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526鞍目 がまんして [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-01(Wed) 初級クラス 通算526鞍目
■このところ枕元には『乗馬ライフ』のバックナンバーが何冊も散らばっている。
かつて読んで「ふーん」で終わりだったのが、最近実感を伴って「なるほど」とうなずくことばかり。
月刊化されてからの記事は、写真も小さくイラストも不正確で今ひとつなのだが、
隔月刊時代の基礎的技術を解説した記事には学ぶところが多い。
特に2課目で求められるベーシックスキル(質の良い3種歩様とスムースな移行、馬とのコンタクト)に関しての連載や3課目4課目にむけて積み上げていく練習方法など、いま自分のやっていることの位置付けができて興味深い。
■とくに〈外方の壁〉なんぞは、初めて読んだ時には「わけのわからない概念の壁」としか思えなかった。
しかし最近になって「あれ、もしかして実在するかも」と一瞬思える時もでてきた。
これって、バランスよく馬に乗れるようになって脚や拳がある程度自由に使えるならないと感じ取れないし、なにより壁にぶつかるべき馬の前に出ようとするパワーがなくては話が始まらない。
1年前と同じような運動をしているのに、見えてくるものが細密になり立体的になる。
とまあ、暑い夏なのに面白くてやめられない。
■配馬表には私の名前の横に【とら】と書いてある。
いつも御一緒するマダムは【ベルベット・シート】
「あらまっ、異色の組み合わせですな」
マンネリ化を防ぐためか、時々こんなことが起る。
「私には多分無理です」という馬にあたって「やっぱり無理でした」という時もあれば、
「うわ〜この馬の新たな面を発見した〜」という時もある。
【とら】ちゃんとは10ヶ月(151鞍目)ぶり、前回の記録をさかのぼってみれば、
「あれれ、2課目経路をまわってる?!」
しかし前々回は「ロデオ状態で馬場一周すらできないで落ち込む」
と浮き沈みの激しい内容。
「もちぇさん、拍車をつけて下さいね」との指示のもと、ごんちゃん先生の2騎部班。
いざ!レッスンへ。
■久しぶりの【とら】ちゃんの乗り心地、ズンワズンワと進む。
ただし、蹄跡に出すまでがひと苦労。
「そっち行きたくないもん」と斜め反対に進む。
「【とら】は外方を使って馬を動かすいい練習になりますよ」
「手綱だけで向かせようとすると首が柔らかいので、頭だけ向いて肩から逃げますから」とワンポイントアドバイスが届く。
そうだった、以前のレッスンでも手綱がきついのをとても嫌がる馬だった。
脚とバランスで動かす馬か〜 まずは前に出すことからだな。
■準備運動では「まずは左手前の常歩で巻き乗りを多く入れてみて」との指示。
「左が苦手なんですよ【とら】は」とごんちゃん先生。
案の定、巻き乗りのつもりが楕円輪乗りになっている。
巻き乗りに入る所まではなんとかなっても、そのあと外方の肩から逃げられる。
「外方の拳をぎっちり腰の前で構えて、そこを中心に乗って」とデモンストレーション付きで教わる。
右の座骨、股関節、上前腸骨棘、腸骨陵、そして右の拳、肩とつながっていく。
やるべきことは見えたが、馬が前に出てないし私は内方をタイミングよく譲れない。
「巻き乗りができるようになったら、軽速歩へ」といわれるが、
かなり妥協した巻き乗りで次に移る。
■【とら】ちゃんの速歩は、嫌いではない。
でも、この真上に跳ね上げられる反撞についていくのは、かなりの忍耐がいる。
馬が前に出てくれさえすれば、斜め前に動けるから随分楽になるのに。
「拍車つかって大丈夫ですからねえ」と遠くから声が聞こえるが、
馬を煽らずにじっくり一歩ずつ動かしていくのは至難の技である。
「じゃあ、ここでネックストレッチつけましょう」と馬場中央に呼び戻される。
これが付くと馬によっては前に潜ってしまうので、気合いを入れて推進しなければならない。
「ふええ、さらに推進が必要かあ」と暗澹たる気持ちでいると、
不思議、【とら】ちゃんはいきなり前に出始めた。
すうとストライドの大きい一歩で進む。
首も下がって手綱にも一定の力がかかる。
「もちぇさん、鏡見て下さい」
「【とら】は今とてもいい姿勢で動いてますよ」と先生から声が飛ぶ。
おお、鼻梁がまっすぐのいい姿勢だ。
「乗り心地もよくなりました、まるで高級車です〜」と叫び返す私。
前に出てくれさえすれば、大きな反撞の速歩だって気持ちいい。
心がけるのは、回転する時のきっかけとして内方手綱を使ってあとは譲ること。
脚は長く伸ばして全体で押すようにすること。
中央線から入って斜め横足をするが、ちょっとこれは下手クソ。
巻き乗りはまだちょっときれいな円にはならないが、それでも随分良くなった。
■駈歩もちゃんと発進してくれる。
拍車を付けているせいか、これまでになくスムース。うれしい。
ただし、小股のトッチトッチとした駈歩。
これは苦手なのだ、乗り難くて身体が先に飛び出してしまう。
「もちぇさん、身体前にいかない!拳はあげない!」
「その場で、がまん !!!」とごんちゃん先生が叫ぶ。
がまん、がまん、身体が振り抜けて暴れないよう、静かに後ろに控えて、がまん。
短蹄跡をこらえて隅角をまわったところでようやく拳が下におろせる。
わたしがバランスを取り戻したというより、馬が私を乗せて走ることに慣れて前に出てくれるようになったというところか。
逆の右手前駈歩も同様に「がまん!」の声がかかる。
隅角手前で「もちぇさん、右の肩を引いて」と先生の注意。
「馬の進む方向を空けてあげて」と言われる。
指示通り肩を引くとすうと駈歩が伸びていく。
まさに「前が空いたので出ました」という無理のない自然な運び。
ストライドが大きくてグワーングワーンと伸びていく。
なんて気持ちのいい走り。
【とら】ちゃん、君の本性はここにあったのか。
怖がりできつい手綱を嫌う難しいお馬さんというイメージがあったのだが、
のびのびと前に出ていくとかくも乗り心地のよい走りになるのか…
■駈歩の後は楽しい運動になった。
あれだけ肩から逃げていた巻き乗りも、前にでるパワーを外の手綱と脚で押さえるつもりで乗るときれいに決まる。
「すごい、よくできた!」と【とら】ちゃんをベタ褒めにする。
何がどう幸いしたのかよくわからないが、苦手な馬に気持ちよく乗れたレッスンだった。
単純に喜んで、明日への糧にしよう。


527鞍目 暑くて頑張れない [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-02(Thu) 初級クラス 通算527鞍目
■蒸し暑い! 昨日ようやく梅雨明け宣言がでて、今日は32.6℃だそうな。
猛暑と予報されていた割りに過ごし易い日々が続いていただけに、ついていけない。
汗をかいた後にすっきりせず、手足の末端に熱がこもっている感じなのだ。
乗馬でも「よっしゃぁ、いい調子」と浮かれていたら、がっくんと不調の波。
一寸先は闇。明日のことは予想だにできない。
■本日は私に【ベルベット・シート】の配馬。
【時鮭】との2騎部班でごんちゃん先生のレッスン
速歩までの【ベル】は大好き。
特に回転運動の滑らかさは天下一品。
なのに、駈歩はダメなのだ。
何が悪いのだろう?
■暑くて頭の中が沸騰してしまいそうなので、細かいことは省く。
駈歩は出るのだ。馬場半周は続くのに、どたっと速歩に落ちて再発進不能となる。
「外方脚をかなり強く使わないと出ないようです」とごんちゃん先生がアドバイスをくれるのだが、どうしても上手くいかない。
駈歩は出るのだから、扶助が伝わっていないのではないはず。
虚空に叫ぶような徒労感のみ。
その分、速歩は気持ちよく運動できるのでその落差に落ち込む。
何をどうすれば駈歩を続けてくれるのだろう?
「【ベル】は気分屋さんだから、女の子だから」と言われるけれど、それで納得していたら永遠に【ベル】には乗れない。
あ"〜、なんとか解決への道筋だけでも見えてこないかなあ。


528/529鞍目 楽になるところ [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-03(Fri) 初級クラス 通算528/529鞍目
■暑いけれど、風があるだけましな日。
この週末で乗馬を始めて丸3年になる。
2004年8月5日に本格的なレッスンをスタートさせた。
あの頃のクラブは5回レッスンで1万円。
しかも豪華なケーキコーヒー付きというあり得ないキャンペーンをやっていた。
神話の時代だ。
それにしても、よく3年も続いた。
われながら驚く。
■本日のひと鞍目は【毒うま】君。
元馬術部監督@【チャンドラ・グプタ】との2騎部班。
ごんちゃん先生に見ていただく。
■【毒うま】君は「軽い馬だからこそ脚を使う」と肝に銘じて乗る。
常歩の段階ではゆるゆるの手綱だったのだが、
「もちぇさん、前をちょっと持ってあげて軽速歩に」と指示が出る。
ネックストレッチを付けた後は、いつもの斜めになっている感覚。
今日は右内方脚でぎゅううと押してみたり、ちょっと後ろに引いた脚で押し込んでみたりアレコレ試してみる。
おお、押せば引っ込むじゃありませんか。
「【毒うま】君、身体をまっすぐにしようね」と左右の脚の加減で伝える。
乗りにくいなあと漫然と乗っているだけではダメなのかも。
■駈歩は右手前は気持ちよく乗れる。
長蹄跡 60mの駈歩は【毒うま】が加速しやすいのでどうなることかと思ったが、外方の手綱を腰の脇でググと持っていたら何とかコントロールがつく。
ようやく腰から外方の手綱で支えて駈歩をする感覚をつかみつつある。
以前は加速が怖くて前傾して腰が浮いてしがみつくように乗っていたのだから、少しは進歩したかも。
左手前は全敗。
外方が緩んでいるなあという自覚はあるのだが、駈歩発進できずに首を上げて速歩に逃げる【毒うま】君をなんともしようがなかった。
ちょっとしたコツのようなものがあるような気がするのだが、駈歩発進時に外方手綱で支える感じがいまひとつわからない。
今の私は、簡単に駈歩が出せる馬ならいいのだが、ちょっと難しいとされるタイプだと5回に1回くらいしか成功しない。
まだまだ、偶然に頼っているので自分の感覚でつかみきれないのだ。
■本運動では、中央線から入って斜め横足。
おお【毒うま】君得意の右手前では、鏡に映る馬体も人もまっすぐ。
馬の首だけほんのり傾げて後肢がわずかに交差していく。
タンタンタンタンというリズムに合わせて一歩ずつ蹄跡によっていく姿はダンスしているみたいだ。
「左は苦手なのでしっかり外側支えてあげて下さい」とごんちゃん先生の声。
やっぱり、外で支えるかあ。
斜め直進になるほど悪くはないのだが、
リズムにのってステップを踏むという感じにならない。
押して受け止めるという力のやり取りのどこかに弾力性がないのだ。
■何度も中央線に入るために蹄跡を周回していると、
【毒うま】君の首がどんどん下がってきて手綱が重くなる。
「ふへ〜、君は【アレフ】と同じことをするんだね」
これって、脚の推進に対して手綱がきつくて苦しくなった馬がやるはず。
脚が足りないというわけか…
「もちぇさん、内方脚をトントンと使って首上げさせてみて」と先生の指示。
トントン、ちょろっと首があがる。
【山桜】に較べるとほんのわずかしか上がらない。
手綱も決して軽くなったとは言い難い。足りないかな?
「そう、そんな感じで上がればいいですよ」
「手綱が重くなった時は脚で合図して下さいね」と解説してもらう。
脚を使い過ぎて速くなっても困るし【毒うま】にとってはこれでいいのか?
とあれこれ考えるが、やっぱり人馬ともに楽になっていない。
スピードはちょうどいい具合だったし、ハミをはずしたり首を振ったりという抵抗もしてないけれど、ずうっと私の上半身で馬の首を支え続けたという感じ。
何をどうすれば、楽になれたんだろうか?
【毒うま】君の走りが神の恩寵のように楽になる瞬間を経験しているだけに、きっと方策はあるのだ。
■右手前駈歩や斜め横足がうまくできた時には、何の苦もなく外方の壁を感じる。
それなのに、できない時にはどうやったらいいのか皆目見当がつかないのだ。
馬の調子や偶然に頼っているのだろうな。
まだまだ、先は長い。

