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595鞍目 扶助のパターンが悪い [第15章]

 2007-12-01(Sat) 初級クラス 通算595鞍目
■出稼ぎの毎日は新鮮で楽しい。
しかし、血の巡りが悪くなって老廃物がたまってくる感じがつらい。
馬に乗っていた頃はこんな事はなかったのに…
「何としてでも馬に乗りたい!」と欲するのは、馬中毒の禁断症状なのだろうなあ。
■無理矢理、休日の朝一番のレッスンをとる。
師走朔日とは思えない暖かく穏やかな空。
今日のお相手は【チャンドラ・グプタ】でごんちゃん先生に見てもらう。
■レッスンでは駈歩がほぼ全滅だったのがとても残念。
しかし、そうさせてしまう自分が一番の問題だと思える。
■「何をさせたいのかよくわからないよ」と【グプタ】がつぶやく声が聞こえてくるようだ。
駈歩を出したいのならプレッシャーを与え続けて何としてでも駈歩させなければと考えるのだが、結局馬に負けてしまう自分がいる。
こういう終わり方はいけないとわかっているだけに、苦い気分になる。
以前は、馬がイライラ、カリカリしてくるのが怖くて強く出られないという苦しさがあったが、今日は怖くないにも関わらずぼんやりした扶助しか出せなかった。
馬上でのバランスが悪く暴れてしまうから扶助が通じ難いという面もあるが、それ以上に、速歩が出てもそのまま走らせていたりとか、仕切り直しと称して常歩を長くさせてみたりとか、馬に「駈歩をしなければかえって楽になる」と伝えてしまったようだ。
駈歩発進不全で恐怖と闘っていた時期の扶助パターンがそのまま残っているのだ。
■レッスンが終わってから振り返ってみると、駈歩発進の脚の位置とか手綱の握り方などの細かなテクニックの問題というよりは、扶助の出し方(プレッシャーとリリース)のパターンが最悪なのだとわかる。
弱くてゴチャゴチャした扶助を単調に繰り返すだけで上手くいかないと諦めてしまって別の事をさせようとするのは、馬にとっては「ゴチャゴチャ言われたら無視するように」と教えているようなものだ。
拍車をつけた時に飛び出されてから【グプタ】には拍車なしと決めた私の臆病さがさらに事態を悪くしているのかも。
馬に苦痛を与えない小さな扶助で馬を動かしたいと願うけれども、それは馬が小さな扶助で動けるような人馬の関係がなければかえって事態を悪くする。
■くぷぷぷ… 去年の出稼ぎ明けも駈歩が出せなかった。
いつまでたっても上達しないのは、自分の行動パターンにあるのかも。
そんな事に気付かされたひと鞍だった。


596鞍目 外方手綱を緩めないで [第15章]

 2007-12-02(Sun) 初級クラス 通算596鞍目
■季節労働=出稼ぎと称していたのに、どうも長期間になる気配。
用事のない平日はすべて馬に乗っていたのだが、そんな贅沢は今後できなくなりそう。
禁断症状が激しくなる前に、なんとか隙間時間を見つけてクラブに通わなくては。
■というわけで、本日も朝一番のレッスン。
私は【チャンドラ・グプタ】、そして【アウグスティヌス】【アレフ・ゼロ】【青雲】【毒うま】【ムーン】と中級初級合同レッスンの6騎部班。
普段そばにも寄れないような超上手い人たちとご一緒する。
ううむ、日曜日というのはこんな人達が集結しているのか… 邪魔にならないよう気をつけないと。
■私は昨日の反省を踏まえて、拍車をつけて「馬がわかる合図」をだせるよう心がける。
他の人馬が緊張感をもって動いていることもあって【グプタ】は昨日とちがってピリッとした動きをしている。
いつも、こんな風に運動できれば無駄に強い合図を送らなくてもすむのに。
■上手い人との部班は人数が多くても、ほとんど問題がない。
各個に巻き乗りを続ける運動も観賞に堪える美しさ。
そんな中で、
「外側の手綱を緩めないで」
「もちぇさんは、拳が前に出てしまって許してますよ」と注意が飛ぶ。
「拳は鞍の前に置いておくつもりでいいでしょう」とアドバイスをもらう。
うーん、手綱が長くなることはなくても、拳が前に出れば結果的には外側が緩むのだ。
長くならないようにとピッチマークをしっかり握っていても、拳の位置までは気が回らない。
〈肘を畳んで鞍の前に拳を揃えて置く〉基本姿勢を崩さないよう心がけないと。
さらには、
「内側の手綱は、馬の首が外側を向いていた時に違うと教えるのに使うだけです」
「馬が内側を向いたら許してあげて」
「引っ張り続けにならないように」
ごもっとも。
引っ張るのではなく、拳を握ったら緩めるという感じで使わないとなあ。
■それにしても「動かないように、同じ位置に」の意味する所は、馬との相対的な位置関係のことなのだ。
自分ひとりの身体を動かさないようにしていても、かえって的外れになってしまう。
「言われた通りやっているはずなのに、いつも同じ注意をされる」って、乗っている人へのアドバイスの難しさを物語っていると思う。
■後半は初級と中級を分離して練習。
今日の【グプタ】は右手前も左手前も駆歩してくれて前回の不足分を補ってくれた。
拍車をつけて乗る駈歩も平気になって、一年前より進歩したかな…
とにかく「ノッタリした駈歩より元気のいい駈歩が好き」と思えるようになったのが一番。
■この12月から生活のリズムが激変する。
そんな中での乗馬ライフは、どうなることやら。
「仕事の方が楽しくてそちらに全力投球するから乗馬は休む」と言わないようにしなければ。



597/598鞍目 脚の使い方 [第15章]

 2007-12-06(Thu) 初級クラス 通算597/598鞍目
■すきま時間を綱渡りするようにクラブに行く。
朝は冷え込むが、日中は穏やかな日差しに恵まれた。
■本日ひと鞍目は【ベルベット・シート】
【アウグスティヌス】@マダムと2騎部班で4%先生のレッスン。
久しぶりの【ベル】
いい子で特にこれと言った問題もないのだが、やっぱり彼女も右に向きたがらない。
左の手綱のなんともいえない頼りなさが気持ち悪い。
■ふた鞍目は、キャンセルのおかげでひとりレッスンになった。
【ときめき】がお相手を務めてくれる。
4%先生に「もちぇさん軽速歩の手前が逆!」と指摘される。
何も考えずに軽速歩をしている時はあまり注意されないのだが、手前を換えたり速歩を交えたあとの軽速歩で問題が起き易い。
〈外方前肢が地上についている時に座る〉というのは頭でわかっているのだが、
いかんせん立ち上がるタイミングで計っているので、意識的に「今だっ!」というタイミングで立つと必ず間違えるようになってしまった。
「馬の肩を見ていいから、正しい手前の時の状態を覚えておいて下さいね」と注文がつく。
■マンツーマンなので、今回のレッスンは弱点補強講座となる。
ますは、膝が上がり易く脚を使うたびに拍車が入る状態の矯正。
「鐙に立ち上がりましょう」とうながされ常歩をする。
「ちょうど自分のバランスが上手く取れた状態でのふくらはぎの位置を覚えておいて」と言われる。
ううむ、まさにふくらはぎの横に馬の体温を感じる。
「腰を降ろしても、その位置で脚を使いましょう」
「じゃあ、今度は鐙を脱いで脚をだらんと下げて」
「膝から下は自由に動かしていいです、でも腿の部分はできるだけ地上と垂直に」
「腿を動かすとしたら、やや後ろに引く時くらいです」
■先日のホースショーでの写真を見て感じたのは、自分の腰の座りの悪さ。
「骨盤が前に倒れている」「出っ尻」と表現すればよいか。
「ふう」と力を抜いて腰掛けるような座り方がベースにあって、その姿勢から胸や肩を広げて頭を上げようとするから、必然的に腰椎が大きく前へカーブしてしまうようだ。
「肩を開いて、上を見て」と言われたら、おへそから上をそびやかすのではなく、内股に力を入れて倒れないようにした上で、座骨から上の上半身全部をまっすぐに立てることを考えた方がいい。
人の上半身って、股関節や腰椎、頸椎、肩関節と大きく動かせるジョイント部分が多いから、どの部分で動かすかのイメージをもたないと、「言われた通りやっているのに…」となりかねない。
■「耳、肩、腰、踵が一直線になるようまっすぐ乗る」には、
「気をつけ!」と背中を伸ばすような体勢をとろうとすると脚に力が入って膝が上がってしまう。
私の場合は、内股に緊張感を持たせて座骨から内股にかけてが鞍に張り付いてしまったイメージで乗ると、膝から下と腰から上が自然に伸びるような感じになった。
内股の筋肉を使うのは鐙上げぐらいで、普段ほとんど意識して使っていなかった自分に気がつく。
■巻き乗りなどで「内方脚で押して」と言われると、膝を曲げて力を込めるので拍車があたるような脚の使い方をしてしまう。
先生は「脚をまっすぐ長く伸ばすようにして脚の全体で押し出す感じで」とアドバイスを下さる。
「ちょうどサッカーのサイドバスを出すときのような使い方なんですよ」
うう、股関節の内転筋を鍛えないと押せないじゃないか…
この筋肉、普段の生活ではほとんど使わないんだよねえ。
意識して内転筋を強化しなければ。
この冬の標語は「鍛えよ内股、外に押すならサイドパス」というところか。
■【ときめき】の駈歩はピッチの速い小股タイプなので、とても苦手である。
というより、累積駈歩継続時間は1分以下の有様だった。
それが、今回ようやく持続して駈歩に乗れた! 
(小さな進歩だが大きな喜び)
そんな中で4%先生は「手を下げて、身体を起こして」と騎乗姿勢の矯正を指示する。
「ちょうど坂を下る馬に乗っているつもりになって」
「重力に対して垂直になるよう身体を倒して、首をのばす馬の邪魔にならないよう手綱を差し伸べるようにするでしょう」
ううむ、注意がマンネリにならないよう新しい例えを探し出してくれる4%先生の心遣いが嬉しい。
運動会のDVDで、手をちゃんと下げているつもりでも拳が上がっている現実を突きつけられて以来、言われたことはとことんやるつもりになる。
とにかく〈拳に鞍が触れる感覚〉のみが手が下がっている証拠であり、手をさげていますという自分の感覚は信用しない事にした。
坂を駈歩で転がり落ちる【ときめき】に乗っているつもりで姿勢をとる。
こうやって乗ると、馬がビヨーンの伸びた瞬間がよく分かる。
■ビヨーン、そして速歩。
「これじゃ、だめじゃないの」
これまでは駈歩で推進するなんて自発的には無理だったのに、伸びていきそうと思った瞬間に「もっと走れ」と脚をドンと入れている自分がいる。
駈歩に乗れるようになったけれど、やっぱり駈歩での推進は怖くてできなかった私。
スピードの出た大きな動きの駈歩に慣れておらず、そうなれば緊急停止ボタンばかり押していた。
それが、動きの小さな駈歩は乗り難い、駈歩でも前に出すことが結局は乗り心地が良くて操作性が良いということに気がついた。






