた。
駆歩の外方脚で踵を押し付けるように乗っている証拠だ。
拍車をはいていたら、駆歩をしている間中外方に拍車が刺さり続けていることなのだ。
私は踵でつかまっているのか?
ちゃんと走っている時は扶助をリリースせねばならないのに、それができていない。
■軽い扶助で動いてくれるから、つい扶助を使っていることすら意識しなくなる。
でも、それでは馬は楽になれない。
ごんちゃん先生は、あまり細々姿勢の注意はせず、のびのび運動させてくれる。
〈何も言われないし馬も動いてくれる〉というときは、どれだけ自分自身でモニタリングできるかにかかっている。
どんな状態を良しとするか、他人に指摘されないとわからないのではなく自分で判断できるよう感覚を磨いていかなければ。
教官にあれこれ指摘され解説されて、わかったつもりになる受動的なレッスンから、自分で自分の善し悪しをわかろうとする能動的な学びに切り替える時期にきているのだろう。
まずはどこから手を付けるか? 悩んでしまう。


502鞍目 逆を張って試す [第12章 初級騎座拳安定編]

 2007-06-28(Thu) 合同クラス 通算502鞍目
■30℃が目前の暑い日が続く。
体調を崩していたおばあちゃん馬が亡くなった。
最高齢の【主席】と馬房が並んでいて、クラブの〈翁媼〉「鶴亀つるかめとおめでたい」象徴だった。
オーナーさんに看取られて静かに旅立っていった。
■この〈翁媼〉の馬房の前に私の鞍ロッカーがある。
鞍を取りにロッカーの前に立つと必ず2頭から「ぶぶぶぶっぶぶっ」と声がかかる。
「はいはい、じいさま。ばあさま。今日も練習しに参りました。」
「いつものように、お茶うけに黒砂糖などいかが?」とひとかけらずつ差し入れする。
すると、
「今日も頑張りなされ」
「早よ練習にいかんかい」と〈翁媼〉が送り出してくれた。
レッスンの時は常にこうやって励まされて来たのに…
オーナーさんがいらしたから直接的に関わることはなかったが、おばあちゃん馬の存在は大きかった。
■本日は中級初級合同レッスン。
私は【アレフ・ゼロ】
ご一緒の方々はそれぞれ【山桜】【とら】【青雲】で4騎部班となる。
■事細かくアドバイスがない中で、自分の課題と取り組む。
内方姿勢は、推進がないとぜんぜんダメ。ということで【アレフ】を前に出すことが最重要課題。
動かなくなってからグリグリビシバシするのはナンセンスなので、早めの対応。
ぴしっと長鞭を使ったところで
「そう、今の長鞭は効いてましたね。いいですよ」と4%先生のコメントが降ってくる。
指摘されてからやるのではなく、自分の判断でやった扶助にOK が出るのは嬉しい。
が、この一回だけ。
気力を食いつくされて、後はもったり運動で諦めムード。
「もっと推進」と教官から指摘され続ける。
■駆歩は、小股のちょこちょこ走りになる。
乗り難いからバランスがとれない、だから何とか大きく動いてもらおうと拡大の方向に考えて来たが、今日は逆をやってみる。
この小股の駆歩に静かに乗ってみる。
ロバかポニーに乗っているつもり。
身体を揺らさないよう、まん中にそっととまっている感じ。
この周期の短い反撞は苦手だ。
やはり、しっかり内方姿勢をとってもらって推進を十分にかけた駆歩のほうが楽だ。
■中級の方々が3課目Bの反対駆歩のパート練習をするので、場所をあけるように指示される。
3騎が待機なので、うろうろ歩き回っているより止まっていた方が安全と考える。
ただ【アレフ】をぼんやり停止させてしまうと、以降のレッスンは動いてくれなさそう。
なんとか馬とやり取りを続けなければと考える。
馬を歩き回らせず反対駆歩の練習の見学。
「歩かないでね」でも「あっちの方を見たいんだけど」と【アレフ】に伝えると面白いことにその場でぐるりと回ってくれる。
自分がコマの中心で馬がぐる〜りと回ってくれる。
おもしろい。ウェスタンのスピンのよう。
いつもとは違う動きを楽しませてもらった。
■本当は姿勢とかリズムとか、プレッシャー&リリースとか考えながら乗らなければいけないのだろうが、何も指示されないのをいいことに好き勝手をやっている。
もっと系統的に効果的な練習の仕方があるはずなんだろうが。
教官から特に何も言われないのは、心もとない。
自立しなきゃと思うけど…
■汗をかいたレッスンの後は【アレフ】の鬣を中心に全身シャンプー丸洗い。
すっきりしたというのは人間側の価値観だと思うけれど、夏は運動してシャワーを浴びてゆっくり休むというのはあながち悪いことじゃない。