■「次は乗ります?」と控えめな提案をして下さる4%先生。
「風があるから今日は楽に乗れそうです」とふた鞍目に挑戦することにした。
「じゃあ【あうぬぅ】もとい【アウグスティヌス】でいきましょう」
くぷくぷ、先生でも馬の名前で舌咬むことあるのだ。
■このレッスン、誰かが上から見ていたら「馬がぜんぜん言うこときいてないじゃん」と思っただろう。
でも私が感じたのは「この馬すごい!」という鳥肌ものの感動。
延々議論しあって合意には至らなかったが、やり取りの中で通じ合うところがあって相手に信頼や好感を感じるとでも表現しようか。
■普段のレッスンでは、準備運動の常歩は手綱を長めにするし、拳も馬の動きに合わせて前後に動く。
軽いコンタクトでのびのびと動いてもらうつもりでいた。
それが「拳は馬の頚と一緒にあまり前後に動かさないで」という4%先生のお達し。
「ええ? また駈歩の時のように馬にあわない動きを勝手にしているのかしら?」と心配になる。
「馬に制限をかけていきましょう」
なんと常歩の段階からやるんですね…
「拳は上げずにしっかり握って、控えて」
私は馬がのびのびと歩く感じが好きなのに… また上半身で支える作業ですか。
【アウグス】はガチッと固くなったハミに「ふぬっ」と力を込めて歩き続ける。
「緩ませないようにね」
「最初は馬が抵抗して、楽になる所はないかとあちこち探ってくると思います」
「抵抗しているうちに前に進むのが一番楽とわかってきます」
「今緩めると馬がわからなくなちゃいますからね」
そこまで言われるとこちらも必死になる。
馬はグワッしグワッしと歩き続けるが、全身に力が籠っている。
ハミを同じ所に置いておいておけば、【時鮭】だって【毒うま】だってふっと力を抜いてくれた。
なのに、【アウグス】はいつもまでたってもグワッしグワッしと進む。
「制限がかかれば馬は最初抵抗してくるものです」と4%先生は、
なかなか思い通りいかない状況に動揺せず対処せよと言葉をかけてくれる。
他のベテラン練習馬相手だったら
「わたしのやっていることの何かが間違っているはず」とオロオロしただろう。
でも【アウグス】なので「彼なりに試行錯誤しているんだろうなあ」と思える。
いつまでたってのグワッしグワッしが続く。
視野の隅に4%先生が映る。
「ああ、拳の握りがゆるいとか推進が足りてないとか指示がとんできそう。」
しかし無言。
あぅぅ永遠に続くのかぁぁ。
と、
   私と【アウグス】が同時に力を緩める。
馬の首がわずかに下がる。
【アウグス】が何かをして、それを感知して私が行動を起こしたわけではない。
感じたり考えたりを飛び越して動いていた。
あえて表現するなら、お互い「何とかしてくれ」と叫び、こうしたらどうだろうと気持ちが動いたところに反応したとでも言おうか。
「ちょっとは楽になったはずなんですが…」と心の中でアピールする。
「今はずいぶんいい状態で歩いてますよ」と違わず4%先生の判定もおりる。
やっぱり、これでいいのだ。
「ダメダメ」「まだまだ」「違う」と抑えつけるように乗っているといつまでも変わらないのに、不思議な一瞬であった。
■軽速歩では輪乗りで同じことをやる。
蹄跡から離れるところで決まって肩から逃げてしまう。
「外側の手綱と脚でそれ以上いかないよう押さえるつもりで」
「まず外側の拳を握って!」
「それから内方の手綱でこちらに行こうと示してあげて」
「馬が向かなければ、向くまで引っ張っていいから」
ほえ〜、思いっきり肩から逃げ続ける【アウグス】。
4%先生が馬の行く手に立って牽制してくれる。
馬の首が真横に折れるぐらいに曲がってしまっている。
「そこまでいったらそれ以上引っ張ってても無理ですから」
「いったん手を戻しましょう」
そうだった、ハミがずれたら何の意味もなくなるのだった。
「まず外側の拳を握って、手綱をピンと張って!」
「それから内側向かせて」
「いつもそこで外側に膨らむとわかっているのだから、前から準備して!」
「10m ぐらい前から準備していいくらいです」
おにぎり型や楕円の輪乗りを続ける。
「では、次は3湾曲」
「姿勢の入れ替えでも同じです」
「まずまっすぐにしたら、新しい外方を馬に意識させてー」
まず、外方ありきなのだ。
外側になる方の拳をくっと握って外方脚を伸ばして「今度こっちだよ」
それから新しい内方に向かせてカーブを切っていく。
「曲がる時も同じリズムで」
あわわ、1湾曲目がもたついて大きくなりすぎ。
2、3湾曲目はチマチマむりむりカーブになってしまう。
【ベル】のように一瞬にして新しい姿勢にはまってくれない。
「こっちだよ」と合図するたびに「なんだよーどうすんだよー」と納得してくれるまでに時間がかかる。
この調子で姿勢の入れ替えをしていたらラフな図形しかかけない。
■「じゃあ駈歩もしてみましょうか、最初蹄跡を回ってそのあと輪乗りで1、2周しましょ」
駈歩はいつもどおり発進でもたつく。
「手綱がきついようです」
「前に出られるよう緩めでかまいませんから」
今回は拍車の合図よりも、鞭で「アテンションプリーズ」としたところで走り出してくれた。
【アウグス】にしてみれば、レッスンの最初からきつい手綱でぎゅうぎゅうと押し込められて、手綱も拍車ももう十分という気持ちになっていたのかもしれない。
■最後にもう一度速歩で手綱の制限をかけていく。
このころになると【アウグス】の走りが柔らかくてリズム感あふれるものになる。
正反撞に気持ちよく同調できて、馬の肢運びもよく分かるし自分の腕や肩が自由に使える。
「外をしっかり張って」
おっと、止まりそうになる。ほら、走り続けて。
「制限をかけると馬が止まりそうになるのはいいことです」
「馬がハミの規制をうけて何をすればいいのか考えた結果なのですから」
「わからないうちはあれこれ反抗します」
「右にいったり左にいったり」
「どこか緩いところはないかを探します」
下手をすれば隙をつかれるってわけね。
「ちゃんと持っていれば、前に進むのが一番楽だと馬が理解しますから」
ううむ、いつになく饒舌な4%先生のご様子。
これだけ緩めないよう頑張っているのに【アウグス】は力んだまま。
このままで終わっちゃうのか〜 
楽にならないままか〜 
何とかならんか。
と、
再び感覚も判断も飛び越えて、ふっと共時性。
ほぼ同時に力を抜いて楽になる。
■「ものすごくよくわかる」「すごい馬です!」とレッスンが終わったとたん4%先生に叫んでしまった。
「馬が動いてくれたから緩める」ではなくて「馬がそうしようと思った時に緩めるべきなのだ」
ベテラン練習馬だと騎乗者がこうすればこうするというパターンがある程度組み込まれている。
だから、馬とやり取りする時もマニュアルに沿った受け答えのような感じのときもある。
「先生の言われた通りやったら馬がやってくれた」というお手軽さ。
しかし【アウグス】とは真正面に向き合ってああでもないこうでもないと討論した気分。
【アウグス】は途中でキレて興奮するでもなく、集中力をとぎらせてイライラすることもなく、私の話をじっくり聞いてくれた。
【アウグス】はこう思っていると強く主張し続けて、なかなか全面同意には至らなかったが、それでも「ああ、その点では僕も同じように思ってますよ」と相通じるところがあった。
対等の存在としてやりとりに応じてくれた、そんな充実感がある。
馬には「違う」「ダメ」と罰するような抑え込むような扶助をだすのでなくて、
一番楽になる方法を選んだ時に、まぎれもなく純粋に楽になる方法を示せばいいのだ。
馬のこうしようという気持ちに沿って「そう」と言えればいいのだ。
■馬の気持ちを感じ取るって、AがあるからBといえるという冗長な論理でなく、
「あ、はっ」という直感の領域。
確かに存在するけど再現性がない。
明日どうなるかは誰にもわからない。難しい。


3周年 [サマリー]

 2007-08-05(Sun)
乗馬を習い始めて3年がたったのを記念して。

■思い出いろいろ

今の乗馬クラブを知ったきっかけは:
 英会話教室においてあったパンフレット
 ブリティッシュグリーンのおしゃれな表紙に惹き付けられた

乗馬クラブに通い出して:
クラブ主催の2004年クリスマスパーティで、
「では皆様に余興をご覧にいれます」とクラブハウスのベランダから眺めたのは、
燕尾服で正装した教官が披露してくれたパドゥドゥ。
その時の料理の豪華さや飾り付けの華やかさと相まって、
「な・な・なんて、かっこいい〜乗馬って素敵〜☆」としびれてしまった。
そのころの乗馬クラブは本格的な喫茶店が併設されていて、おいしいコーヒー手作りケーキや「ピラミッドカレー」などこだわりメニューが楽しめた。
目のくらむようなスタイリッシュで贅沢な時代は、長くは続かなかったのだが。

4%先生の初レッスン:
2004-08-07(Sat) 「手綱は短く持って馬を励ましてあげましょう」が初アドバイスだった。
ビギナー時から指摘したくなるポイントは同じなんだなあ。

らくだのような馬:
2004-12-01(Fri) レッスンが終了して馬場から出ようとしたところでいきなり前肢を折りはじめる【フィーネ】
気がつけば両足が地上に着いていた。
馬を跨ぎ越して「飛び降りなくてもいいんだ」と感動していたら、
「危ないから離れて!」という教官の声。
こんなに楽に乗り降りできるのにどうして?と事態がのみ込めていなかった私。

こんな見学者はいや〜:
散歩中に馬が見られるというのは珍しいからこうなってしまうのだと理解はしますが、
小さな子供が歓声を上げて馬場に走りよっていくのを「おお馬に興味があるんだなあ」と後ろで満足げにながめている親御さん。
ーー嬌声を上げて走り回る子供は予測不能で、とっても怖いものに見えます。
  馬が物見をするんじゃないかと乗っている私は心臓が止まりそうになります。
大きな犬を連れて邪魔にならないようにと物陰からひっそりと覗く方。
ーー草食動物にとって肉食獣に狙われているような感じで、その姿勢その視線がとっても気になります。
  そこに潜まれている限り心拍数は120回を下りませぬ。

思い出せばいろいろあるんですが…




530鞍目 3周年記念 [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-06(Mon) 初級クラス 通算530鞍目
■とうとう乗馬を習い始めてから丸3年が経った。
「いったい何を目指してきたのか?」と問われれば、
《信じられないような気持ちのいい走り、天翔る馬に乗るような走りの官能》としか答えられない。
騎乗日記の随所に記した「ふわっとした乗り心地」「すうと何の抵抗もなく動く」「パワーの束に運ばれる」「神の恩寵のように楽になる」「束縛から放たれて自在に動かせるという開放感」etc.という表現。
これらをまた再び味わいたいという気持ちが、私に乗馬を続けてこさせた。
まるで中毒患者である。
最初の頃は、思いがけないプレゼントという形で一瞬しか味わえなかったのが、
1年半を過ぎて初級復帰をしたあたりから、「騎乗者が意図的に関わることによって気持ちのいい走りになるのでは」と気付き始めた。
そしてそれは、身体がほぐれて背中を丸めて使い後肢を大きく踏み込んで前進気勢のある馬がハミを受けて動いている状態と重なるらしいとわかってきた。
「うわっ、気持ちいい」という感覚と「そう、それでいい」という先生の声が同時に起こるとき、自分の求めている方向が間違っていなかったと安心する。
これからも《走りの官能》を求めて、ますます中毒の度合いを深めていきそうである。

■8月に入って深刻に暑くなってきた。
わが師【主席】がこの週末にひどい疝痛を起こしたらしい。
今朝、顔を合わせると眼力がなく身体のあちこちにひどい傷。
それでも小さく「ぶぶっ」と鳴いて挨拶をしてくれる。
「お医者さんには覚悟しておいてと言われたけれど、持ち直してきた」
「この生命力は、さすが【主席】」とひと山越したスタッフはやれやれという表情であったが、高齢の彼には連日33℃を越す暑さはつらいだろうと思う。
心の準備もすべきか…
■前置きが長くなったが、本日は心の友【アウグスティヌス】なり。
マダム@【毒うま】、元馬術部監督@【チャンドラ・グプタ】平日の初級クラス常連の3騎部班である。
ご指導いただくのは熱血ごんちゃん先生。
■前回は【アウグス】に最初から最後までハミの規制をかけ続けて、
「うぬぬぬ」と議論しあったが、今日はごんちゃん先生だから規制の指示はなし。
気持ちよく前に進んでもらいつつ「ねえねえ」と囁きかけていくことにする。
軽速歩と速歩を交互にして脚の位置が変わらないようにという練習から。
まったく問題ない。
いったん動き出すと前肢後肢ともに大きく振り出して極上の乗り心地である。
私としては、【アウグス】の首や鼻梁の位置、ハミのくわえ方がどうなっているのかが気になる。
鏡に映る姿や馬場に落ちる影をちらちら見ながら確かめる。
ハミをくっくっくっとくわえながら鼻先を伸ばして楽しそうに走っている。
「競走馬ならそれでもいいけれど」
「ちょっとだけ私のそばに来てみない?」と
外方の肘を腰の脇に付けてぴんと張るようにする。
そして、内方の拳で「こっち向いてごらん」とくいくいと合図してみる。
おう、ほんのちょっとだけ頭が下がる。
「すごい、なーいす」と嬉しくなって、ほめ言葉が出てしまう。
■速歩での巻き乗り、左折右折、3湾曲などでは姿勢のとらせ方の練習。
ごんちゃん先生のよく通る声が、
「外側をグッと持って、内側の脚を長く下に伸ばすように」
「内側斜め前に(馬の重心が)落ちていくように」とアドバイスしてくれる。
そうだった、外側前肢に荷重してしまうと曲がり難くなるからまずは外方手綱だ。
肘を腰の脇に置く。拳が前に出て知らぬうちに緩んでしまわないように。
それから内方で「こっちだよ」と合図。
あれ、スムースにリズムブレイクなしで曲ってくれる。
【ベル】のようなスムースさ。
どうしたんだ? あれだけ外方に逃げまくっていた馬なのに。
円の前半から後半に移る時に外方脚で「ほれほれ」
蹄跡に戻る時には、斜め横足の要領で幅寄せ感覚で馬体をまっすぐにする。
前回、あれだけ「むぐぐぐ」と回転から逃れようとしていた馬とは思えない。
途中で駈歩も入れて、後半の速歩運動では、
外方拳を握っただけで回転運動に入ってくれる。
「ぐっ」という合図で「はいよっ」と巻き乗りや右折左折してくれるって、どういうこと?
「外方で馬を回すようにしましょう」と言うごんちゃん先生の意図はここにあるのか。
■前回とは違った意味で
「【アウグス】はすごいです」
「さらにバージョンアップしたみたいです」と先生に報告。
外方拳を握っただけでスムースな回転運動をしてくれる馬なんて、不思議すぎる。
しかも、前回までは散々外方の肩から逃げてきれいに曲がれなかったのに。
ごんちゃん先生は「【アウグス】は外側の手綱をぐっと支えてあげるとよく分かるみたいです」とおっしゃる。
ううむ、やっぱり外方ね。
こうなったら、この夏は外方にどっぷりつかろう!
■顔からもぽたぽたと汗を滴らせている【アウグス】
かなりの汗っかきらしい。
レッスン後は、馬具をはずして砂浴びさせてからシャワー浴。
たてがみシャンプーマッサージをすると気持ち良さそうだった。
夏は、水浴びをかねたお手入れがあるから暑くても乗っていられる。
「夕方にもうひと鞍レッスンがあるから、お手入はなし」と言われたとたん、私は熱中症で死にそうになるのだから。