599/600鞍目 心のゆとり [第15章]

 2007-12-08(Sat) 初級クラス 通算599/600鞍目
■実は、11月半ばから部署が変わった。
これまである季節だけ働く出稼ぎ人生だったのが、通年で働かざるを得なくなった。
ひとつの課題をゼロから育て上げる責任から解放されて、今は歯車のひとつ。
「平日ほとんどを乗馬に行っているなんて、本当に暇なのねえ」という視線が痛かっただけに、「その日は仕事で馬に乗れません」と言える自分がくすぐったい。
■本日は2鞍とも【アウグスティヌス】でごんちゃん先生のひとりレッスン。
【アウグス】は馬自身が納得しないと、右手前では内側に切れ込むし左手前は曲がり難い。
初級馬場で単騎で動いていると、もろにそれが出てくる。
しかも「言うこと聞きなさい!」と騎乗者がぐいぐい手綱を引いたり、げしげしと蹴りつけて馬上で暴れるとさらに混乱が大きくなる。
馬が「あっ、ここで回るのね」と納得すると次は外側の手綱を握っただけで回転を始めてくれるなど、その落差が激しい。
【アウグス】からは、馬は物理的な力で動かしているのではなくて、人とのコニュニケーションの結果として馬自身が動いているのだと教えられる。
■ごんちゃん先生は、
「アウグスが内側に入り込むときは、だいたい肩から内に入ってきます」
「その時、もちぇさんも肩が身体の前に出ていますね」
「人の身体の使い方が馬にも伝わって同じような動きになってしまうんです」
「外側をしっかり壁にしたら、(特に右)肩を後ろに引くようにして、馬の右前を空けて進めるようにしてあげて下さい」
そう、回転に入る直前は絶対この通り。
しかし、一旦内側に入られてから外に連れ出そうと画策している時は、なかなか頭の切り替えが上手くいかない。
外に連れ出そうとするあまり、外側に曲げようとする扶助をしてしまうのだ。
外側に体重をかけて首を外側に曲げるので、ますます肩から逃げるか止まってしまう。
輪乗りを開くように内側から押した分のスペースを外に空けてあげるのが、正しいやり方。
こうやって後から振り返るとわかるのに、馬に乗っている時はすっかり忘れているのだ。
■ふた鞍目は、鐙上げを長く続けるスパルタレッスン。
「馬にまっすぐ乗っている感覚をしっかり覚えておいて下さい」
「馬の腰、肩、首がどんな風に並んでいるのか感じてみて」
「そして、自分の脚や腰、肩、顔の位置もどうなっているか感じ取って」
「馬の腰は人の腰と連動してますよ」
「馬の肩は人の肩と同じ動き」
「馬の首の向きだけで進行方向は決まりませんよ」
「馬を曲げる時に、腰から下はまっすぐなままで人の首だけ向いて手綱でぐいぐい引っ張る場面がよくありますよね」
ああ、それは私だ。
まっすぐに乗って、腰をギュウとひねって後ろを振り向くようなつもりで回転するのを教わったはず。
しかし、鐙上げで脚を使いながら推進しながら速歩運動するのは、極楽速歩の【アウグス】でもしんどい。
右側のブーツが脱げてきそうな感じ。
なぜ右側だけなんだ? この自分の身体の左右差がどうなっているのだろう?
内股も筋肉もだんだん疲れてきて息があがってしまう。
ようやく「じゃあ鐙履きましょうか」の指示が出る。ほっ。
■駈歩は、発進に手間取るのは毎度のことと想定内。
首をあらぬ方向に曲げようが立ち止まろうが「そんなん関係ねー」と駈歩の扶助を出す。
私のやってもらいたい事が伝わるまでは、プレッシャーをかけ続けるという強気の態度に出るようになったのは、ここ最近。
馬が飛び出しても多少速くても、乗っていられる。
長期の休み明けに「もうちっとも怖くない現象」が生じるのがおもしろい。
■【アウグス】の駈歩は乗り心地が良い。
右手前は特に脚や腰がぴたりと嵌って、至高体験の域である。
だから、内側に切れ込んでも勝手に速歩落とされても、「もう一度駈歩出して、ちゃんと走って欲しい」と心から望むことができる。
ふた鞍目での駈歩では、走りながら自分の肩の位置を後ろに引くと馬の傾きが直ったり、脚を使うと馬がまとまってきたりと、扶助による馬の変化を味わいながら駈歩を続けることができた。
■「騎乗姿勢が悪い」「扶助が曖昧」など下手は相変わらずだが、なんだか「心のゆとり」みたいなものが生まれてきた。
これが600鞍目の境地なのか…
ちっとも上手くならないけれど、駈歩をはじめとする馬の動きに慣れてきたってことだ。


601鞍目 動かすまでが [第15章]