503鞍目 安定すると見えてくるもの [第12章 初級騎座拳安定編]

 2007-06-29(Fri) 初級クラス 通算503鞍目
■午後から細かい雨が降り出し、大気が重く湿っている。
夕暮れ時になって雲の切れ間が見え始めた。
「あっ虹だわ」
日没の最後の光がかすかな虹を浮き出させていた。
おばあちゃん馬は、あの橋を渡って行ったのだろうか。
■クラブに出かけたのはお昼過ぎ。
昨日空になってしまった馬房には、たくさんの花が供えてあった。
牝馬だし長寿だったからピンクやパープルのきれいな色であふれている。
反面、隣の翁馬【主席】が寂しそうにぼんやりしている。
なんとなく厩舎全体が喪に服しているようなしめやかな雰囲気。
馬たちにもわかっているのだろうな。
「じいさま、力を落とさずにいてくださいな」と2頭分の黒砂糖を差し入れして、首を抱くようにスキンシップ。
これからの季節、どの馬も元気に乗り越えていってほしい。
■本日もお相手いただくのは【アレフ・ゼロ】
【チャンドラ・グプタ】との2騎部班になる。
4%先生が下乗りをして下さる。
先生がどんな風に乗っているかで、レッスンの意図や馬の調整具合を読み取ろうともくろむが今の私にはちっともわからない。
今日は随分と横運動が多いような気がする。
【アレフ】の華麗な肢さばきを見てほれぼれする。
「身体の柔らかな馬なんだなあ」
乗り替わる頃には、馬の汗が馬場の砂にぼとぼとと落ちる。
■【アレフ】エンジンの準備が万端整ったので、気力を喰われることなくスムースにレッスンが進む。
ちゃんと前に出ると【アレフ】の乗り心地は柔らかく弾力があって、それでいて渋く抑制が利いているので〈老練な〉とか〈名人〉という表現がぴったりくる。
そして、そういう状態で乗ると軽速歩でも速歩でもぴたりと姿勢が決まる。
気味悪いくらいにまっすぐに安定して乗っていられる。
■安定して騎乗できると細やかなことに神経が集中できる。
左手前での蹄跡行進では右脚が埒に押し付けられて擦れることが多い。
しかも右手前ではなんとなく馬体が斜めになっているような感じがする。
馬の後ろ半分が内側に入ってきているようで、馬のお尻を外側に押し出したい欲求にかられる。
巻き乗りや輪乗りでは、左手前は気持ちよくできるが、右手前が内に切り込んでしまう。
「まずは馬を外側に引っ張り出しましょう」と外方手綱を開いてスペースを作ることと内方脚で馬の肩を外側に押し出すようにと指示を受ける。
ただ、斜め外に馬を推進することだけではなく「馬の腰を左外に押し出したい」という気分にさいなまれる。
右の脚を前とか後ろとかいろいろな場所で押したりトントン叩いたりしてみる。
どこかに丁度いいスイッチはないだろうか?と。
あちこち落ち着きのない扶助に自分でもあきれる。
これじゃ【アレフ】にも伝わらないだろうし、下から見ている4%先生に「脚は静かに」と注意されるに違いない。
しかしながらこの件に関しては、ひと言の注意も指摘もなかったので、
レッスン後にたまらず「左手前の蹄跡行進で斜めになっているように感じるのですが?」と質問してみた。
すると「馬場で言う真直性、後肢が前肢の真後ろに踏み込んできていないのです」
「腰が内に入るような感じになってますね」との言葉。