531鞍目 速歩は最高 [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-08(Wed) 初級クラス 通算531鞍目
■家を出る時は「めっさ暑いわさ〜馬に乗りにいく人の気が知れない」と我ながらあきれかえっている。
ところが、クラブに着くとさわさわ風が吹いてヒグラシの声が木立から聞こえてくる。
最高気温33℃は変わらないと思うのだが不快指数が低い立地条件のようだ。
「どの馬が配馬されているかな」とワクワクしながらアクセスカウンターに向う。
■今日も乗せてもらえて嬉しい【アウグスティヌス】
マダム@【毒うま】との2騎部班でごんちゃん先生のお世話になる。
速歩までは乗り心地も操作性も最高の【アウグス】
いい馬である。
■こうなると欲がでてくる。
これまではもたつこうが何をしようが、とにかく駈歩発進ができて蹄跡1周ができればそれで良し(だって難しいお馬だから)というスタンスだった。
しかし駈歩でもすっと一回で発進し、蹄跡周回も輪乗りも巻き乗りもスムースにできないものかと思うようになってきた。
現時点の駈歩の状況は、
以前のように、発進失敗をすると馬があらぬ方に身体をくねらせ常歩でまっすぐ歩くこともしなくなるという状態はなくなった。
速歩が出て再発進する時には、いまでもグネグネするが手綱を伸ばし気味にして「私は駈歩したいんだよ」と根気づよく訴えると、「ちょっと僕の準備ができるまで待っていてよね」と時間はかかるが最後には駈歩をしてくれる。
駈歩が出れば乗り心地はいいが、前に馬がいたり移動ラチがあったりすると急に加速したり切れ込んだりと勝手をされてしまう。
速歩ならこちらも「何があっても逃しはしないよ」と強気に出られるのだが。
駈歩は「なに?何をするつもりなの?」と吃驚するところで止まってしまう。
やはり「一定のペースでゆっくり駈歩するからね、つかまっていてね」という馬の愛がないと、駈歩に乗れないのだ。
■ごんちゃん先生は、できない所を無理にやれとは言わない。
アグネス】の駈歩発進が初心者向きでないのも事実。
しかしなあ、「このままできなくてもいいや」とスルーしていいものか?
絶対〈外方で支える〉が鍵だと思うんだが。
〈井桁崩し〉が解法となるか? あれこれ考えを巡らせている途中。

■一時は生命を危ぶまれていた【主席】
今日行ったら「ぶひぃぶぶぶぶぅ」と元気な声で挨拶してくれた。
よかった、ひと安心である。


532鞍目 完膚無きまでに [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-09(Thu) 初級クラス 通算532鞍目
■以前、騎乗日記を書く上での留意点を自分なりに決めた。
ー「〜ができた」「〜ができなかった」に焦点をあてないー
なぜなら、馬の状態を含むさまざまな要素がからんで「できたりできなかったり」
私自身、習い初めの時の方がすんなりできたのに、ひとつ躓いてからは坂を転がるようにできなくなってしまっている。
巡り合わせの幸不幸で「できた」と喜んだり「できない」と落ち込むのは表面的すぎる。
長期的な視野で「できるようになってきたこと」と大切にしようと思った。
ー「このひと鞍から私が学ぶべきことは何か?」を追求するー
いつまでたってもできないことの裏にいつのまにかできたことが存在する。
なんとか解決したい課題とは重層的なもの。
パズルのように何かひとつを動かすと他が影響受けて、いったん解決に程遠い姿を経ておさまる所におさまる場合もある。
チェックリストのように○×をつけるのではなく、
「それはどういうこと?」と開かれた問いかけをしていくべき。
ー日記を感情のはけ口にしないー
人間として生きている以上、
困惑、不満感、疲弊感、無力感、不平、嫉妬、羨望、疎外感、敵愾心、不信感などなど盛りだくさんの負の感情を経験する。
私がよく感じるのは「情けなさ」
「はぅ〜これだけ頑張ってもだめだこりゃ」とため息がでる。
そして「無理むり」「お金と時間の無駄だ」とこれまでの自分を全否定する方向になだれ込んでいく。
ただ、思いっきり負の感情を味わい尽くすと底のところに全く別の物を見つける。
「そんな私でもここまで続いたじゃないか」
「次がどうなるかなんて、お馬さま次第」
パンドラの箱に最後に残っていた物と同じ、希望。
流転する感情は、文字にして固定しないようにする。
そのほうが後から読んで恥ずかしくないから。

■こんなことを書かなければならないほど…
本日のレッスンは情けなかった。
【毒うま】君で、【時鮭】と【チャンドラ・グプタ】との3騎部班。
軽くて駈歩がすぐに出てくれるはずの【毒うま】君で、駈歩全敗。
速歩すらコントロール不能。
完膚なきまでにやられた鞍の5例目になる。
■まあ、駈歩の時にバラバラになっているからなんだが…
駈歩発進が下手の上塗りになってきている感じ。
まあ、しかたない。そんな時もある。


533/534鞍目 座骨の扶助 [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-10(Fri) 初級クラス 通算533鞍目
■梅雨が明けて、暑い日がノンストップに続いている。
雨も降らないから馬場は砂漠状態。
気分はアラビアのロレンスである。

■今日のひと鞍目は【アレフ・ゼロ】
1週間ぶりの4%先生。
初級クラスは誰も来ないからひとりレッスンになる。
「じい様、暑いのにつき合わせて済まないねえ」とつぶやきながら馬場に出る。
夏バテし易さ筆頭の【アレフ】なのに、どうしたんだろう肢運びが軽い。
以前、動かないのに腹をたてて拍車で蹴りつけた同じ馬とは思えない。 
「今日は朝少し乗りましたから」と4%先生が言っていた、そのせいか?
■「じゃあ今日の常歩は輪乗りで」
んん? 目先の変わったことやるんかいな。
「鐙は脱いじゃって下さい」
「そして腿を持ち上げて、自転車こぎするように持ち上げて動かしてみて」
「座骨があたるのがわかりますね」
はい、もちろん。
以前は座骨が鞍にあたっているごりごりした感じだけだったが、
今では座骨が鞍にはまって仙骨が立ち上がるところまでイメージできるようになった。
「座骨を立てるようにして」
「肘は腰の脇につけて、例えるなら腋の下に硝子の体温計をはさんでいるつもりで、
ギュッと力を入れれば壊れるし、脇をあけたら落ちちゃいますよ」
「拳は、げんこつ2個分あけて」
ふむふむ、基本的な姿勢の確認ですな。
「はい、では鐙をはいて下さい」
「常歩の推進は、左右交互に脚を入れると言いますが、」
「後肢を蹴り出して地面に着いていない側の脚を入れるんです」
バックミラーが付いているわけじゃないから、馬の動きで感じ取るしかないってことか。
「先生、馬の肢運びに押されて人の腰が動き始めた時に脚を入れるんですよね」
「腰が押されたのを感じてから合図を送っていたら、出遅れですよね」
やってみる前から細かい所にこだわり過ぎの傾向。
「ん〜、まあ馬の動きに合わせて脚を使うのでいいと思いますよ」
そうそう、先生の言う通り。
運動を事細かなマニュアルに置換えてしまうと、微妙なタイミングやバランスなどの無意識の働きが阻害されてしまうらしい。
とりあえず、やってみる。
お馬の肢運びにあわせていると自分の足で歩いているような感覚になる。
自分の足が前に進む時にくうと押せばいいだけ。
何度も脚を入れる感触を確かめていたせいか、すぐ速歩になりたがる【アレフ】
「そこで速歩にさせたままじゃダメですよ」と注意がくる。
アクションを起こして馬に投げかける、その結果が速歩になるということは良いことなんですよ」
「馬に伝わっているということですから」
4%先生は、馬がこちらの扶助の意図と違うことするのを肯定的にとらえてくれる。
すぐ「あっ違う」と焦る私に「大丈夫、それでいいんです」と安心させてくれる。
その上で、
「でも、それがこちらの意図と違うときはすぐ訂正しましょう」と
次のアクションをとるよう促す。
手綱を握って速歩じゃないよと伝えて、推進は続ける。
■「もちぇさんは今、常歩の動きを座骨で感じ取ってますよね」
「馬の動きに合わせて動いてますよね」
はいはい、自分の下半身が馬になった感じとでも申しましょうか。
「次は速歩行きましょ」
「馬の動きを座骨で感じながら〜、準備して」
この次元になると「そら走れ!」「ほら行け!」と遠くからがなり立てる扶助ではなくて、
傍らに立って腰に手を添えて動き出すきっかけにそっと押してあげるような雰囲気になる。
ちょうどダンスパートナーが、リードしたりサポートしたりするのに似ている。
速歩になると今度は上下動になって座骨は鞍に着いたり離れたり。
「背骨を胸に近づけるように、頭の後ろで馬のお尻を見ているつもりで」
ちょっと背中が丸くなって首が肩より前にでている姿勢になってしまうんだろうな。
「自分の上体の重さをまっすぐ座骨に落としていくように」
「馬の背中の上に1本の筒がのっているイメージで、その中に上半身が入るようにね」
ひょえー、ついに出ました。
座骨に体重をかけて推進する方法。
かつて、お館先生に「みなさんは座骨推進なんて100年早い、今は馬の邪魔するだけだから考えなくていいです」と言われていたのだ。
まあ、そのときは座骨を使うも何も、脚を入れようとすると腰ごとグニョグニョ動いてしまっていただけなのだが…
〈背骨を胸に近づけるように〉ってあり得ない表現だよと思いながらも、肩甲骨あたりの背骨をまっすぐ立てるようにしながら身体が前に倒れないよう気をつける。
「そう、いいですね」という声と身体のブレが少なくなるのが同時。
■「座骨でこの速歩のリズムについていって下さい」
「リズムに同調していれば速歩が続きますが、」
「人がそのリズムを変えていけば、速歩が遅くなったり常歩に落とせますよ」
「今度は、手綱を使わずに座骨のリズムで常歩にしてみましょう」
来た、来た、来た〜 座骨がコンダクターになる日が!
気持ちよく馬のリズムに乗っていたのに、わざとずらすのは苦痛。
とにかくひと呼吸遅れて座骨が付くようにちょっと力んでみる。
馬のスピードが落ちるにつれて、斜め前へと動いていた反撞が上下動に、そして左右の振れも加わってくる。
左右の振れに同調すると、
脚がみぎひだりと自然に馬体にあたる。
これじゃあ推進になっても下方移行にはならない。
だめだ、いつまでたっても常歩に落ちませぬ。
「手綱を緩める必要はないんですよ、そのままそこで持っていればいいですからね」
「もう一度、座骨でリズムをあわせた速歩をしましょう」
左右の揺れに図らずも同調してしまって、座骨でのコンタクトが切れて馬に何をすべきかを伝えられなかったとみた。
あまりにも恐る恐るやると何を言いたいかがわかり難くなる。
座骨のリズムカウントを速歩2拍子ではなくて常歩4拍子へ、すぱっと変えてみよう。
トントントントンというリズムを、最初ひと呼吸遅らせて、
んっトン、トン、トン、トンにして、
やや強引にトトトト、トトトトと平坦で前後に広がるように押さえつけてみる。
ト、ト、ト、ト(ポクポク)、ポクポク、ポクポク
おお【アレフ】よ、常歩になるではないか。
「では、もう一度速歩へ」
脚を入れながら、前後に伸びた座骨の動きを「次は上下に動かすんだよ」と巻き上げるように前後幅を小さくする。
トントントントン、【アレフ】わかってくれるんだね。
ほとんど力を使わず速歩になるじゃないの! びっくり!
■輪乗りの円周4分点にコーンを置く4%先生。
「このコーンの脇を通る時に、外側の座骨を馬の背骨に近づけるようにして」
座骨を馬の背骨に?? と一瞬戸惑う。
ああ、外側の座骨をよりまん中に寄せるわけね。
しかも馬の背骨を越えて内側に落ちないようにという含みがある。
「そのぶん内側の脚を長く使って」
「外側の手綱が緩まないように、肘に気をつけて」
「コーンとコーンを直線で繋ぐつもりでいいから」
「コーンを通る時に大袈裟なくらいに曲がってみて」
言われた通りやってみる。
外側の座骨を馬の背骨に引っ掛けて、内側の脚を伸ばして鐙を踏み込む感じ。
座骨の位置だけに気をとられて、曲げようなんて考えてもいない。
それなのに、くいぃと急カーブを曲がる【アレフ】
「じゃあ、輪乗りの手前を換え」と号令。
手前換えはさらにカーブがきつい。
これも同じように座骨を馬の背骨に近づけるようにして扶助を送る。
中央での姿勢の入れ替えをするのが忙しかったが、
急カーブでもすんなり曲がってくれるのが驚き。
まったく手綱を意識せずに曲がれるものなのか。
■「じゃあね、次は駈歩もやってみましょう」
「常歩で輪乗りをしながら、このコーンの所に来たらさっきやった座骨を寄せて準備をして、それから強めに外方脚で合図出してみて」
コーンの脇で曲がる時と同じように座骨を入れて、外方脚をついと引く。
何の迷いもなくタンと駈歩発進する【アレフ】
「おお」と歓喜の声が出てしまう。
これまでの駈歩発進は何だったのか? 
こんなにエレガントで理にかなったやり方があったなんて…
■「駈歩での座骨の動きを意識してくださいね」
「馬と一緒に動いていれば駈歩が続きますが、リズムを崩すと速歩に落とせますよ」
「一度やってみましょうか、腰の位置をずらすとか左右に関係なく振ってみるとか」
んーもう、気持ちよく駈歩に乗っているときに限ってわざとリズムをずらせというお達し。
ずらそうと駈歩のリズムに集中するとなかなか速歩に落ちない。
そこで、いつも速歩に落とされる時のように何か違うことをやってみる。
教官に注意されて姿勢を直そうとする時のように。
馬を無視してちょいと振り向く。
馬の波打つ動きとぶつかって私の腰がきゅっとひねられた、と速歩に落ちる。
「はい、じゃあまた準備して駈歩出しましょ」
何度となくエレガントな駈歩発進を味わう。
■「目からウロコです」
「何の力も使わずに【アレフ】がこんなにスムースに動いてくれるとは」
「これまでの蹴ったり引っ張っていたのは何だったのかと思います」
と口をついて出てくる感想。
「そうですよねえ」と
これまでの馬上の大暴れを見てきた4%先生のひと言。
■駈歩発進でバランスバラバラのまま展望が開けず悩んでいた私に、
ゆっくりはっきり「こうやるんだよ」と教えてくれた【アレフ】
そして、悩みに対応したレッスンを組んで下さった4%先生にますますの尊敬と感謝の念を抱く。
ありがたし。