 2007-12-12(Wed) 初級クラス 通算601鞍目
■毎日クラブに通っていた時と較べると、今の頻度では馬の様子とか自分の課題練習とかに連続性が薄くなる。
レジャーとしての乗馬ならそれでもいいのだが、わずかでも上達することに望みを抱く者としてはやるせない。
でも、ほとんど会員の方はそうなのだ。我慢するしかないなあ。
■本日は、冬毛モッサモッサの大柄な【とら】ちゃん。
朝一番に調馬索で運動をした彼は、ほかほかの肉まんのように背中から湯気を立ち上らせている。
冷やさないようにレッスンまでの時間、馬の腰に小さなブランケットをかけておく。
この愛用のユニクロのフリース膝掛けには今年も活躍してもらうつもり。
■ごんちゃん先生のレッスンは、【毒うま】【ベルベット・シート】【アレフ・ゼロ】と4騎部班である。
【とら】ちゃんは、前になかなか出てくれない。
乗り心地が軽くなり操作性が向上する一瞬はあるのだが、すぐに曇ってしまう。
こちらが気を抜くとよれてくるので気力の消耗が激しい。
こんな時は… 基本に帰る。
まん中に座り、まっすぐ体重を落として内股に力を集めて、頭を天上から吊り下げられているつもりで遠くに視線をやる。
手綱も拳を揃えて、肘を腰の脇に置いて… とにかく基本姿勢。
おお、こうするだけで【とら】ちゃん、軽々と動いてくれるじゃないの〜
それでもサイドブレーキがかかるように肢運びが重くなる時は、長鞭で「私はもっと動いて欲しいのよっ」と伝える。
■以前は部班に遅れたり止まられたりしないよう「(迷惑がかからないよう)ちゃんと動いて!」と要求していたけれど、今では乗り心地と操作性向上のために「(私とあなたが共に楽になるには)もっと前に」と本能的に求めてしまう。
クラスの上の人が当然のように拍車を使うのがわかるような気がする。
駈歩に至っては、まだまだ手綱で前を受け止めることができないので、とにかく「もっと走れ」だけ。
「もちぇさん、推進」と言われなくても、「前へ、もっと大きく」と脚も鞭もどんどん使ってしまう。
傍から見ていたら滑稽だろうなあ。
人が暴れるからますます馬は動かなくなるのは、速歩も駈歩も同じだと気がつかないのかねえ〜と。
■駈歩が怖かった頃は、身体を固くして乗っていたから静かに乗っているつもりでもドンドンと鞍の上で跳ねていた。
怖さが薄れてきてからは「人が動かないように」と注意されて、身体の動きを止めようとしてさらに大暴れ。
この時代は、駈歩の継続ができないから動きに慣れることもできないまま鞍数だけが増えていった。
オートマティクで駈歩を続けてくれる馬に出会ってから、肢先だけの動きの小さい駈歩は、乗り心地が悪いということに気がついて、推進の重要性を理解する。
それでも、かつての暴走事件の影がちらついて「駈歩での推進なんてありえない」葛藤状態が続いた。
それが、ここに来てようやく「ブイブイ走っておくれ、フルスロットルで行くぞ!」になるのだが、まだまだ上手くいかない。
人馬がぴたりと安定する状態は、本当に一瞬のみ。
あとは位相がズレたまま、ドカドカ走るだけになる。
くう〜、もう600鞍も乗っているのにだよ。
■レッスンの最後に「では、最後にもう一度蹄跡を駈歩で」とごんちゃん先生の号令。
駆歩したあと「もちぇさんは【とら】の手綱をのばして歩度を伸ばした軽速歩!」の指示が出る。
「そら、お行き!」と手綱ブラブラで脚を使うと、軽やかに伸びていく。
まるで空を飛ぶような乗り心地。幸せ〜。
これなんだ、この走りを求めていたのだ。
最初からとは言わないけど、せめてレッスン後半からはこうやって走ってくれればいいのに〜。
ごんちゃん先生は「よかったですよ、【とら】を動かすことができましたね」とおっしゃるが、最後の1分ですから… それまではドカドカ人が大暴れしているだけ。
「【とら】はあそこまで駈歩させてようやく動くようになるんですよ」
「お疲れさまでした」と笑顔でコメントを下さる。
まあ、いいか。
意図しても成せず、偶然かそれとも馬の愛情によりもたらされたものであっても、天翔る馬に乗れたことには変わりない。
■「明日もこの続きを頑張ろう」と思っても、仕事だった。
がっかり…   


602/603鞍目 駈歩の拳も揃えて [第15章]

 2007-12-14(Fri) 初級クラス 通算602/603鞍目
■冬の夕方は冷える一方だから乗りたくないのだ。
しかし、その時間しかない。
ナイターで乗る人のことを考えれば、まだマシと思わなければ。
■本日ひと鞍目は【ベルベット・シート】
【アエラス】@中級の方との合同レッスン。
冬の季節風がピューと吹くようになって、枯れ葉がカサカサと飛ばされている。
■【ベル】は元気で前進気勢旺盛。
乗っていて楽しい。
内方姿勢もきれいに決まる馬なので、回転のスムースさを堪能する。
半巻きの最後に蹄跡に戻る時には、
「馬を蹄跡に押し付けるように(新たな)内方脚で押して」
「新しい外方はこっちだよと馬に意識させて」と声が飛ぶ。
なんとなく蹄跡に戻るのではなくて、つねに外方内方を意識して手綱や脚を使っていく必要があるのだ。
12月に入ってから、基本の〈まっすぐまん中、左右を揃えて使う〉を確認した上で、脚や拳の位置や力のバランスをうるさくいわれる。
左右の使い分けをするには、推進に全力を投入していては無理なわけだが、
軽々と前に出てくれる【ベル】のおかげで、何の憂いもなくレッスンが進む。
■駈歩では「両拳をまん中で合わせるようにして乗って」という注文がつく。
拳の高さを揃えて、内外の手綱の不均衡がない状態を体感するためのエクセサイズらしい。
以前よりも長時間拳を合わせたまま乗れるし、
隅角を曲がる時は両拳ごと内側にスライドさせれば問題ないことが判明する。
駆歩しながら、いろいろやってみることができてうれしい。
■ひととおり運動した後で〈真直性〉を意識した練習。
■軽速歩の手前が合っていないと頻繁に注意される私に、4%先生が興味深い話をしてくれた。
「外側の前肢が地面についている時に座れと言われますよね」
「あれはね、実は内側の後肢が宙に浮いている時に脚が入るように意図しているんです」
「内方姿勢というのは、馬の内方後肢がより大きく内側に踏み出していかないとだめなんです」
そうか、内方後肢かあ…
自分の脚が馬の後肢と連動しているような意識付けが必要だなあ…
そう思いながら軽速歩をすると、なんとなく【ベル】の腰の動きがクローズアップされて感じられる。
こういった準備をして、
「蹄跡から中央線に入り、鏡に向って直進、そして蹄跡へ」
「回転してから、馬体をまっすぐにね」
「その時は、脚も拳も左右同じようにつかって、馬がまっすぐにしか進めないように」と指示が出る。
■右手前の回転はスムースなのに、左手前ではぐぎぐきと固さが感じられる。
左手前で中央線に入ると、左右同じように使いたい身体がねじれる。
馬の腰をまっすぐにしようと脚を同じように使うと、背骨を軸に肩が左後ろにねじられるような違和感。
くう〜、馬をまっすぐにしようとしてねじれちゃうなんて。
「馬にも左右差がありますからね」
「その差を人が補うために力の入れ方に左右差がでることはありますよ」
ううむ。
■「じゃあ、こんどは3湾曲やってみますか」
曲げる、まっすぐ、曲げる。
その結果が美しい3湾曲の軌跡にならんといかんのだ。 
新しい手前を意識して、求める曲率に合わせた脚と拳のバランス。
次にどのように馬に扶助を出すかを考えながら、視線はひとつ先のカーブを捉えておく。
ぐっ、左は右と同じようにやっても曲がらん。
無理に曲げようとすると前に出なくなる。
まずは推進だな。
この推進しつつ別のことを繊細にやるのは、難しい。
■鞍数が増えても、乗馬の森は深くなっていくばかり。
でも、今日は前に出てくれる【ベル】だったので気分は良かった。

■ふた鞍目は【とら】ちゃん。
運動会が終わってからのメインパートナーなのだが、最近再び〈激重〉の噂あり。
今度は【毒うま】君とごんちゃん先生のレッスンになる。
■「動いてくれるまでが大変なんですよねえ」と早々に先生から慰めのお言葉を頂戴する。
最速【毒うま】との2騎部班だと馬間が空いて部班にならないかも。
■【ベル】のあとでは苦しかった。
それが、すべて。
前を出すのに全精力をつかって、巻き乗りも内方姿勢もふきとんでしまう。
駈歩も途中で止まってしまうし…
こういう馬を涼しい顔で乗りこなしている中級クラスの皆さんは、どうやっているのだろう。
「いや、午前中に乗った方も『もう大変なのよ』と嘆いていましたよ」
重い馬を空中分解させずにまとめていくには、何が必要なんだろうなあ?
平常心が第一だと思うけれど、その次は何だろう?
気力か心肺能力か、バランスか、とにかく今の私はお手上げ。
■「後半は動いていてましたよ」とごんちゃん先生がフォローして下さるが、
動かすのみでそれ以上は何もできませんでした。
「まずは、そこから」ということにしておこう。