「【アレフ】はちょっと右に偏りが出てきていて、それで右の巻き乗りも小さくなってしまうんでしょうね」との説明をいただく。
「そういう時はどうすれば?」
「首を内側に向けてあげればいいのですか?」と尋ねると
「馬の首はどうにでも曲がるので、巻き乗りする時のようにしてあげればいいですよ」と答えが返ってきた。
でも、何が原因でどんな扶助をすればいいのか、やっぱりわからん。
ただ自分の「あれっ?」と感じた違和感は、それなりの根拠があることはわかった。
■【アレフ】でのレッスンでは、今週はネックストレッチをつけず水勒だけで動かしている。
499鞍目でネックストレッチの効力を目の当たりにしただけに、水勒一本の重みを感じる。
鏡に姿が映るたび、馬の首はどの位置にあって鼻梁はどんな角度になっているか気になって仕方がない。
これまでも【アレフ】の口が遠い、首が稲穂のように垂れ下がって口を割っている、前にのめった姿勢でかっこ悪いし乗り難いとさんざんこの馬の悪口を言ってきた。
しかし、推進とハミのバランスが悪い騎乗者がその原因を作り出しているのだ。
■今日は下乗りのお陰か【アレフ】は楽に前に出てくれる。
ゆえに手綱がずるずる弛んでくることがない。
「もちぇさん、手綱をもう少し短く」
「一度に引っ張らなくていいいですよ」
「少しずつ馬の首が近くに来た時を狙って、短くなったらそこで持つ」とガイドされる通り、脚を使い内方姿勢をとるたびに馬の口が近くにやってくる。
また肘が伸びてきたなあと思っていると、
「もちぇさん、手綱を左右に引いてハミをすべらせてみて」と声がかかる。
指示通りやると肘は元の位置に戻る。
「馬が顎を引いてくれるとその分短く持てるでしょ」
「そうなれば、馬はもっと楽に動いてくれるから」
鏡を見るとかっこいい位置に【アレフ】の首が落ち着いている。
そのまま隅角を深くまわると芸術的な乗り心地。
顎を突っ張ったり巻き込んだりされると、手綱はもどかしい感じの長さになるし、手綱にかかる張力も前に出る力以外のよけいな力がかかってくる。
これまで馬に顎を引かせることを何度かやってみたが、この顎を譲ることそのものが目的ではなく、その後に続く魔法のような操作性の向上が真の目的とみた。
だから私は「馬上から見ると馬が顎を譲ったかどうかハッキリ見えない」と悩む必要はないのだ。
手綱にもどかしさがなく張力と前に出る力がぴったり合っているときの感覚さえ把握していれば、それが到達点の指標であるから。
■駆歩の講評は「最後の駆歩は安定してましたよ」が、ここのところ毎回続いている。
最初のうちは「まだ手が動く」と指摘されることが多い。
「拳が安定してきたら、その時の手綱を感じてみて」と送り出された駆歩は、ぴたりと安定していずこも弛んだりきしんだりしない。
速歩できちんとハミを受けている時の感触と同じ。
この感じ、いつもこの感覚に向けて行ければいいのだ。
しかし、どうすればこうなるのか再現性に著しく欠けるのが玉にきず…
■名馬【アレフ】から教えてもらえることは多い。
お年寄りで夏の暑さに弱いのが心配なのだ。
レッスンでお世話になったら、せめて丁寧なお手入れをして、不用意なストレスをかけないよう十分に気をつけなければ。

  


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