533/534鞍目 まだまだ [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-10(Fri) 初級クラス 通算534鞍目
■10:30 からのレッスン、ふた鞍目の記録。
「昨日うまくいかなかった【毒うま】でやってみましょうか」と4%先生のご提案。
ひと鞍目が驚異のレッスンだっただけに、
【毒うま】君でも上手くいくかどうか試してみたかった。
水分補給をしっかりして臨む。
■4%先生のひとりレッスン、第2部開始。
昨日、駈歩全敗した【毒うま】君を相手に座骨の扶助がどこまで通用するか検証する。
「さっきと同じように、鐙を脱いで腿を持ち上げて座骨のあたる部分の確認をしましょう」
えっ? 座骨の感じがさっきと違う。 驚いて4%先生に直訴。
「座骨のあたる感じが左右で全然違うんです」
「左はほとんど動かなくて深く刺さった感じなのに、右は浅くて動く範囲が大きいんです」
座り方が傾いているとか自覚できていない不備があるのでは? と心配になる。
「そうなんですよ」「わかりますか?」
はい? 座骨のあたる感じに左右差があっていいんですか。
「【毒うま】は差があって、それで左手前が苦手らしいんです」
なんとまあ、座骨ひとつで馬の体の使い方までわかるのか。
■輪乗り円周4分点のコーンを速歩で曲がる練習もする。
最初、まとわりつく虫に気をとられ肢運びが乱れていた【毒うま】だったが、
見かねた先生に虫除けスプレーをしてもらって、落ち着く。
「見えるところに虫がいたら、払って上げても大丈夫ですよ」と言われる。
そうなんだ、運動中に騎乗者が虫を払ったりしたら驚いて大変なことになるのではと思っていたが、大丈夫らしい。
「外側の座骨を馬の背骨に近づけるようにして」
「その分内方脚を長く使って」
「今度は、外方の壁も意識してみましょう」
「外方の手綱と脚で壁を作るといっても、固い壁じゃないんですよ」
「どちらかと言えばネットが張られている感じ」
「内側から押された分、弾力性を保ちながら外側に押されて膨らむ感じですよ」
【アレフ】より馬体も動きも大きい【毒うま】君だが、くいっとカーブを切ってくれる。
「コーン間の直線ではね、外方に長いスキー板をはいているつもりで」
具体的にどうしろという指示ではなくイメージの提示なのだが、その時の状況にはまっているとすごくわかりやすい。
〈外方の壁〉といっても弾力性があってむぎゅうと受け止めると急カーブになるし、
レールを滑らかにすべる輪乗りとか、長い板に沿って進んでという直線とか。
運動の種類によって扶助のニュアンスが変わってくるのだ。 
いやあ、興味深い。
■いよいよ、駈歩に挑戦。
【アレフ】の時と同じように
外側の座骨を馬の背骨に近づけるようにして内方脚を入れ、
エンジンの回転数があがったところで外方脚の合図。
ええん(涙)、速歩になる。
「もちぇさん、もうちょっと我慢」
「経路のC点までまだまだと待つように」
ん〜、何度が発進を失敗するうちに馬エンジンの回転数が上がらなくなる。
昨日はここで長鞭を使ったら逆に止まらなくなったのだった。
「常歩のうちに一度ドンと蹴っておきましょうか」
「脚への反応が鈍くなってきているようだから」
【毒うま】を蹴るのは、地球の重力圏から逃れて宇宙に飛び出すことを意味するんですが…
普段ならそう思うのだが、今の【毒うま】はかつての【アレフ】のよう。
躊躇なくリセットボタンを押す。
そして、駈歩発進の扶助。ちゃんと駈歩になる。
■4%先生曰く、
「駈歩ださなきゃという気持ちで我慢して待てないところが、うまくいかない原因かな」
「部班ではそうなり易いですよね、無理ないことだと思いますが」
「ただ体勢がバラバラのまま無理矢理発進しても、その後の駈歩に上手く乗れないしね」
はい、その通り。
駈歩しなきゃと焦るところ多大なり。
だから、多少体勢が崩れていても取りあえず駈歩を出してくれる駈歩初心者向きの【アレフ】や【山桜】なら大丈夫なのだ。
〈待つ〉〈我慢する〉って、本当にむずかしい。
「【毒うま】が上手くいかないのは、脚にたいする反応が鈍くなっていたせいもあると思いますよ」
そうか〈軽い馬にこそ脚を〉の次は〈通じない扶助の連発は鈍感にさせる〉という警句か。
■扶助は、馬によっても時と場合によっての伝わり方が違う。
「僕だって駈歩がでないときがありますよ」と4%先生は言う。
その時「じゃあこれなら、どうだ」「それでもダメならこれは?」と次々に扶助を繰り出すそうだ。
「馬がどう反応するかは、こちらから投げかけないとね」
上手くいかないと焦ったり諦めたり、自己完結して自爆してしまう自分。
馬に乗るためには、人間がリーダーシップをとらねばならない。
ボスは馬に対する責任を放棄してはならない。
あわてず、あせらず、あきらめず、そしてあなどらず。
タフネゴシエーターへの道は遠い。


535鞍目 School Master [第13章 初級手綱の感触編]

  〜〜〜〜〜 残暑お見舞い申し上げます。 〜〜〜〜〜
  とうとう最高気温40℃を越える騒ぎ。まるでインフルエンザです。
  皆様どうぞお身体に気をつけてお過ごし下さい。(2007-08-15記)

 2007-08-13(Mon) 初級クラス 通算535鞍目
■これまでの暑さが蓄積された上でさらなる炎天。
わずかに曇っただけ、かすかに風が吹き抜けただけでも「ありがたい心地よい」と思える心境。
■今日のお相手は【アレフ・ゼロ】
ふむ、ふむ。
「先週金曜日の復習をしてみましょう」という配馬意図だろうな。
【アウグスティヌス】との2騎部班でごんちゃん先生のお世話になる。
■こんな炎熱環境でも【アレフ】は軽々と動いてくれる。
軽速歩では拳を静かに肘を畳むことを意識する。
と、「もちぇさん、拳をもう少し上にあげて」とごんちゃん先生の注文
んー、馬の口から肘まで一直線にならず拳が落ちていたかしらん?
「そう、そんな感じ」とOKを出しながら、
本日のレッスン課題について説明をはじめる先生。
■【アウグス】が走っている姿を眺めながら「あんな風に鼻づらが伸びているのは、馬をどんどん前に出してもらっているからなのですが…」
「【アレフ】には首を下げて顎を引いてもらって、馬の前ではなく後ろに重心が来るようにしていきましょう」
「前が軽くなれば馬も動き易くなりますからね」
「そのためには、人も腰を張って、胸や肩が前に倒れてこないようしっかり起こしましょう」
今日は上体の姿勢の再確認だ。
肩甲骨を意識し続ける。
「首が上がってくるようだったら、ハミを右左に動かして合図するだけで【アレフ】には通じますよ」
レッスン中常に意識して、首を下げた体勢を維持せよとのお達しと受け取る。
「ちゃんと首が下がるとほら手綱もそんなに短くできるんですよ」
見ればハーフピッチの5つ目で違和感なく持っている。
水勒1本でここまで【アレフ】との距離を短く保てるなんて、以前の私ではあり得なかった。
■駈歩も座骨での扶助に外方脚のトリガーで、クリアに発進してくれる。
駈歩自体も前が軽い走りで乗り易い。
わずかに馬エンジンの回転数が落ちてきたなと感じる時に、内方脚を使うとはっきりと前に出てくれる。
駈歩をしている時に自分の扶助に馬が答えてくれる経験が少なかっただけに〈手応えあり〉に心が躍る。
「座骨とふくらはぎで馬についていきましょう」の声が聞こえてくる。
リズムとバランスの良い駈歩に乗っていると本当に座骨がジョイントになっているのを自覚する。
レッスンを終えて「駈歩がよく前に出てましたよ」との講評をいただく。
【アレフ】に教えられることは多い。