604鞍目 内方が譲れると… [第15章]

 2007-12-15(Sat) 初級クラス 通算604鞍目
■何を隠そう職場が変わって生活リズムが崩れたら、いきなり太った…
遅い時間に仕事が終わると病的な食欲にかられ、ジャンクフードを山盛り食べてしまう。
しかも、太陽の光を目にすることもなく外気も吸えず、半袖で過ごせる恒温環境にいるから汗もかかない。
あ"〜、身体に毒気がたまる一方。
おかげで、キュロットがきつい。ブーツが履き難い。
目下の大問題である。
■週末の朝一番のクラス。
配馬表には久しぶりに【山桜】の名前。
彼は療養明け2回目のレッスンということで、4%先生が下乗りをして下さる。
【とら】との2騎部班になる。
■自分が扶助を出した時に、馬からポジティブな反応が返ってくるのは嬉しい。
動かなくなるとか求めているのとは逆のことをするのも反応の一種なのだろうが、わずかな合図で意図した動きをしてくれると幸せな気分になれる。
こういうときこそリリースが大切になるのだと学ばされたひと鞍。
■今月の課題に沿って、
まず、常歩で鐙に立って自分の安定した脚(ふくらはぎ)位置の確認。
次に輪乗りや巻き乗りの回転扶助時の内外の脚の使い方の説明。
特に、外方脚のつま先が外に向いて拍車が入りやすくなっているので、意識して脚の付け根から後ろに引いて、くるぶしの部分で馬を押さえるようにと言われる。
さらに、内方姿勢をとらせる時の拳の位置の説明。
拳を揃えて使うのが目標だが、内側を向かせる合図として内方拳を使うときは、すくうように持ち上げる。
「押さえつけるように使わないように」「外方よりも下にならないように」と注意が聞こえてくる。
ううむ、今日のレッスンの相方が、左手前で曲がらない【とら】を力づくで引張っているんだろうなあ。
同じ経験があるだけに「誰もが通る道だなあ」と思いながら、
私の時は「外方拳が上がらないように」の注意であったことを思い出す。
手があがって重心がふわふわ浮いてしまうタイプの私と、がっしりした男の方では、身体の使い方が違うのかもしれない。
以上を常歩、速歩でそれぞれ練習する。
■駈歩では、
「発進前にトンとひと蹴りで速歩になるような常歩をさせましょう」と指示が出る。
「脚に対する馬の反応を良くすることが目的です」
「速歩になったら、すぐやめさせて」
「駈歩発進は力で出すものではありません、合図で出すんです」
「そのための準備なのです」
非常にわかり易い説明。
「元気のいい常歩をさせないと駈歩でないよ」とは駈歩クラスでよく聞く台詞だが、強く蹴る力で押し出しているわけではない。
反応を良くするには、求める反応が返ってくるまで段階的に強い合図を出していく。
正しく反応したら、すぐさま合図を止めて「それでいいよ」と返事をする。
この場合だったら、速歩になるまで脚を強く使って速歩になったらすぐ脚を緩める。
そして速歩は出たとろで「違うよ」と手綱を握って、推力最大の常歩状態に落とす。
速歩までの反応時間が長くかかるようなら、舌鼓や拍車を応援に使ってみる。
こんなふうに「もっと」「そうだよ」「ちがうよ」「そうそう」と馬とやりとりすることが、馬の「なになに?」「次はどうするの?」というレディネスを高めるのだ。
常歩の落ち着いた状態でやりとりするので人も馬もゆとりがある。
駈歩発進でもたつくのも、正しい駈歩をするための反応を良くするやりとりだと考えられなくもない。
「ちがうよ速歩じゃないよ」「駈歩だよ」「そうそう、そのまま続けて」
だから「スムースにできない」と落ち込むこともないのかも…
ただ、動きが大きいからリスクが大きいし、目立つのでかっこ悪いけど。
■【山桜】は小さな扶助に敏感に応えてくれるので、やりとりするのもお尻の下のわずかな動きで事足りる。
ありがたし…
【とら】の駈歩に追いつくことが頻繁になると、
「そういう時は内側から追い抜いたり、巻き乗りしていいですよ」と4%先生に許可をいただく。
昨日と立場が逆転。
駈歩を号令なしで自由に蹄跡行進、輪乗りしてしまう。
うれしい〜(涙)、駈歩に不自由しないなんて… 
ああ【山桜】のおかげだ、君は天使だ!
■一通り駈歩を終えると4%先生から声がかかる。
「手綱の長さを見てみましょう」
「左右同じになってますか?」
むむ、外側が拳ひとつ分長いかなあ。
「大方の人は、外方が緩み易くなるんですよ」
「内側がきつく外側が緩んでくる癖があると思って、意識して手綱の調節をして下さい」
「長蹄跡など安定している折々にチェックするといいですよ」
駈歩の時の外方は、操作の要になるのだ。
外方の肘でしっかり張るようにしないと… 
そして、そのためには内側の座骨が錨を下ろしたように安定してないとなあ。
■「では、もう一度駈歩を」
「今度は、駆歩しながら内方の拳を馬の口の方へ差し出すようにしてみましょう」
「2完歩分譲ったら、また元の位置にもどす」
「それを繰り返してみましょうか」
この拳をゆずる動作は、知らぬ間にきつくなる内方手綱を意識してリリースする練習。
外方は同じ位置にあることが大前提。
騎乗バランスが安定していないと難しいのだ。
愛馬【山桜】のおかげで、いつになくリズミカルに内方拳を差し出すことができる。
と、あれっ?
譲ったあとの元の位置に戻した時の手綱への反応が、なんだかとてもいい。
外方拳の手応えが、かかる力が強くなったわけではないのにしっくりした感触になっている。
首の位置もちょうどいい位置にピタリとおさまって、手綱がピンと一定の張力を保って馬と繋がっている。
首の動きにつられて、緩んだり張ったりと不安定な張力の手綱だったのに。
曲がるのもスピードの調節も遊びがなくて直接操作している感じ。
んんん、内方を譲ることそのものではなくて、譲った後に元の位置に戻した時の反応だよね。
これって、リリースしたから反応が良くなっているってことなの?
■レッスンの終わりに4%先生に尋ねてみる。
「そうですね、扶助をいったんゼロにしてあげるから小さな合図に反応が返ってくる」
【山桜】は、真面目で反応がいいから下手がドカドカ乗っていても、頑張って駈歩を続けてくれる。
しかしそれに胡座をかかずに、ちゃんとリリースをしてあげるとさらに細やかな走りができるようになるのだ。
しかも、内方の拳を自在に譲れるようになると、馬は明確な外方のハミに頼ってくるので外方の支えが人馬の両面から築けるようになる。
「駈歩でもすいぶん自由に手足が動かせるようになりましたね」と先生からの講評。
ようやく、ようやくここまで来たという感じ。
安定した乗り心地と操作性向上のための手だてが、速歩どまりでなく駈歩にも使えるようになり始めたところなのだ。
ああ、それなのに… もう年末だよ〜。


605鞍目 【落馬注意】バック [第15章]

 2007-12-19(Wed) 初級クラス 通算605鞍目
■最近、面白いものを手に入れた。

「落馬注意」バック!

自戒をこめて乗馬用バックとして使うつもり。
■本日は【時鮭】にお相手を願う。
4%先生の中級初級合同レッスンで、【青雲】【毒うま】【ベルベット・シート】との4騎部班。
今朝の冷え込みでドレッサージュアリーナの一部が凍結したままということで、
なんと、障害用の広いアリーナを使うことになった。
気持ちが解放されるので、この馬場は結構好きなのだ。
特に【時鮭】は前進気勢のある馬だから、広くドンドン動いてくれるのが楽しい。
■しかしながら、
〈駈歩で内方の拳をゆずる〉という課題は、手つかず。
最初のうちは気持ちよく駈歩が続くかに見えたが、曲がろうとすると曲がれず、だんだん駈歩の維持も難しくなってきた。
【時鮭】での駈歩で輪乗りというのが、できない。
「外方脚で押し出すように」とアドバイスを頂くのだが時既に遅し。
馬が「わけわからん、もう嫌だ」と叫んでいるような雰囲気。
結局のところ、馬の邪魔をしない駈歩での扶助ができていないのだろうなあ。
ピクニックのような楽しい気分だっただけに、駈歩が続かないのが残念でならない。


606/607鞍目 下手の長手綱 [第15章]

 2007-12-21(Fri) 初級クラス 通算606/607鞍目
■朝は真白な霜が降りていたのに、日中は穏やかな陽射しに暖められる。
馬の傍らにいるだけでほっこりとした気持ちになる。
幸せだなあ、こんな日に馬に乗れるなんて。
■本日のひと鞍目は【アレフ・ゼロ】
4%先生が「ちょっと乗りますね」と彼をレッスン前の馬場に連れ出す。
【アレフ】が前乗り付きで配馬されるということは、運動上の軽い問題を抱えているか or 本日の課題をきちんと学べるようにとの配慮からか、この2通りしかない。
運動する姿を眺めていると、首を下げさせるようにしてはいるが、左右のストレッチなどはあまりしてない。
ん〜、寒いから準備運動をしっかりさせて軽くしておいてくれるんだろうか…
■レッスンは【チャンドラ・グプタ】【ベルベット・シート】との3騎部班。
【アレフ】はいつもより軽めではあるが、ぎゅんぎゅんにエンジンが回っているわけでもない。
ネックストレッチを手する4%先生の姿を目にして、
「お願いします」と近づいていくと補助具はつけず水勒一本だけでやるらしい。
「もちぇさん、今日は手綱は(ピッチマークの)5番目で持ちますよ」
「駈歩の時は4番目でもいいと思うけれど、かなり力がいるかも」
なんと!今日の課題は手綱だったのだ。
うわ〜、推進をサボれない。つらい…
こけたら、バラバラになるだけだ〜。
■「『下手の長手綱』という表現があるそうです」
「弛んだり長いと馬が上手くコントロールできないものです」
「手綱は、馬から3番目ぐらいのマークで持つ長さでいいと思います」(ハーフピッチだと5、6番目)
とうとう、宣言されてしまった。
短く持ちましょうという努力義務ではなく、
「短く持てないのは下手の証拠である!」と。
■首の長い【アレフ】をたぐり寄せるには、推進しかない。
手綱を引っ張ったら、抵抗されてどんどん前のめりになる悪循環が待っている。
手綱の張力を一定に保ちつつ、脚をつかって首が近づく一瞬に短く持ち直すか、回転運動でまとまってきたところをねらう。
レッスンの前半は、【アレフ】のエンジンパワーは出たり入ったり。
その度に手綱が余ったり、足りなくなったりする。
ここで手綱の握りを緩めてしまうと、するする長さが伸びてもとの木阿弥。
滑り止めのゴムの感触を指で確認しながら、親指に力を入れて「ここは絶対に放さない」と心に誓う。
その分、小指から中指までの握りを解放して肘も開いて、腕の長さの全てを差し出すようにする。
ここまで真剣にやってみて初めてわかる。
「手綱が足りない分は人の身体を使うことでかなり補えるのだ」
「腕を差し出す不安定な格好になるからこそ、必死に推進して安定した姿勢に戻ろうとするのだ」
■4%先生からは「拳は下に落としておくように」
「鞍の前に揃えておいて」と基本の構えの注意喚起がなされる。
ピッチマーク5番を死守しながら、拳を鞍の前においておくためには、推進しかない。
「いきなり引っ張ってこれないでしょうから、外方内方と交互にたぐり寄せて下さい」
「内方姿勢ではまず外側からですよ」
「内方の手綱を持って馬が止まりそうになるとしたら、『今は止まれじゃない』と脚で前に出して」
「馬が内側を向いてたら、手綱は緩めてあげましょう」
「内側を引っ張り続けると、馬は混乱してきちゃいますからね」
うむ、うむむ。
【アレフ】と言葉を使わない会話になる。
■速歩での運動を終えて、常歩の号令。
次の駈歩を予測して脚を入れ手綱も短めに持つ私。
しかし、レッスンの説明が長引いて常歩が続く。
あれれ、【アレフ】の雰囲気が明らかに違う。
手綱の感触に生々しさが出てきて、一歩一歩が軽い。
座骨を内側にずらしただけで、ふわりと駈歩が出てしまうほど。
そんな状態の人馬に4%先生は、
「馬がハミに頼ってきてますよ」
「くわえやすい手綱だと、馬の方からハミを探しにきてくれるんです」
と解説してくださる。
そうか、駈歩に備えて脚と手綱を意識して使っていたからなのかも。
■いざ駈歩の号令が出ると、【アレフ】は推力最大でふわりと離陸してくれる。
長蹄跡ではドンドン加速。
いつも推力不足で墜落(速歩に落ちること)を怖れている身には、望むべき状態なのだが
「もちぇさん、隅角を回る時は外方を緩ませず握るようにしてブレーキをかけて」
「外方が緩んで(相対的に)内方がきつくなるから、馬はスピードを上げるんですよ」
「うーん、内方がきつくなってますよー」
「内側を緩める時に、外方も一緒に緩んじゃダメですよ」
トータルバランスでの〈内方のキツさ〉を指摘されているのだと思うが、
まだまだ私自身が、何をもってキツいのか自覚できない。
自分では左右差が感じ取れないので、言われたら直すしかない。
■輪乗り駈歩でも同じように内側を緩めようと努力していると
「馬は、もちぇさんが輪乗りをしようとするバランスに反応して動くから、
むしろ手綱は左右揃えておけばいいですよ」と声がかかる。
確かに現時点での駈歩は〈メリーゴーランドのお馬ちゃん〉状態。
まっすぐ真下に重心が落ちていて静かに座っていられる極上の乗り心地。
こういう人馬のバランスが安定している時には、大きく動く必要がないらしい。
駈歩以降の【アレフ】の手綱は、帆に風を受けているときのように柔らかく力強い。
馬エンジンのパワーが手綱の張力を伝わって自分にも流れ込んでくる感じ。
自分が張りつめた弓の弦になったとでも言おうか。
■レッスンの最後は、速歩からの停止。
「脚を後ろにずらして使って、グウーと体重を下に落として」と言われるのだが、
脚で馬を挟もうとすると腰が浮いてしまうのを自覚する。
何度やっても、自分がブニュと上に飛び出してしまって、馬がきちんと止まれない。
【アレフ】の駈歩が気持ちよく決まっただけに、ちょっとさびしい。

■ふた鞍目は、久しぶりの障害レッスン。
【ヴィーヴ】に乗ってクロスバーを飛び越えた春以来である。
アリーナ全面を自由にかけまわれるのが楽しい。
私は頼もしい【霧丸】さまにお相手願って、【時鮭】との2騎で参加する。
■「今日は2ポイント姿勢の練習からです」と4%先生が遠くで叫んでいる。
立ち乗り大好きな私は、すでにわくわく。
ところが、障害鞍の鐙は(馬場鞍との比較で)衝撃的に短い。
脚が折り畳まれてしまって、脚の扶助が伝わるのか心配になる。
しかも、2ポイントで腰を浮かせると鞍の上に立っているような感覚になる。
「馬場鞍に慣れているので、ずいぶん違和感があると思いますよ」と4%先生が見かねて、鐙革を1穴長くするのを手伝ってくださる。
今日の障害鞍は、練習鞍ではなく私物を借りたので鐙の踏み面のグリップが格段に良く、ほどなく立ち乗りにも慣れてきた。
「駈歩の2ポイントが安定してきたら、今度は片手手綱にしてみましょうか」
鐙をグッと踏んでいる限り、片手手綱も大丈夫。
こうなれば、片手に剣を握り「Ride for Ruin and the World`s Ending !! 」とセオデン王のように絶叫したい衝動にかられる。
うふふ、私は自由に駆け回る〜
■「先程やった駈歩での手綱の感覚を思い出して」
つまり「馬エンジンのパワーを手綱を通して常に感じていましょう、そのためにはコンタクトをはずすな」ということですな…
確かに手綱のピッチマークは2番目と3番目の間ぐらいに短くなっている。
今は逆に、長いダランとした手綱の方が怖く感じる。
■「障害にまっすぐむけて」
「障害に向うまでは、後ろにどっしり座るようにして」
「1、2の3で立ち上がれるよう準備して」などなど、
障害飛越の基本にはあまり真剣に取り組んでいない自分がいるので、あれこれ考えずに身体が自然に動くことにまかせてしまう。
おわっと飛び越すまではいいのだが、着地後に「おっと」と身体が前にのめってしまう。
「もっと踵を下げて鐙を深く踏みつける感じにするといいですよ」
「馬場鞍は前のほうに乗る意識が強いですけれど、障害鞍はもう少し後ろに座った方が安定するかも…」
慣れない障害の姿勢についてもアドバイスをもらう。
■〈馬のパワーを手綱から感じとる〉とは、その感触がとても生物的なのだ。
これまでの人生で、車のシートやハンドルに無機的なパワーを感じることはあっても、生き物を操作する感触は身近ではなかった。
手綱が短くなればなるほど、コンタクトは緊密になっていく。
ときに異種の生物の反応に気味悪さを感じたり、人間同士よりも心が繋がっている幻想にとらわれたり。
人が馬を操作するという感覚ではなくて、人馬という新しい生き物になる覚悟がいるんだろうなあ。
境界を一歩踏み出すような不思議な感じ…