536鞍目 外方なのだ… [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-17(Fri) 初級クラス 通算536鞍目
■お盆期間中、体験したことのない高温にさらされた。
このつくばの最高気温は16日午後2時に37.1℃。
でもこの温度って百葉箱の中での話。
アスファルトの照り返しやエアコンの廃熱が流れ込む所では、いったい何度になっていたのだろう。
条件にもよるが体温以上の時は熱中症予防の観点から「運動は原則禁止」
乗りたくても乗らない勇気を持とう!
■高温の記録を塗り替えた歴史的な日があけて、本日。
「暑さの峠は越えた」と聞いて乗馬に復帰。
まだまだ暑いが、それでも楽に感じられる。
今日のお相手は【アウグスティヌス】4%先生のひとりレッスンになる。
■「昨日は凄い暑さでしたね」
それでも馬に乗りにくる人がいて、仕事をする馬がいて、さらには馬場のまん中で指導する先生方がいる。
大丈夫だったのかしらん?
「なるべく頻繁に水分をとるようにして、まあこの通りですから」と4%先生。
馬も人も激務である。
■馬場には先日と同じ20m輪乗りの4分点に赤いコーンが置いてある。
おお、楽しくなりそうなレッスンの予感。
「まず並足から、コーンの外側を通るように輪乗りをしていきましょう」
むむむ【アウグス】ったらコーンの内側に抜けていきたがる。
右手前がそんなに苦手だったか? 駈歩発進以外は左右差はなかったと思うのだが。
とにかく、前に出すことが第一。
「外方の手綱を緩めないで」
「脇が甘くなると肘が伸びて、手綱が緩んでしまいますよ」
「外方をきっちり持っていれば、外方のハミにあたって馬がそれ以上はダメなんだとわかりますから」
「内方脚で外方に向って押して」
私のしていることは内側の押し手綱で、馬の肩がこれ以上内に入らないよう努力している。
気分的には内に壁を作っているつもりなのだが…
言われることとやっていることが違う。
膨らむなら外方なんだろうけれど… なぜだ?
それでも言われたとおり、外方の脇や肘を意識して締める。
特に肘が伸びてしまい易いので、腰の脇に置いておけるよう気をつける。
んん、鼻先がフラフラしなくなってきたような…
視野に入る馬の首や頭を進行方向に向けても決してその通りに進むわけではない、本体と繋がっていないものと感じていたのに、なんだろう馬の本体と首頭がカチリと固定されたようなかすかな手応え。
おうおう【アウグス】がコーンの外側を普通に通れるようになってきた。
「もちぇさん、あちこち調整が上手くなってきましたね」
4%先生に言われた時には、やぶれかぶれ扶助がまぐれ当たりしただけと思っていた。
だが今考えてみると、内側の押し手綱は当然でさらに外方の規制も必要だったのかも?と思える。
内だけ外だけひとつ何かをして、あとは関係ないわけではない。
すべてがバランスのうちに連動している。
「馬がそこ以外行けないように」
「両手両脚の間に馬を置く」
と4%先生はよく表現するが、馬の鼻先がフラフラしない感覚って〈その方向以外ない〉のを馬が納得して進んでくれるからなのかもしれない。
■右手前の輪乗りで【アウグス】と話がついたためか、左手前は気が抜けるほどスムース。
4分点に置かれたコーンの脇を通るたびに外方の肘と脚を意識するだけでクイと曲がってくれる。
「コーン間は直線で進めるように」
「曲がるのと直進の違いが馬にわかるように」
【アウグス】はいったん納得してくれると、こちらが驚くばかりにスムースに動いてくれる。
わずかなキューでしっかり伝わる。
■「速歩にしましょうか」
「下半身がどっしり根を下ろしたように」
脚でドカドカ蹴ると座骨が浮いてしまうのをお見通しで、先に予防線を張られた。
「脚への反応が鈍いなら鞭を使って下さいね」
つねに座骨での交渉窓口を維持せよとのお達し。
速歩が出てしまえば、これほど乗って楽な速歩はないので問題はない。
コーンの周囲を回る輪乗りもスムース。
■「じゃあ蹄跡に出ましょう」
「今までと違う図形だから馬が言うこと聞かないかもしれませんよ」と警告。
急に進路変更すれば馬が混乱するだろうと、ひとつ手前のコーンのところから「輪乗りを離れるよ」と外側に余分に荷重していく。
蹄跡を何歩か行く間「ええー、こっちでいいの??」と戸惑う雰囲気が伝わってくるが、「そうそう」と扶助を変えずにいると「ふーん、そうか」と【アウグス】の緊張が解けるのがわかる。
調子良く走っていると「じゃあ巻き乗りしましょう」の号令。
外方拳をわずかに握って「回転に入るよ」と伝える。
さすが、リズムブレイクなしに巻き乗りに入るじゃないの〜
内側の手綱が余ってきたけれど、弛まないように持つと「内方譲って」と注意されるかなあなどとボンヤリ考えていると、いきなり常歩に落ちる。
えっ?どうして… 気持ちよく走っていたじゃないの。
蹄跡一周してもう一度巻き乗りに挑戦。ところが半周で同じように常歩に。
何が悪い? 前半が調子いいだけに推進がおろそかになったか? 内側に傾き過ぎか? 
「巻き乗りに入ったら、次はどちらの方向に出るのか馬にしっかり伝えて」と4%先生。
反対側の長蹄跡で再々度巻き乗りに挑戦。
今度は巻き乗りの出口に向って、脚を手綱も騎手のバランスも総動員。
よし、成功。 
ふえ〜、伝える努力を怠るとすぐに結果に出るのだ。
■いったん手綱を伸ばした常歩にして休憩する。
くびを伸ばしてリラックスする馬に乗るのは気分がいいのだが、その後を考えると不安にもなる。
エンジンを一旦アイドリングレベルまで落としたら、再度回転数を上げるのに苦労させられる馬がいる。
【アウグス】は大丈夫だろうか?
「もちぇさん、手綱を伸ばした常歩のままでも外方をつかってコーンを回る練習やってみましょう」
何をするかわかっている【アウグス】は、長めの手綱でもわかってくれる。
賢い馬なんだなあ。
「じゃあ、輪乗りのまま駈歩出しましょう」
手綱を短く取って「行くぞ行くぞ」とテンションをあげる私に、
「準備は必要ですけれど、そんなに緊張せずに」と4%先生の苦笑いが届く。
そうだった、手綱が短過ぎて馬が前に出ようとするのを邪魔していたんだった。
肩に入った力を抜いて、外側の座骨を馬の背骨に寄せて内方の脚を長く使う。
そして、外方でポンと合図。
「うわおっ」と歓声が出るほど楽々発進。
【アウグス】でかくもクリアに駈歩出たのは初めて。
■輪乗りをしていると「そのまま蹄跡に」の指示。
「多少内側に切れ込んでもいいですから」と4%先生の声を後ろに、とんでもない放物線軌道になる。
「常歩速歩でやったことと同じようにやればいいんですよ」
駈歩している時には冷静に思い出せない。
外の肘を伸ばすな? 開き手綱で外側に連れ出せだったか? 
じゃあ内側の手綱はどうするんだ?
速歩に較べて首の動きが大きい駈歩は、手綱がどんな感触になればいいのかわからん。
その時「外側にもっと乗って!」の声に、グッと体重と外にかける。
ようやく蹄跡を外れずに駈歩をしてくれるようになった。
すごい、体重移動だけで通じるじゃないか。
だが、あれ〜? 内方脚が後ろに引かれている。
駈歩扶助の姿勢が逆になっている。
あわてて脚位置をもとにもどす。
〈私が駈歩発進でつまづきやすい馬は内側に入られ易い〉という問題になんとなく光が見えてきたと言えなくもない。
外方だな… だがそれは内方とのセットであるし、手綱だけではなくて脚とか騎座とかもっと複雑にからみ合っている。
■最後の整理運動で「座骨のリズムだけで速歩をゆっくりにして常歩に落としましょう」との注文
【アレフ】とのセッションで学んだように、座骨の上下する動きに遅れつつ押しつぶすようにして待つと、ちゃんと常歩になってくれる。
「すごいっ!【アウグス】素晴らしい!」とベタ褒めしてしまう。
4%先生によれば、速歩についている座骨の動きにブレが少ないから、違う動きをするとすぐわかるようになっているためらしい。
去年の夏『ハミの感触』で学んだ〈ノイズが少ないから小さな合図で伝わる〉の座骨編というわけだ。
■【アウグス】はこちらの働きかけにとてもよく反応してくれるから、乗っていて学ぶ感動が大きい。
いい馬である。



537鞍目 馬洗いが好き [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-20(Mon) 初級クラス 通算537鞍目
■酷暑のお盆が終わって天の恵みのような涼しい土曜日。
ところがたったの1日だけだった。日曜からは変わりなく暑い!
少しはしのぎやすくなるかと期待していたのに、またぞろ33℃なんて予想気温が出ている。
馬インフルエンザが流行っているのも、暑さによる体力の消耗が一因となっているのではないか。
体調不良の【主席】を目の前にして「お願いだからもう涼しくなって」と天に祈りたくなる。
■本日も、一緒にいると楽しい【アウグスティヌス】
【時鮭】@マダムと2騎部班でごんちゃん先生のレッスン
■いつものことながら【アウグス】の速歩は快適。
〈肘を畳んで座骨を立てて上半身の重さをまっすぐ座骨に落とす〉など姿勢よく乗ることに集中できる。
と、ピタリと立ち止まる。
「あの、もよおしてきました」と言わんばかりにいきみ始める。
あまりにストレートな反応なので「しょうがないわよね」とボロが済むまで笑いながら見守る。
【アウグス】の仕草は「走らなきゃいけないのはわかっているんだけど、ああダメだ」と全身から伝わってくる。
おもしろい馬なのだ。
輪乗り、2湾曲などの姿勢の入れ替え練習はスムースに進む。
■駈歩は【時鮭】と【アウグス】を分けて練習。
どちらも他の馬を追いかけてしまう癖があって、下手すると競馬になるらしい。
前回の練習をふまえて座骨から内方脚にしっかり荷重して駈歩を出す。
駈歩は出るのに、きちんと隅角を曲がってくれない。
「ダメだよ!【時鮭】の方へ突っ込んだら」
もう、駈歩で斜め横足しているような体勢って、いったい何なの?
蹄跡を普通に周回できないのは何が悪いの?
左手前は駈歩出し直しをするうちにだんだん首が曲がってイヤイヤモードになってくる。
「もちぇさん、右手前に換えましょうか」とごんちゃん先生の指示。
今度は、駈歩を出そうとする前からイヤイヤ。
くう〜、再び泥沼戦争か…
ふと「馬の脚への反応が鈍くなっているから鞭使って」と以前言われたことを思い出す。
肩鞭ピシリ、ちゃんと駈歩してくれる。
なんて爽やかな走りっぷり。
走ってくれないじゃなくて、伝わらないまま馬を窮屈な状態に押し込めていただけだったんだ。
内側に切れ込んで楕円軌道を描くのは相変わらず。
「外方で!」という先生の声が聞こえてくる。
金曜日のレッスンで、拳を握ったり脚で押したりする程度では伝わらないとわかったので、外方に思いっきり体重をかけて鐙を踏む。
こうするとちゃんとまっすぐ蹄跡を走れる。
でも、どうしてそうなるのか? よくわからないし、
こんなひどい乗り方をしていいものか不安にもなる。
速歩が座骨の微妙な位置や荷重で扶助を出しているのに較べるとなんて荒っぽい乗り方なんだ。
■とまあ、以前は駈歩発進泥沼状態で諦めたり内側に切り込まれて終了だったのが、曲がりなりにも駈歩を出せてまっすぐ蹄跡も走れた。
馬に伝える努力をすれば、ちゃんと反応が返ってくる。
荒っぽくて破れかぶれの扶助だけど【アウグス】は応えてくれた。
汗ダラダラになりながら、そこに清涼な気分が充ちてくる。
「【アウグス】君と走るのは楽しいよ」
「今日もありがとう」
■お手入れは、汗かきの彼を砂浴びさせた後シャワー浴。
頭からぬるま湯を浴びせると気持ち良さそうな表情。
耳の間の鬣や眼のまわり、おとがいくぼ等を柔らかくこするのがお気に入りらしい。
「もっとやってくれ」とばかりに顔を押し付けてくる。
水が跳ねてかかるのはご愛嬌。
洗い用ミトンを毛を逆立てるように使って、馬体の砂を洗い落としたら汗こきで水分を拭う。
肢を冷たい水であらう内に身体は乾いてしまう。
4肢ともにソックスをはいている【アウグス】は、水で丁寧に洗っていると皮膚がきれいなピンクに染まってくる。
真っ白な肢毛の奥にすけるピンクをみると「よし、清潔保持完了」という気分になる。
タオルで拭き上げれば足元も乾くのが早い。
蹄油を塗っておしまい。
水浴びしながら馬と至福のひととき。
これがあるから、酷暑でも夏の乗馬は止められない。