608鞍目 4頭同時駈歩 [第15章]

 2007-12-24(Mon) クリスマスイブ 初級クラス 通算608鞍目
■クリスマス3連休前半は雨模様。
ようやく晴れた最終日は、練習馬全頭がレッスンに出て馬房ががらんとなる状態。
■今日のお相手は【アウグスティヌス】
ごんちゃん先生とこじんまりした馬場で4頭部班レッスン。
【毒うま】【ときめき】【チャンドラ・グプタ】のこの間まで新馬扱いだったメンバーが集合。
こんなお馬たちで4頭同時に駈歩できるなんて、時間の経過と共に成長したなあと感嘆する。
■馬装手入れ時に【アウグス】が鼻先でむぐむぐ探ってくるのがくすぐったい。
「なあに?」
並んで立っていると、肩に顎を乗せたり耳元に鼻息をかけたりしてくる。
いろいろ言う人もあるだろうが、今の私には【アウグス】の示す親近感が好ましく思える。
馬との絆を大事にしたいなあと思う今日この頃。


609鞍目 ハミから逃げる [第15章]

 2007-12-26(Wed) 初級クラス 通算609鞍目
■年末年始に忙しくなる主婦の方々は、今日あたりが乗り納めの様子。
「今年はこれが最後」という言葉がちらほら聞こえてくる。
わが家の場合、子供達が明日から長期の旅行に出るので、
「私の自由時間はこれから!」と乗馬三昧の日々を送るべく画策していたのに、
クラブの年末年始休業がいつになく長い。
残念なことである。
■本日は【とら】ちゃんがお相手。
彼の2鞍目のレッスンにあたる。
休み明けの最初のレッスンだと激重の覚悟がいるが、今日はマダムが動かしてくれているから、少しはマシなはず。
■そんな淡い期待を抱いて、ごんちゃん先生のご指導を賜る。
今日は【チャンドラ・グプタ】との2騎部班。
「あれれ、やっぱり最初は動かないようですねえ」とノッタリした動きの【とら】を見て先生に言われる。
「この間は、速歩はノッタリのまま、駈歩1歩も出せないレッスンがありましたから」
なぐさめるつもりのお言葉と捉えていいのか、不気味な予言と覚悟したほうがいいのか…
内心複雑。
■それでも、駈歩をひとおとり終えるとグワーンと動き出す。
「そうそう、それでいいんだよ」とほめちぎる。
が、なんだか巨大な帆船のような感じ。
「もちぇさん、そこで手綱を緩めない!」
「腹筋背筋使って、がまんして!!」と
駈歩から速歩に移行する時にごんちゃん先生に叫ばれる。
うえーん、動きが大き過ぎてするりと手綱が長くなってしまう。
「そこで馬が伸びたら、馬場的な動きはさせられませんよ」
そうなんだ、うまなりに動いていたら結局何にもならない。
■それ以降の駈歩、速歩ともに手綱の長さを死守する。
ううむ、なんだかガチガチと力勝負しているような感じで筋肉痛になりそう。
「もちぇさん、鏡がないとわかり難いと思いますが」
「今【とら】は口を開けていますよね」
「これはハミから逃げようとしているからなんです」
「内方の手綱が強くなると馬も苦しくなるので、そうしているんですよ」
馬場の砂に映る影に、馬が口を開けているのが見て取れる。
ほえ〜、こんどは内方がキツいのか〜
動かして、手綱をもっても、次は内方を譲っていかないとだめか。
内方の拳を意識してゆずるが、外方がしっかり張っていないと意味をなさない。
外方にコンタクトが取れてないと言うことは、内方脚が効いていないのだ。
■輪乗りをするなかで
「外方で馬を回して下さいね」
「回転運動は遠心力が作用してますからね」と言われる。
内側に曲げようとする意識ではなく、内方の斜め前だけに道が開いているようにしなければならないのだ。
そして外方を緩ませないのではなくて、内側からの力を受けて張っている状態にすべきなのだ。
馬が外側に膨らもうとする力、遠心力を作るには、結局内方後肢だ。
内方脚かあ…
■レッスン後半の速歩では、馬の首がグイイと下がることが多くなった。
「後肢の踏み込みが大きくなった分、【とら】が苦しくてそうなるだと思いますよ」
重い【とら】を動かすのに精一杯の時には、ありえない事態。
しかし、動かして手綱を持っても、さらに推進が必要な状態なのだ。
動きが大きくてパワフルな【とら】には、こちらもそれ相応のパワーが求められる。
できるんかな? こんな私に。


610/611/612鞍目 乗り納め [第15章]

 2007-12-29(Sat) 初級クラス 通算610/611/612鞍目
■乗馬クラブにいると普段と感覚が違うらしい。
傘が必要な雨でも「別に気にならない」と思える。
馬場が泥沼状態でも「そうだった、駈歩で滑る危険性があったのだ」と後になって気がつく。
自宅で空を眺めながら馬に乗るべきか否かを考えたら、きっとキャンセルしてしまうだろう。
天候がどうであれ「取りあえずクラブに行く」を是としているので、今日は他の人のキャンセル分も引き取って3鞍の乗り納めとなった。
■ひと鞍目は、今年最大の功労馬【山桜】が配馬されている。
「初級馬場の状態が良くないのでアリーナで」と促され、障害用の広い馬場に出ていく。
ごんちゃん先生の指導で【時鮭】との2騎のレッスンとなる。
■うわぁ、アリーナだってどろんどろん。
砂が深いので馬の肢がずぼずぼとのめり込む所もある。
「ほら〜、大丈夫だよ」と【山桜】に言い聞かせながら広大な馬場を一周するも、豪雨の中障害をどんどん飛ぶ【時鮭】に較べたら、【山桜】がきょろきょろドキドキするは無理もない。
小さく区切って馬場のレッスンをするのではなく、アリーナ全面を使う。
■【山桜】は、左手前の駈歩でかなり高速になる。
と、遠い昔が思い出される。
103鞍目のあの時は「何っ?怖い!どうしよう」と身体を固くしてしがみついたのだ。
今なら、反撞が大きくて座っていられないなら2ポイントをとるし、外側の手綱を断続的に握って後ろに体重をかけて「どう〜」と声に出して、徐々に馬のテンションを下げるようにする。
必要ならあえて手綱を緩めてハミを外してしまうこともある。
物理的な力で馬を止めるのではなく、「走らなきゃ」という馬の気持ちを切り換える為に「私の言うことが聞こえる?わかる?」と扶助を出すのだ。
アリーナの半分ほどで我に帰る【山桜】
うむ、すぐクールに戻れる馬はすばらしい。
■右手前駈歩は非常に調子良かったのだが、障害の脇の泥深い所で肢をとられて躓く。
それ以降、なんだか内側に入り込むようになる【山桜】。
教官からは「もちぇさん、右側の脚が後ろに流れてますよ」と注意を受け続ける。
自分の脚位置が悪いから馬がよれてくるのだと受け止めていたのだが、
今になって考えると、躓いた時に右前肢を軽く痛めたのではないか、そのために急に右内方前肢が前に出なくなったのでは、そして馬の体の動かし方につられて私の内方脚も後ろに流れたのではと思えてくる。
馬と人の動きは、緊密に関係しあっている。
馬の苦手を人がサポートするという意味で、右の内方脚をしっかり前に使って押し出していくことは必要なのだ。
最初から正しい扶助があってそれをどの馬にも当てはめるというのではなく、
馬の状態に合わせた扶助が適切に取れるというのが、求められることなのだ。
レッスン中に馬の状態が変わる今回のエピソードを経験して、なるほどなあと納得させられた。

■ふた鞍目は【チャンドラ・グプタ】
【毒うま】【アレフ・ゼロ】の3騎部班で、ドレッサージュアリーナでレッスンとなる。
不休の排水作業の成果で、湖だった馬場が四隅に小さな池を残すまでになっている。
それでも池の中で立ち往生する馬がいたりして、運動の経路取りに神経を使う。
「蹄跡が水路になっている場所もあるので、第2蹄跡をよれないよう運動させましょう」
今日の課題はこれにつきる。
■ごんちゃん先生の冬場のレッスンは、ウォームアップとしての駈歩が早い段階で要求されるのだ。
「はい、では駈歩いきましょう」
高速馬の【毒うま】がエンストしたり、隅角付近の池を嫌って速歩に墜落したりと初級の部班ではなかなか全頭同時の駈歩にならない。
【グプタ】は苦手の右手前で逆手前の発進が出てしまったりしたが、大袈裟に内方姿勢をとらせる準備をした後では問題なく駈歩ができる。
それよりは、左手前での短蹄跡を回り込むに、ちょうど池になった深い所に突っ込むようにスピードが上がる。
「やめれ〜」「カーブ曲がりきれなくて人馬転するかも」という恐怖がかすめると、速歩に落ちる。
ごんちゃん先生からは、
「脚の付け根を伸ばすようにして」
「馬の足元が悪いので、人が腰をどっしり落ち着けて乗って」
「もちぇさん、腹筋背筋しっかり使って腰に一本芯を通すつもりで乗れば、【グプタ】の首が下がった駈歩ができますよ〜」とアドバイスが飛ぶ。
結局「危ないかも」という意識が自分の腰を浮かせるようになってしまい、馬が首を上げて走る不安定走行に繋がる負の循環なのだろうなあ。
■落ち着いた駈歩で蹄跡周回が続かないという不満はあるものの、駈歩のアップが終わってホッとして常歩をしていると、
「あらっ【グプタ】」
「お前、首を下げているの〜」と驚いたようなごんちゃん先生の声。
言われてみると、首が右に曲がらなくて抵抗してよれる感じがなくなって、ズンワズンワと生物的な柔らかさの乗り心地になっている。
いやぁ、こうなると外側の手綱死守せねば…
速歩での運動でも、まっすぐまん中に乗って、外側の肘と腰骨に意識を集めて、内側がきつくならないよう常に譲れる心づもりでと気を抜く暇がない。
「人の姿勢を意識して下さい」
「重心が上がらないよう、下半身が重たく、上半身は自由に動くように」
ごんちゃん先生の声に、手綱を意識し過ぎて固くなりつつある上半身の力を抜く。
ストンとそのまま真直ぐに乗るのが理想なのだが、拳も脚も頭の位置もすべて気にした上での無為って本当に難しい。
■それでもこうやって乗っているときの人馬の状態って、風をはらんだ帆をマストや綱で受け止めることで上手く進むように調節する船のような気分になる。
力を受け止めること、それを上手く調整すること。
人の上半身は張力との闘いという気がする。
翻って、下半身はバランサーというところかなあ。
そんなことを考えながら乗っていると、これまで如何にバランサーが機能せず張力を持たない乗り手であったかがわかって愕然とする。
■「もちぇさんも【グプタ】攻略ですね」とレッスンの講評で先生に言われるが、
こうしてやろう、ああしようと考えての成果ではないので、次がどうなるかわからない。
それよりは【グプタ】の成長に助けられているところなんだろうなあと思う。

■これで2007年の乗り納めとするところが、雨で軒並みキャンセルがでた模様。
ひと鞍目の【山桜】の駈歩に何となく不安を覚えたので、3鞍目再び【山桜】に乗せてもらうことにした。
年の瀬の挨拶も済ませたのに、「えへへ」の苦笑いで4%先生のレッスンにご一緒させてもらう。
■3鞍目は【アウグスティヌス】との2騎部班。
馬場は、どんどん乾いてきて駈歩時の不安はなくなった。
■駈歩どんどんパワフルレッスンというごんちゃん先生に較べて、4%先生は姿勢や脚の使い方など細やかなレッスンとなる。
いつも通り、まず鐙を脱いだ常歩をして、脚が自然に伸ばされた状態の確認から始まる。
「膝から下がだらんと自由に動く感じを確認してください」
「馬の動きに合わせて脚が振り子のように動いてますか」
「膝がニーパットより前に出ない状態がこれです」
「太腿が地面に垂直に降りている姿勢を覚えておいてください」
毎度同じことを言われるが、そのつど意識する箇所は違う。
今日は、脚が脱力して振り子のように動く感じを味わう。
これって、馬に腰かけるとできない、跨がるとできる。
微妙な違いなのだが、鐙をはいて立上がる時、すっと立てるのは跨がっているから。
腰をかけていると、どっこらしょと身体を前傾してからでないと立てないのだ。
「鐙に立ってみましょう」
「そっと静かに脚の位置はそのままで座って」
「もう一度立って、安定して立てる状態でのふくらはぎの位置が正しい位置です」
「ふくらはぎで馬のお腹をはさんでいる感触を覚えておいて」
うん、冬になると馬の体温が長靴を通して感じられるんだよなあ。
■「では、歩度を詰めて、速歩、軽速歩」と号令がかかる。
この〈歩度を詰めて〉の予鈴の大切さが理解できるようになったのも、最近。
ポンと速歩を出すには、馬に準備の扶助を送らなくてはならない。
それが、この歩度を詰める扶助に集約されるのだ。
自分の体重を鞍にグウとかけて、手綱をわずかに握って馬に緊張感を与える。
馬はエンジンを吹かされつつブレーキがかかるから、スピードはそのままなのに推力だけが増大する。
そこにトンと合図して手綱をそっと緩めると馬は「はいよっ」と前に出ていく。
ガシガシ蹴って速歩しようと頑張っていたのが嘘みたいに思える。
■軽速歩では、外方の前肢が後ろから前に繰り出される時に馬体を挟みつけるように脚を使う。
立って座ってではなく、立上がる動作を通じて脚に力を入れるようにし、馬の外方前肢を押し出す手伝いができるよう自分の回路を組み直した。
結果として、立ち上がり完了時点で、馬の外方前肢が一番前に出ていることになる。
これまでは、外方前肢が前に出ているタイミングで立上がっていたので、いつも手前が逆になっていたのだ。
ふくらはぎで挟む力に強弱をつければ、立ち座りではなく脚で押し出す感触で軽速歩をすると、脚位置が一定になるようだ。
それにしても、【山桜】の速歩がしっくりこない。
鏡で見ると鼻梁が下を向いているし、手綱がパンと張った感じにならないのだ。
右から左から、外から内から、ガチャガチャと音をたてて力が洩れていく。
ああ、気持ち悪い。
順風満帆の張りのある感触、軽々と跳ね上がるような歩みにはならんのかなあ。
手綱はピッチマーク3を持つ。
エンジンの回転数をもっとあげてくれるよう、長鞭もチョイと使ってみる。
4%先生の傍を通ると舌鼓が聞こえてくる。
やっぱり、推進不足なんだ。まずいぞ、これは。
ちゃんと号令通り遅れずに運動しているけれど、さらに拍車も使って推進する。
■「では、停止します」
「両脚を後ろで使って〜、ぎゅうと押し出したところで手綱を握って」
ううむ、かなり意識して脚を後ろに持っていけるようになった。
【山桜】は、もうそれだけで停止の心準備をしている。
手綱を握るタイミングも、左右別々に肢を前に出そうとするところで握ればいいのだろうが、今はそこまで精密にわからない。
何となく、動き出そうとするところをダメよと握り止めているつもりになっている。
■「次は、速歩の輪乗りをしながら常歩に落とすことをします」
「輪乗りの内方姿勢をとらせるために、内方脚は腹帯のすぐ後ろで使い、外方脚は引いてますね」
「常歩への下方移行する準備に、内方脚をまず後ろに引いて外方脚の位置と揃えます」
「両脚を後ろに引いた状態で使って、それから手綱を握って」
「常歩になったら、普段の脚位置に戻して」
脚を引いたり戻したりすることと馬の移行がクリアに繋がっている。
ふくらはぎで馬を捕らえて一定の脚位置で推進する一連のエクセサイズが、きれいに積み上がってきている。
■レッスンの残り時間も少なくなってから、
「じゃあ、最後に駈歩でやってみましょう」と4%先生。
「駈歩をだして輪乗り1周をしたら、速歩に落とします」
「速歩の時と同じように、内方脚の位置を後ろに引いて両脚の位置を揃えてから、移行です」
「速歩になったら、脚は戻してグッと前に踏み込むようにしましょう」
「そうしないと速歩の反撞についていけないでしょうから」
「人の姿勢が整ってから、馬の体勢のことを考えればいいですよ」
速歩で推力不足を感じた【山桜】も下方移行の練習をするなかで、だんだん調子がでてきた模様。
駈歩の練習では、いつもの推力最大、微細な操作も可能な優等生【山桜】に戻っていた。
というわけで、脚を引いて左右を後ろで揃えて下方移行の準備をするエクセサイズは気持ちよく終了。
■これまで何百回も「内方脚を前で使って」と注意されてきたのは、今日のこの練習をするためだったんだろうか?
何のためのエクセサイズ? 
いつもながら練習の意図を語らない4%先生だから、何十鞍も後になってから「ああ、このためだったんだ」とわかるのだろうなあ。
■そうそう、片付けをしている時に、レッスンをご一緒した方から言われた。
「秋の運動会の時より、駈歩で身体がグラグラしなくなりましたよ」
「中級の人達みたいに普通に乗っていましたよ」
きゃぁ〜、うれしい。
普通に駈歩ができることが最大の目標だったから、通信簿でA評価をもらうのに匹敵する。
これで、わたしの2007年は終わり。
しかも最愛の【山桜】と気持ちよくレッスンできて、これにまさる幸せはない。