538鞍目 似た者同士? [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-22(Wed) 初級クラス 通算538鞍目
■夜中に目が覚める。
枕元の温度計は31.0℃の表示。
太陽が出ていない午前2時なのに。
昼間の気温が下がりきらずに次の日を迎える。
■「朝から暑いですねえ」
「家にいても同じように暑いだけですから」と見慣れた顔と挨拶をかわす。
レッスン開始前から既に30℃を越えている。
今日も34℃とか35℃まで暑くなりそう。
こういう時期でも休まず馬に乗るひとを〈ディープな人〉と表現するのだろうか。
私もそのひとりなのだが…
■本日も【アウグスティヌス】と。
乗り心地の良さとストレートに反応を返してくれるのが彼のチャームポイント
最初の頃は〈ボスの座争い〉をしていたが、いつのまにか〈なあなあのお友達〉になっていた。
彼の中に「ボスとは認めてないから」という頑な感じがなくなってきたと同時に
私にも「絶対言うことを聞いてもらう」から
「あれ?この扶助で通じるの」と【アウグス】の反応の良さに対する驚きがでてきた。
〈現役競走馬だった〉〈牡馬〉という取り扱いの難しいイメージがあったのに、
今では〈愉快な〉〈いとおしくもあり〉〈取りあえず何でも言ってみないと伝わらない〉外国からきたお兄さんという感じ。
言葉に不自由しているから伝わらない時には悲惨だが、いったんわかってくれると嬉々として動いてくれる。
慣れない時期はガードが固かったけれど、それなりに馴染んでくれたかな…
■ごんちゃん先生にレッスンを見てもらう。
最初はなんだか重い【アウグス】
肢をあげないで引きずっているから砂埃が立っている。
「暑いと動きたくないよね」
「でも汗をしっかりかいて、レッスン終わったら冷たいシャワー浴びてすっきりしよう」と馬を励ましながら乗る。
煽らないよう、せかさないよう少しずつエンジンの回転数を上げていく。
隅角通過するたび輪乗りに入るたび「ええ〜」と抵抗するがだんだん落ち着いてくる。
自分が次に何をするのかわからないと気持ちよく前に進んでいけないのだろうなあ。
とにかく私を背中に速歩を続ければいいのだと納得してくれたようだ。
運動の指示は、輪乗り換えから、輪乗りの手前換え。
巻き乗り、左折右折。
「中央線に入って、右に巻き乗り、左に出て」
「今度は中央線に入って、左に巻き乗り、そして右に巻き乗り」と姿勢の入れ替えが煩雑になってくる。
回転に入るときは、外方拳を握って外方脚で押さえて、それから内方脚を長く使うこと。
回転中は内側の斜め前に馬の重心が落ちていくように。
ごんちゃん先生が要所で必ず声をかけてくれる。
直線を進むときは上半身の重さがまっすぐ座骨に落ちるよう、骨盤を立てて肘を腰の脇に背骨を胸に近づけるように。
延々と続く速歩に乗りながら、お経を唱えるようにして姿勢を整える。
時にふと、集中が途切れて「えーと何だっけ?」
すると見事に【アウグス】があらぬ方に行ってしまう。
「細かな運動になってくると、内方だけで馬を曲げていると次の回転で肩から逃げられてしまうんですよ」
「【アウグス】のような馬には、今やったみたいに外方で規制しながら曲げてあげると上手くいきます」
ふむふむ、外方の威力はこの【アウグス】で教えてもらったもんね。
■「じゃあ、駈歩行きましょう」
駈歩の雰囲気を察しただけで、首の向きが外斜めになる【アウグス】
さっきまであんなにスムースに内方姿勢をとっていたじゃないの〜
「速歩も駈歩も同じだよ」なんて、今まで自分が言われていたことを馬に語りかける。
首の位置を直そうとして手綱が窮屈になると駈歩が出せなくなるし…
「まず外側をがっちり持って、それから首を内側に向けて」
「そして、強めの外方脚で」とごんちゃん先生のアドバイスが飛んでくるが、
馬があらぬ方に向いている時に駈歩を出すのは、む・ず・か・し・い。
■とにかく手綱で馬の首を何とかしようとすると、
首をあげたり身体をよじって抵抗することはこれまでの経験から明白。
ぐっぐっと必要最小限に手綱を握る程度で、まずは前に出す。
常歩や速歩でこれまで通りの首を下げた内方姿勢をとらせたところで再度発進を試みる。
が、なかなか出ない。
ゴネゴネが繰り返されるが、イライラしている感じや怖さはない。
どちらかと言えば、タイミングが噛み合なくて「どーしよう」とまごついている感じ。
私と【アウグス】がどちらも「下手クソでごめん」とお互いの足を引っ張っているのだ。
だから、たまたまタイミング合って「カチリ」と駈歩発進の姿勢にはまるとすんなり駈歩ができる。
「はい、じゃあもう一度駈歩してみましょう」と言われると再びすれ違い。
最後は肩鞭ですんなり駈歩を出してもらう。
■ごんちゃん先生いわく、
【アウグス】はどうやって駈歩をだすのか迷っているらしいのだ。
首を曲げると騎乗者に手綱で押さえつけられるようになってしまい、よけいに混乱してしまうらしい。
ん〜、駈歩発進で悩む似た者どうしなのか…
「普通にそのまますんなり駈歩すればいいじゃないの」と言われても、つい構えて変なところに力が入っちゃうのが私の専売特許だったはずなのに。
〈まずは外方を抑えてそれから内方に向けて〉それ以外の姿勢がとれないようにリードしてあげることと
強めの合図で迷いなくゴーサインを出すこと。
馬の愛に頼るだけでなく、私が馬がわかりやすい駈歩扶助が出せるように精進しなければならない。
がんばろ。
■人馬ともに大汗をかいたので、レッスン後はお決まりの砂浴びとシャワー浴。
水分補給に私が自販機でアミノサプリを買ってごくごく飲んでいると、
ふりかえって「ぶぶぶっ」と催促する【アウグス】
「もしかして、スポーツ飲料好きなの?」と、手のひらに飲料を出して口元にもっていくと
「ベロンベロンべろべろずいずい」と飲み干してしまう。
あげくの果てには、ペットボトルの口をくわえようとする。
「無理だって、馬がペットボトルからラッパ飲みはできないから」
明日は粉のスポーツ飲料のもとを持ってきてバケツで飲んでもらうことにしよう。



539鞍目 座骨をつけよう [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-23(Thr) 初級クラス 通算539鞍目
■昨夕、雷が鳴って雨が降り出すのをじりじりしながら待った。
南風から北東の風に変わるとすうと気温が下がっていく。
夜半には22℃。
連日の暑さが蓄積してどうしようもないところまできていたのだ、よかった救われた。
■朝になってクラブに行くと本格的な雨になっている。
「暑さよりマシですかね…」と同道する方と苦笑いをかわす。
本日のお相手は【霧丸】さま。
7月に駈歩全滅して以来の配馬。
そう、この時から駈歩発進に暗雲がたれ込めて、どんより駈歩シーズンになっているのだ。
元馬術部監督@【毒うま】との2騎部班でごんちゃん先生のレッスン
馬場に向う途中から雨が小振りになり、ほとんど気にならなくなってきた。
■「手綱を伸ばしたままで常歩」
「馬にのびのび動いてもらって、軽速歩」と準備運動から。
「では、手綱をとって柔らかなコンタクトを保ったままで」
軽速歩、2ポイント、速歩を取り混ぜる。
どんな姿勢になってもふくらはぎの位置は変わらないし、手綱のテンションも変わらない。
駈歩でも2ポイントと3ポイントで脚位置を変えない。
レッスンは涼しいこともあって、馬場を全面使って走行距離の長いものになった。
■500鞍越えて、未だに駈歩発進に苦労しているなんて恥ずかしいが、
なかなかクリアな発進ができない。
今日の【霧丸】さまでも同じ。
もたついて速歩が出るし、駈歩が出ても1歩で崩れる。
絶対他の人と違うことをやっているのだ。
「この姿をビデオでとっていれば良い研究材料になるのになあ」と他人事のように考える。
何も言わず見守って下さるごんちゃん先生なので、あれこれ試してみる。
「脚、脚、もっと蹴って」と長いビギナー時代に染み付いた力まかせの強い合図が通用しないのは、骨身にしみている。
しかし、無意識にやってしまうのだなあ。
これまでにクリアに発進できた時は何をしていたのだったか?
先日の座骨の扶助を思い出す。
「外側の座骨を馬の背骨に近づけるようにして、内方脚を長くぺったりと使って〜」
「そして外方脚で強めに合図」
そのときの情景を思い出しながら扶助を出す。
あれまっ、駈歩が出た。
びっくり…
手前を換えてもう一度やってみても駈歩がすいと出る。 
教わったことを別の馬で思い出しながらやってみて、ここまで手応え十分にできたことはなかった。
なんだが不思議な気分。
クリアに発進できない時と上手くいった時の違いは何だ?
座骨が浮いているか付いているかの違いなのだ。
駈歩が怖くて前傾していたり「もっと強い合図を」と後ろ回し蹴りすれば必ず座骨は浮いている。
わかっていたけれど、意識的に座骨をつけることができずにいたのだった。
さらに別の馬でやっても通用するかな?
あともう少し、もう少しで何とか自分のものにできそうな予感。


540/541鞍目 腋を締める [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-24(Fri) 初級クラス 通算540/541鞍目
■最近、お天気情報に敏感になった。
ご当地アメダスで時間毎の温度や風向風速などを確認せずにはいられない。
特に重要なのが風向! 
南西とか南南西とか見るとぞっとする。
むしむしとして暑くなるのだ。
北東ならさらっとして気温が上がってもさほどダメージはない。
東北東の風、風力3、日照時間45分ぐらいなら夏の乗馬に最適なんだが…
■酷暑に疲弊する我らを天も哀れんで下さったのか、昨日に続いて30℃にならずに済んだ。
汗は出るが、500mlの飲料を一気に飲んでもまだ足りないという感じにはならない。
皆で心配している【主席】は、ひどい時には1回に11リットルもの輸液をしていたが、昨日今日は自分から水を飲んでいるし食欲も出てきたようだ。
「馬や人の命がかかっているのだから、もうこれ以上暑くならないで」と祈るような思い。
■本日のひと鞍目は【霧丸】さま。
【毒うま】【とら】【チャンドラ・グプタ】の4騎部班で4%先生のレッスン
おひとり若いお嬢さんが混じるが、全員女性で「私達初級で〜す」という似た者部班。
クラスや乗り方の違うメンバーとの合同レッスンも面白いが、同質集団ならではのきゃぴきゃぴしたムードに気分が華やぐ。
■普段の部班なら高速【毒うま】が先頭なのだが、なぜか【霧丸】が前になる。
ペースを心持ち速めで一定にすることが、頭の中のすべてになる。
後ろから鼻息が聞こえてくると、どうしても慌ててしまう。
前に前に思っていると今度は止まらない【霧丸】
「バスンスバック、手綱は引くのではなくて一瞬握る、ハミはその位置にあるだけ〜」と
一連の手続きを踏むが、ズリズリと僅かずつ前進を続ける。
「もちぇさん頭あげて前を見て」
「少しだけ膝を曲げて、それじゃ水上スキーで滑っている姿勢になってますよ」
うえっ、足突っ張ってます? 
どんな時でも正しい姿勢が一番扶助が伝わり易いのだった。
■前半戦で止まらない騒動はあったものの、その後はブレーキも効くしストップもきちんと伝わる。
運動の内容はコーンを目印にした輪乗り等通常と変わらず。
長蹄跡を4騎各個に巻き乗りが揃う姿は、我ながら「おお、かっこいい」
1馬身あけた部班というのも、なかなか捨て難い魅力がある。
■後半は、2騎ずつ輪乗りしながら駈歩と速歩の移行練習。
【霧丸】と【毒うま】でくるくる回る。
「6歩駈歩したら速歩へ、6歩速歩したら駈歩へ」と指示される。
「もう4歩目ぐらいから準備しておいて下さいよ」
駈歩発進不良で泣かされてきたのに、だんだんやる気ムードになってくれた【霧丸】は「とりゃっ」と駈歩を出してくれる。
ちゃんと駈歩も速歩もしてくれる今日の【霧丸】さまに心から感謝。
ただ心の片隅で「クリアな発進ではないなあ」という感覚が残る。
駈歩は合図通り出してくれるのだが、どこか違うのだ。
左右の手前とも見た目はスムースにいっているのだが、いろいろ考えてみる必要がありそう。
駈歩から移行した速歩はスピードに乗っていて「そこで落ち着いたリズムに」と4%先生の声がかかる。
【霧丸】は2歩ですうと落ち着いて、正反撞も楽にとれて速歩からの駈歩発進に間に合う。
コントロール不良になるとピッチ走法の転がるような速歩になるのは【霧丸】や【毒うま】の癖なのだが、上手くいく時とそうでない時の違いって何だろう?
今回は、先生を中央にした輪乗りという集中しやすい環境だったからか?
疑問は大切にして次の機会に活かそう。