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今年は怒濤のごとく219鞍を乗ることができました。
とても充実した1年でした。
ひとえにクラブの先生方、いとおしい馬たち、そして見守って下さった皆様のおかげです。
心からお礼申し上げます。
来年もどうぞよろしく。
皆様の新しい年が、実り多いものであるようお祈りいたしております。 
                        もちぇ拝


初級は怒濤のごとく [サマリー]

 2007年を振り返って
■この1年での騎乗数は219鞍。
2006年よりも60鞍ほど多い。
しかし、同じクラブの会員で年間360鞍以上の方がいるのを思えば、まだまだである。
この最多騎乗数の会員の方と話をしていて、
「『自分が下手だ』『望むように乗れない』と嘆いても、結局は乗るしかないのだ」という結論に達する。
やはり、量はいつか質に転換する。
個人の適性や環境により必要とされる練習量はそれぞれ違うし、私のようなおばさんでは人の3倍以上乗ってようやく周囲に追いつけるという有様だが、それはしかたのないことなのだ。
■「まともな駈歩ができるようになりたい」との願いは、乗り納めの日に「普通に駈歩に乗ってますよ」とのひと言でかなえられたと思う。
しかし、駈歩にたどり着くまでに膨大な量の常歩速歩。
「速歩でできないことは駈歩でできるわけがない」という4%先生の言葉どおり、姿勢や扶助の膨大な基礎固めを常歩速歩で練習してきた。

■07年のトピックスは、まずは競技会に出たこと。
そして【山桜】と和解し駈歩トラウマを解消したこと。
高齢の【主席】を見送って、新馬達の成長を実感したこと。 かな…
■「いつまでたってもできない!情けない」という苛立は影を潜めたけれど、乗れば乗るだけ「あれもこれも」と押し寄せてくる課題に溺れそうになった。
競技会の様式にとりあえず形だけ合わせて出場した県大会。
それは、今までの成果を問うゴールではなくて、まさに何から始めればいいのかを知るスタートだった。

○1月 出稼ぎ中。ほとんど騎乗せず。
○2月 復帰の初日が400鞍目。久しぶりの【山桜】に乗って調子がいい。
4%先生から「県大会に出てみませんか」とお誘いがある。
馬場馬術2課目の競技会に出るレベルに到達できるのか不安。
中旬に正式に出場を決め、本格的な練習を始める。
パートナーは【山桜】長靴、拍車、長鞭を標準装備。
折り返し手綱の使い方も練習する。
○3月 2課目の図形が正しく描け、定点で移行できるのが課題。
特に駈歩パートでの輪乗りと隅角通過の区別がつくよう重点的に練習。
詰め伸ばしの練習を通して収縮した馬の状態を体験する。
競技会出場を決めてから6週間で42鞍を費やす。
18日(日)県馬術競技会第2課目に【山桜】と出場。得点率50.59%
○4月 競技会の記念DVDをいただく。
そこには、しっかり乗っているつもりで拳が上下に揺れている姿が… ショック!
騎乗姿勢を安定させることを課題とする。
GWのスプリングホースショー2課目出場にむけて練習。
待機馬場での馬の前進気勢作りに心を砕く。
〈馬が理解できる扶助の出し方〉叱るためにあえて強い合図を出す必要性を学ぶ。
これ以降【アレフ】が重くてお手上げという状態がなくなった。
○5月 スプリングホースショー第2課目【アレフ・ゼロ】で出場。
得点率51.47% 4位となる。
速歩での騎乗姿勢が安定してきたと言われるようになる。
○6月 前半は体調悪化で休む。
県大会の救護係として2日間全競技を観戦。
それにしても、朝6時から夕方18時半まで延々競技が続くのにはびっくり。
500鞍目を達成。
各個での準備運動ができるように促される。
○7月 夏時間となり短縮レッスンとなる。
〈脚はふくらはぎをつけて一定の位置で〉〈押し手綱は背峰を越えない〉など、思い通りに動かない馬に対して騎乗者が不必要に大きく動くことを戒められる。
【アウグス】【毒うま】【霧丸】などの駈歩発進がスムースにいかない。
○8月 観測史上1位の猛暑となる。
16日には37.1℃を観測。高齢の【主席】が体調を崩す。
自宅のクーラーを使わないようにして炎暑のレッスンに備える。
〈座骨で馬の動きについていく〉&〈座骨で馬のバランスとリズムに働きかける〉レッスンを受ける。
以降【アレフ】の扶助が驚異的に楽になる。
他の馬でも、移行扶助に無駄な動きが少なくなった感じ。
○9月 夏の疲れが出て故障する馬が多くなる。
【アウグス】や【とら】から、回転時に肩から逃げる馬の扶助を教わる。
使いたい脚側に座骨を入れて重い脚を使うこと、手綱は短く持ち壁として規制する使い方をすることなど。
「こっちを向いて」と引っ張り回す手綱の使い方で効果がないのに、タイミングよくグッと拳を握っただけで馬を回転方向に導ける驚異的な現象であった。
競技会で興味をそそられた「大人の乗馬倶楽部」にビジターでいく。
○10月 「大人の倶楽部」2回目のビジター。
騎乗姿勢が後傾ぎみとの指摘を受けて心持ち前傾姿勢で乗るように矯正する。
駈歩での手綱を短く持つよう指摘される。
【アレフ】の駈歩で〈持ちと押し〉のバランスで馬が気持ちよく走れることを実感する。
体調を崩していた【主席】が亡くなる。
部内競技にむけて練習開始。
○11月 オータムホースショー2課目競技に参加。
準備運動から待機馬場、競技までを他の人に頼らずにやってみる。
前進気勢が不足で得点が伸びず50.0%だったが、自立して【山桜】と競技に出られたことに自信を深める。
ホースショー後、恒例の出稼ぎ期間に入り乗馬を休む。
○12月 出稼ぎ後、職場の配属が変わり季節労働者から週3日の通年労働者になる。
練習時間が減り職場のストレスも加わって、激太り!!! Oh,NO〜!
ただし、ひと月あまりのお休み後に駈歩平気度が増す。
とうとう600鞍に至って、なんだか心のゆとりが出てきた。
駈歩発進では馬を伸ばさないコツをつかんだかんじ。
駈歩の外方手綱を緩めず内方をきつくしないのが、現在の課題。

■気がついたら、今年は一度も落馬したり暴走されたりしていない。
(最後の落馬は、2006-10-18 の 368鞍目)
鞍とお尻もかなり馴染んできて、手綱の握る拳の感覚が細やかになってきている。
馬のいとおしさは年ごとに増すばかり。
それなのに、通年労働者になって平日の練習時間が取れないのが悩み。
これからが本番なのに〜ともどかしく思うのだが、諦めるしかない。
■2008年は、馬のパワーを受け止められるようになって人馬共に無駄のない楽しい運動をしたいと願っている。
まずは、駈歩の手綱と脚をもっとコントロールできるようにならなくては!
競技会も55%を目標に頑張ろうと思う。


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