■「もちぇさん、次の時間はどうします?」と4%先生。
2枠目のレッスン時間は10時30分から。
時に殺人的な灼熱環境になるので、あえて予約は入れていないのだ。
先生がお誘いを下さるということは、
「(仕事をする馬に余裕があって先生ご自身も見て下さる体力があるってことですね)」
「もちろん!乗らせていただきますっ!」
「今日は比較的涼しいですし…」
乗馬クラブにその日その時にしか来れない方もいるので〈予約通りのレッスン〉が行われる必要性はあるが、
天候や人馬の体調などによって〈柔軟に対応するレッスン〉もあってよいと思う。
コンディションがいいのに誰も乗らないレッスン枠があるなんて、もったいなさすぎる。
と思っていても、他の皆さんは乗らないご様子。
■ふた鞍目は【チャンドラ・グプタ】で4%先生のひとりレッスン。
常歩で蹄跡行進をしていると、なんだか馬体がまっすぐにならない感じ。
どこがどうともはっきりしないが、ねじって傾いて歩いているような違和感。
手綱を持ち替えたり脚で押してみたり、長鞭で後肢をつついてみたりするが、手応えはない。
「手前を換えて常歩していいですか?」と許可をとって、右手前に。
右に向きたがらない【グプタ】
「ああ、そうだった」
「【グプタ】は右手前が苦手なのを忘れていた…」
以前、座骨扶助のレッスンで【毒うま】の左右差が座骨でも感じられたが、馬の身体の使い方の癖は蹄跡を歩いている時にも出ているのだ。
まっすぐ進む時に、左右差なく同じように歩く感覚をおろそかにしてはいけないのだ。
■このレッスンでも、4分点にコーンがおいてある輪乗りでの運動メイン。
座骨を感じながら馬の上にまっすぐ上半身の重さを伝える基本姿勢。
「今日は、長鞭を腋の下にはさんで乗りましょう」と4%先生の新しい提案。
ふむふむ、脇を空けないのと肘を畳むが一度にできるわけですな…
上腕の動きが制限される分「手綱は拳の握りや手首の動きで調整してくださいね」
鞭をはさんでいるのだから動きが窮屈になるのではと心配したが、杞憂に終わった。
かえって、私の肩から肘までが馬の横幅にぴたりと沿って、馬の肩と同じような動きをしている感覚。
この感覚がどういうものなのか、自分でもよくわからないが、
上腕が馬の肩と同じような動きになる感覚は、特に【グプタ】が右に向きたがらない時など馬がうまく動かない時に自分も同じようにぐぐっと制限されたように感じるのだ。
〈馬の感じ〉がいろいろなチャンネルから伝わってくるのがとても面白い。
だが、それがどういう意味を持っていて、自分の扶助にどう活かせばいいのか全然わからない。
ただ「あれ?」「ほぉうぉ」と感じたままを4%先生に言うと、
「そうなんですよ」「わかりますか」という声が返ってくるから見当違いの感覚ではないのだと思う。
■レッスンでは、
「輪乗りでは外方手綱が緩み易くなりますから、しっかり張って」と鞭を腋にはさんだまま外方を保持する練習。
実は、いまだに輪乗りで外方が緩み易くなる原理をきちんと理解していない私。
4%先生の「緩み易くなりますから」という台詞を効くたびに、「どうしてそうなるの?」としばし考えを巡らしてしまうのだ。
ちゃんと理解していれば「そうそう、だからこうしなければ」と姿勢なり手綱なり脚位置を自分で直せるのだが…
せっかくの指示を活かしきれない。ふがいないなあ…
コーンを回る手前で「馬が内側に入り込もうとする時は、(内方脚と押し手綱で)内方に壁を作るようにして防ぎましょう」
「コーンを過ぎても内側によっていく時は、外側の開き手綱で」とアドバイスされる。
「(内側からと外側からの扶助を使い分ける理由は何なの?)」と一瞬頭をかすめるが、
言われた通りやると馬がちゃんと曲がってくれる。
よく分からんが、それでも自然の摂理に沿っているという感じはする。
■次は、常歩6歩から速歩への移行の練習。
移行する2歩手前から「馬に負荷をかけておくように」と言われる。
常歩4歩目から、ぐうと体重をかけるように座って「次行くよ」と予告。
【グプタ】が「あっ何かやるんですね?」と体勢を整えるが、大股の常歩のまま2、3歩余分に歩かれてしまう。
「いち、にい、さん、しい、ごう、ろく」と先生がカウントして下さっているのに全然合わない。
何度か失敗してわかった。
グプタが速歩になるまでずうーと待っている私。
予告をして常歩の動きが大きく変わったら、
「はいここでっ!」とキューを出さなければダメなんだ。
4歩目から脚を使って背筋を緊張させて、5歩目をカウントして、
6歩目に前後の座骨の動きを巻き上げてキュー! 今度は上下動だよっ! 
おお、通じるじゃないの〜
■続いて速歩4歩から常歩への移行の練習。
先生の「いちと、にと、さんと、しの」のカウントを聞いて
「ぎゃああ〜!合わない〜」半拍ずれてる〜
「タン/タン/タン/タン/タン/タン/タン/タン」で数えるんじゃないの〜とパニック。
移行の前に自らのリズム感のなさにうろたえてしまう。
ええい、ままよ。
適当にカウントして移行してやれ。
「外側の鞭をはさんでいるつもりでね」と外側のコンタクトを意識するように言われる。
わずかにバランスバックして手綱を控えるとストンと常歩に落ちる。
腋を閉めていると、外側のクッという軽いショックは自分の肩(と鎖骨のつなぎ目)にくる。
馬が外方の肩を前に出さないのと同じように自分の肩もクッと抑えられた感じ。
おもしろ〜い。
■さらに駈歩10歩から速歩への移行とその逆も。
最初、拍車が入り過ぎたのか飛び出すような駈歩になってしまったので一旦拍車をはずす。
いつも通り拍車なしで、駈歩(左手前は問題ないのだ)。
「2、3歩前から駈歩のリズムを崩すように乗って」と言われる。
気持ちよく乗っているのをわざと腰をずらしたり姿勢をひねったりするのは、精神衛生に悪いがしかたがない。
臆するところがあるせいか、ぴたりと決まらない。
「もちぇさん、手綱はしっかり持っていていいんですよ」
「馬が前に出ようとしたら、それにあたって規制されていいんだから」と4%先生。
引くことはないけれど、前に出ようとしたらピンとはじく位の張力は保っていていいのだ。
速歩と同じように腋を締めて自分の肩先を意識するときれいに速歩に落ちる。
「馬が外方のハミにのっているから僅かな違いも通じるんですよ」
「スピードのコントロールはほとんど外方でできるんですから」
おっしゃる通り、外方でのコントロールは実感できる。
けれど、上手く外方にのせられるか否かはまだまだ自信がないのだ。
■常歩で手前を換えるのに、
「じゃあ右に曲がるのを外方だけでやってみましょう」と指示が出る。
「ここからはまっすぐに進まないよ」と外方手綱を軽く握って、「外側の肢を大きく踏み出してね」と外方脚でトントン。でも「止まるわけじゃないから」と内方脚もジワっと使うとちゃんと曲がってくれる。
「そう、いいですね」とOKがでる。
感覚的にはわかるのだが、どうしてなのかは腑に落ちない。
去年の〈バランス矯正〉シーズンは、乗馬ライフの特集もあって理論的な理解のもと実践して、あとから身体がついて来た感じだったのに、今年は感覚先行。
だから偶然上手くいった感じが拭えず、次回に上手くいくか不安が残る。
■【グプタ】の右手前駈歩は、これまでよりもずっとスムースに発進してくれた。
が、駈歩の乗り心地がガタゴトし過ぎて、歩数のカウントどころではない。
「じゃあ、速歩からの駈歩発進の練習だけにしましょう」と内容変更になるが、だんだん駈歩が出にくくなる。
これは、いつものパターンなので当然のことのように受け止める。
常歩と速歩で苦手な右手前の輪乗りを頑張ってくれる【グプタ】
窮屈で苦しくなると首を上げて逃げようとする。
「外側に鞭を挟んでいると思って」のアドバイス。
肩から肘までがまっすぐに下に降りて、自分の肩先が馬の肩の動きと同調するような感じ。
緩めるわけではなく同調するだけ。
と、内側の肩が柔らかくなった感じで【グプタ】の首が下がる。
「先生、ちゃんと外側を持っていたらこんなにいい子になりましたよ」
「馬が楽になって歩いてますね」と4%先生のお言葉。
「じゃあもう一度駈歩やってみましょうか」
「駈歩発進はね、内側のハミを馬に追わせるんですよ」
「だから内方の手綱がきついと出られない」
んん〜難しいことを仰る。
外方の次は内方ですか? 今の私には外方だけでも一杯一杯ですがな…
結局、2回トライして駈歩は上手くいかなかった。
しかし最後の駈歩になりかけの体勢は、馬の内側前方に向って「どうぞ〜」と道が開けていく感じ。
もうちょっと強く押し出してあげれば、すううと駈歩ロードに滑り込んでいくような雰囲気だった。
■「今日のレッスンは、いろいろなことが感じられてとても充実していました」と問わず語りで4%先生に総括する。
自分の肩が馬の肩と同調する感じとか、
外側にしっかり支えられて内側前方に道が開ける感じとか。
でも、感じるだけの危うさ。
これが次にどうつながるのか? 
たまたま調子のいい馬にあたっただけで、次からは不毛の砂漠旅行が続くかもしれない。
一寸先は闇なのだ。








542鞍目 腕でつかまらず [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-27(Mon) 初級クラス 通算542鞍目
■ちょっとした用事で、この夏初めての午後レッスンをとる。
昼下がりのもわ〜とした空気。
「だめだ〜、こんな暑い時にブーツにキュロットにヘルメットで運動できるわけがない」
キャンセルするつもりで、ぐずぐずブログ巡りをしていると…
chari さんの最新記事が目にとまる。
「座骨で乗る」:おおっ! 
「おーもーしーれーーーー」:そうそう、そうなんす! 感動を共にできる人がいた〜
最近の流行なのか似たようなレッスン。(とは言っても私は初心者入門編なのだが…)
これを読んだら、やっぱり馬に乗らずにはおれない。

■クラブに着いたら、そこはかとなく秋の気配を漂わせて影が伸びている。
本日のお相手は【アウグスティヌス】
ひと枠前のビギナーレッスンに出ていて、私はふた鞍目のお仕事。
「暑いのに済まないねえ」と水分補給に薄めたスポーツ飲料を差し出すが、バケツからは飲まない。
手にすくって差し出すとぺろぺろと凄い勢い。
飲みたいのではなくて、なめたいの?  どうしたいの?
■レッスンは4%先生のお世話になる。
常歩、軽速歩は「手綱はブラブラのままでいいですよ」の指示。
「馬が内側に入ってきちゃうような時は、片手で手綱を持って馬の首に押し付けるようにしてみて」
なんだか、ウエスタンっぽいですな。
両腕は完全に下におろしてしまう。
自転車のハンドルを離して乗っているのと同じ気分になる。
「じゃあ、少しずつ手綱をとって」
「前回は長鞭を腋に挟んだんでしたよね」
「今日はもう少し下、肘の上あたりで軽く押さえるように長鞭をはさんでみましょうか」
「腋に挟むとぎゅうと力が入り過ぎてしまうようなので」
肘に近い前腕が腰に軽く触れている構えになる。
ところが、長鞭の安定が悪くひとつ処におさまらない。
抜け落ちそうなのを気にしていると「隙ありっ!」と【アウグス】がふらふらしだす。
■以前なら、まっすぐ歩かず内側に入り込んだりゴネゴネすると手綱で何とかしようと焦るところなのだが、
最初に手綱ブラブラで走ったイメージが残っていて、脚や座る位置で調整してみようという気になる。
腕はなるべく基本の位置を動かさず、外方の肘は畳んだままでおく。
とにかくまずは前に歩いてもらって内側の脚で外に押し出していく。
手綱はガードレールで、進んだ先での方向を決めるもの。
現在の位置を変えるものではない。
かなり大回りしてしまうが、馬との軋轢が小さいように感じられる。
「そうそう、まず馬を前に出すことです」と4%先生もフォローしてくださる。
■【アウグス】はレッスン中、隙あればごねごねという態度だったのだが、
かえってそれが〈一輪車〉に乗っている気分を強めてくれる。
腕でつかまらず脚とバランスだけ。
不安定さは厄介者ではなく、上手く利用すると次の動きへのきっかけとなる。
腕というのは自分のバランスを取るために使うものではないんだ。
■駈歩発進でも【アウグス】のぐにゃぐにゃ体勢が出る。
首が外側を向いて馬体もねじれる。
「もちぇさん、それじゃ手綱が短過ぎます」
うえ〜長くすると首がますます反対に向いちゃうと思いながらも手綱を伸ばす。
「はい、そのまま駈歩でますよ」
こんなに変な体勢で駈歩だせるわけないよ〜と思いながらも発進の扶助を送る。
「無理」「私にはこれで駈歩だせると思えない」といつもの感じ方に支配される一方で、
「馬が反対向いていても駈歩は出せますから」という4%先生の台詞を思い出す。
馬の背中に乗っていさえすればどんな動きでもかまわないという、腕でつかまらずにいられるからかえって安定する感覚が生まれてくる。
何度か挑戦してようやく駈歩がでる。
■乗り心地のいい【アウグス】の駈歩。
「外方の手綱は速歩の時と同じですよ〜」
うむうむ、肘を畳んでしっかり張っておけということですな。
外方が支えられて内側前方に駈歩ロードが開けていくイメージ。
いいねえ、この疾走感…
気持ちよく走っているつもりだったが、
「もちぇさ〜ん、内方脚前で使って!」と言われる間もなく速歩に落ちる。
前進気勢が落ちてきたところで、前傾して脚が後ろに流れてきているらしい。
いやはや、久しぶりの「内方脚は前で」の注意を聞いた。
「もっと後ろで構えて、どっしり乗りましょう」
「落ちそうだなとわかったら、外方脚を入れて」
これまで無為無策で駈歩に乗っていたのを反省。
駈歩途中で馬がだんだんのペーとしてきたなと感じたところで、外方脚をグイと使う。
おお【アウグス】の首がふっと上がって足元が軽くなる。
そうそう、こんな軽々とした駈歩をしてくれれば乗っていても楽なのだ。
と気を抜くと再び速歩に落ちる。
落ちそうだなとわかった瞬間は、力が入って前屈みになっていた私。
こうなる前に脚を使ってどっしりと座っていればいいのだが、なかなか身に付かない。
しかし、駈歩が出ればそれで満足だった【アウグス】で
駆歩しながら次をどうするか考えるところまで来るなんて、楽しいではないか。
がんばろう、いつか【アウグス】で2課目経路がまわれるように。


543鞍目 パーツの統合 [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-29(Wed) 初級クラス 通算543鞍目
■ようやく涼しくなった。
太平洋高気圧と大陸からの高気圧、それにはさまれる前線。
今夏ほど、ご当地アメダスと天気図を頻繁にチェックしたことはなかった。
前線が南下して涼しい空気に入れ替わるのを肌で感じる。
【主席】も「ぶぶぶぶっ」と大きな声で黒砂糖をねだるようになった。
よかった、よかった。
■本日は【時鮭】なり。
この馬は栗毛のはずなのだが、細かく白い毛がまじっている。
服の色ならヘザーって表現するのだろうか? 趣味の良い柄である。
ブラシがけをするたびに「どことなくブリティッシュなんだよねえ」とつぶやいてしまう。
■今回も4%先生による基礎レッスン
座骨扶助、肘の位置ときて〈回転時の姿勢〉とあいなった。
「馬の(反対側の)腰に手を置くくらいに後ろを向きましょう」
顔も肩も胴体もすべてねじる。
鞍に跨がったままだから上半身だけの動きになる。
うくくく… リブケージがみしみし音をたてているじゃないですか。
「手綱をとってもう一度その姿勢をとってみましょうか」
「馬は巻き乗りするはずですよ」
常歩でまっすぐ乗っている体勢から、ぎゅいいと後ろに振り向く。
肋骨がきしむが頑張って後ろを向き続ける。
と、いびつながらも巻き乗りする【時鮭】
「手綱は、身体の向きに合わせて自然に回転する扶助になるんです」
「そして脚も内側が前に出て外側が後ろに下がっているでしょう」
「ちょうど腰から上下が反対の向きにねじったようになりますね」
あらっ、本当だ。
〈内方脚を前で使う〉とか〈外方脚を引いて〉と意識しなくても、馬からずり落ちずに振り向こうとすれば自然に下半身はそういう体勢になっている。
「回転の時の脚は今のように使えばいいんです」
■今度は速歩の輪乗り。
「巻き乗りの時ほど極端に後ろに向かなくてもいいです」
「回転の大きさに合わせて身体の向きをとって下さい」
だんだんコツがつかめてくる。
腰が安定して鞍に座っていられると、騎乗者の身体を回転の方向に向けるだけで馬は曲がってくれる。
〈手綱を引くとか開くとか〉〈脚を前とか後ろにとか〉なんて、パーツをバラバラに使う必要はない。
これまで教官の指示で「〜して」と個々の動きに焦点をあててきたが、いまやっていることはすべてのパーツの再統合。
〈あれとこれとそれをそれぞれ動かして〉いるのだが、意識するのは「あっちに行きたい」という単純なこと。
いや、常に意識しなくてはいけないのは馬の上に安定して座っていることだけなのかも。
特に私は、膝が上がってきやすいので「膝の後ろを伸ばして鐙をまっすぐ踏みこむこと」を意識し続けないとだめだろう。
■駈歩は楽しく乗れたのだが、右手前の乗り心地がいまひとつ。
内側に倒れ込んできやすい【時鮭】なので、私の姿勢がとんでもなく変な形に崩れてしまう。
「内側の手綱と脚で押し出すように支えてあげるといいですよ」と4%先生にアドバイスをいただく。
駈歩で難しいことをするのはあと100鞍くらいかかりそうだが、駆歩しながら微調整できるようこれからも精進しよう。


544/545鞍目 到達度テスト [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-30(Thu) 初級クラス 通算544/545鞍目
■ああ、楽になった。
最高気温が24℃だ。
馬繋所にずらりと並ぶ馬たち。
クラブにいらっしゃる人も増えて活気が出てくる。
■8月の初めに体調を崩し何度も死線をさまよった【主席】は、放牧に出してもらえるようになった。
苦しんだせいで身体中傷だらけになり、がりがりに痩せて骨が目立つけれど、それでも独特の精気を発している。
愛すべき大動物が老い病み衰えていくさまを身近にするのはつらい。
しかし、スタッフや会員の方々が看病し見守り祈る姿に救われもする。
「自分のことを心配してくれる」「決してひとりではない」と馬が感じられる環境は、まわり回って会員にも穏やかな気持ちを運んでくれる。
〈人が馬を愛するように馬も人を愛している〉ってJRAのブランド広告だったが、本当にそんなことがありそうに思える。

■本日ひと鞍目は【ムーン】
乗り心地はメルセデスのようで、お気に入りの部類に入る。
いかんせん、サイズが大きくて自分の鞍が乗せられないとか、騎乗機会が稀だから慣れるまでに多少時間がかかるなどの些末な理由で、乗る楽しみの半分が減ってしまう。
なんとも乗りこなせない馬なのだが、乗るなら徹底して乗り続けてみたいと思う。
■【とら】【毒うま】【山桜】との4騎部班で4%先生の合同レッスン
準備運動の常歩で、昨日の〈後ろ振り向き巻き乗り〉をやってみる。
びっくり、ちゃんと巻き乗りできる。
速歩までは軽快に進む。
【ヴィーヴロワ】並みにバランスに敏感でほとんど手綱に頼らなくても、曲がったり止まったりしてくれる。
手綱を軽く握っているだけにしていると、
「肘を引いて手綱をしっかり張りましょう」
「それで馬が止まるようなら、違うんだよと脚を使えばいいから」
あらら、また手綱ゆるゆる系になっているのかしらんと心配になると、
「馬にハミをとってもらいましょう」と4%先生のお言葉。
なるほど、確かにハミの手応えがほとんどないままだった。
つい「口が敏感な馬だから」とふんわり手綱にしていた。
脚を使いつつ馬がハミをぐっと取ってくれる感触を求める。
こんな感じかな? 70%ぐらいの出来だったかも。
なんとか速歩パートは形になった。
■しかし、駈歩はやっぱり出せなかった。
左手前は首をぐっと持っていかれて、そのままつんのめる。
右手前は駈歩になっているはずなのだが、道路工事のドリルを握っているようなダダダダという反撞に「えっ?」と驚いて終わり。
4%先生の「この馬はちょっと難しいですから」のフォローに納得はするものの、それでもちゃんと駈歩に乗っている人もいるのだ。
どうやったら駈歩ができるようになるんだろう?
これまで何度か【ムーン】を配馬されているが、上手く乗れなくて「まだまだ無理ですね〜」と1回乗ってそれっきりになるばかり。
到達度テストを受けて今だ基準点に達せずと言われているようなものだ。
くやしいけれど、これが私の実力なんだろうな。

■ふた鞍目は「ぜひ乗せて下さい」と【山桜】に乗せてもらう。
このまま駈歩しないでは寝覚めが悪い。
【霧丸】【アレフ・ゼロ】【毒うま】との4騎部班になる。
全員が初級なので、変則軽速歩を中心としたバランスレッスンになる。
■ひさしぶり【山桜】は、ちょっとだけやつれたような感じがする。
暑い中でも頑張って鞍数の多い仕事をこなしてきただけに、疲れがでているのか。
それでも、真面目に動いてくれるところが偉い。
ネックストレッチをかけると首がさがってしまう。
もう少し首をあげてごらんと脚を使って手綱をたぐり寄せるのだが、
「あとひとつ半、手綱を短くできるはず」と4%先生に看破されてしまう。
うう、詰めが甘いのが私の欠点だ。
自分の中でも「よしっ」と言えない状態なのに「このくらいでいいかな」となあなあで済ませてしまっている。
■おかげさまで駈歩は気持ちよくできた。
駈歩と速歩の移行もリズムとバランスを焦点にして練習できる。
時には【山桜】に乗せてもらって、気分よくレッスンを終えるのもいいものだ。
■部班のメンバーは私の苦手な【毒うま】や【霧丸】に普通に乗っている。
何がどう違うのだろう?
どんな乗り方をするとああも楽々と駈歩ができるのだろう?
苦手な馬を乗りこなしている人に興味が出てきた。


546/547鞍目 夏の終わり [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-31(Fri) 初級クラス 通算546/547鞍目
■今日でサマータイムが終了。
明日からは、短縮されたレッスン時間が30分から45分に、10:30〜15:00の休馬時間が11:30〜13:45の昼休みに戻る。
今回の夏時間は、7月が涼しかったので「30分じゃ物足りない」の声もあったが、さすがに酷暑となった8月は「限界に挑戦するつもりで乗る」レッスンだった。
■06年の夏は、障害レッスンに出るなど『バランス養成概論演習』(←勝手に命名)を受講。
そして今年は『バランスの上に成り立つ扶助基礎演習』とでも言える内容。
日々の練習では、できたりできなかったりと変動が激しく歯が立たない馬もいて落ち込んだりしたが、それでも楽しかった。
バランスがとれないうちは何をやっても馬の上で暴れているだけで「先生、次は何をしたらいいのですか?」と馬ではなく教官の方に心も耳も向いている。
それが安定して乗れるようになってくると、先生の「今日はこうしてみて」という提案に基づいて、馬と人が「わかる?」「わかる!」と繊細で豊かなコミュニケーションができるようになるのだ。
こんな時の教官は、見守りと生じている現象の解説だけになる。
地上から見ているだけで騎乗者と馬の間に何が起きているのか理解できるなんて、すごい能力だと思う。

■本日のひと鞍目は【アレフ・ゼロ】のお世話になる。
マダム@【時鮭】、元馬術部監督@【アウグスティヌス】といつもの平日初級メンバーの3騎部班。
馬の搭載エンジン排気量から言えば、【アレフ】は部班の最後尾を務めるはずなのに今日も先頭になる。
先頭を仰せつかる栄誉に感謝しつつ「遅くてごめんなさーい!」と必死で馬に脚を入れる。
動かないのではないのだが、若くて排気量の大きい馬たちが渋滞する雰囲気に押されてしまう。
「慌てて馬上で人が暴れてしまえばかえって馬が動けなくなる」
「静かに決然と乗らなくては」と自分に言い聞かせながら、速歩は汗だくになる。
■運動の内容は、2課目経路を思い出させる斜めに手前を換えから3湾曲、輪乗りなどを速歩駈歩を取り混ぜて行う。
さらに、常歩で歩度を伸ばす練習もする。
「まずは詰めて」
「それから手綱を少し楽にして前に出す」と4%先生の指示があるが、
【アレフ】には、しっかり歩いてもらうことがすべて。
「もちぇさん、脚が動き過ぎです」と注意されるが、必死に脚をいれていると静かにしていることができない。
「もうちょっと手綱も短くできるはず」
ううっ、焦らずに馬が気持ちよく動けるようにしなくては…
推進して、手綱をとって、あせらずどっしりと…
「馬の後肢に乗っているつもりで」
後ろ肢の動きに集中してみると、ずんわずんわと自分の腰もうごいている。
そんな中で一瞬すうぅとスケートで滑るような動きが味わえる。
自分だけ前に行ってはいけないのだ。
■ひたすら「遅くならないで」とアクセルを踏み続けたひと鞍だったが、駈歩の乗り心地はよかった。
さすが【アレフ】爺だけのことはある。

■ふた鞍目は【アウグスティヌス】にお相手を願う。
今度は【毒うま】君との2騎部班になる。
■【アウグス】は2鞍目の仕事になるので、最初からしっかり動いてくれる。
後肢を大きく動かしてくれる常歩は、脚を伸ばして鐙を踏み込んだ状態が自然に保てる。
馬に「もっと歩け」と要求し続けてしまう【アレフ】の時とは、全く違う。
■内側を向きたがらず首を上げてしまう【アウグス】に、輪乗りで内方姿勢を要求する。
外側の手綱を意識して持つことと内側を向いてくれたら内方手綱を緩めることに気をつける。
「ねえ、そんなに外側に逃げないで内側向いてごらん」とかなり強引に内側に向ける。
向いたら手綱の握りを緩めて楽にしてみる。
1歩2歩は、内側向いて首もさがっているが、再び違う方に向きたがる。
この違う方に向き出した瞬間に「違うよ」と手綱でくっと伝えられれば、大きく崩れることはないのだが、この瞬間を逃してしまうと首も上がって最初からやり直しになる。
【アウグス】とのやり取りはとてもわかり易いので、4%先生が部班の他メンバーの指導にかかりっきりになっている時でも、人馬のペアだけでいろいろ試してみることができる。
■「じゃあ、次は速歩にしましょう」
「まずは根を下ろしたようにどっしり自分の体重をかけて準備して」と指示が出る。
速歩にする前に〈どっしり根を下ろしたように〉と表現するのを奇異に感じていたのだが、その謎がとけた。
「体重をかけて、それに馬が反応しているかよく見て下さい」
「馬が次に何をやるのかと指示を待っている状態になっているのを確認してから、速歩の合図ですよ」
ふむふむ、ハーフホルトのことだったんだ。
馬の準備完了を見極めてから次の扶助を出すって、改めて言われないと見過ごしてしまう。
■輪乗り駈歩では、前に馬がいたせいか、いきなりテンションが上がる【アウグス】
(広い馬場でこれをやられると"競馬"になってしまう…)
「馬間を空けましょう」
「もちぇさん、後ろに乗って」という4%先生の声。
言われた通りグンと後ろに重心をかけると、やわらかな反撞に変わる。
「これなら乗りやすい、大丈夫」と感じられる。
それにしても【アウグス】の腰から後肢のサスペンションって、次元が違う。
これだけすごいのに、乗り心地のいい馬という評判がたたないのはどうしてだろう。
同じクラブで同じ馬に乗っていても、乗り味の良さを分かち合う人がいなくて寂しい。
■いったん「これならいける」と思えると、
駈歩がざわついても落ち着いていられる私。
これまで駈歩発進の扶助を送ってすぐに駈歩が出ないと「あれっ?どうして?」と姿勢を崩してしまっていたのだった。
それが、そのまま乗っていると2歩も3歩も遅れて駈歩を出す【アウグス】
「あれぇ、駈歩出す気があったんだ…」と驚く。
「それをこれまで待てなかったということなのか?」
馬の後ろで待っていれば駈歩出してくれたはずなのに、つい姿勢を崩して前傾し、駈歩を出し難くしていたということかも。
これまで散々言われてきたが、実体験として納得する。
■「もちぇさん、内方脚は前で使って」
「脚位置の違いが伝わらないと止まっちゃいますよ」
「拳が上がってこないよう、自分の視界に入らないようにね」
きゃぴ〜、いつもの駈歩注意連発だ〜
サマーシーズン中、駈歩についてはほとんど何もいわれずにいたので「ようやく駈歩を本題として扱ってもらえるぞ」と嬉しくなる。
4%先生は「まずは常歩速歩でできるようになってからです」と基礎固めの重要性を説く。
地味な運動の繰り返しで自分が今何を学ぶべきなのかをわかっていないと、ただ馬を走らせて終わりになってしまう。
この暑い中、先生や馬たちが必死で伝えようとしてくれたことを私は受け取れたのだろうか?
〈夏の終わり〉の切ない気分になる。


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