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629/630鞍目 詰めれば伸ばせます [第15章]

 2008-02-01 初級クラス 通算629/630鞍目
■部署が変わって体重が激増したのが悩みの種なのだが、それ以外にも多々不便になった。
「また明日があるさ」と鷹揚でいられなくなったので、馬場の凍結とか冷たい雨の予報に心底ガックリくる。
「この日を逃すとあと1週間は乗れない」となると予約を取るのもエゴむき出し。
早い者勝ちとばかりに次の週の枠にも手を伸ばす。
「なんだか節操がないなあ、他にも限られた日しか乗れない人がいるというのに…」と一日の終わりに反省しきり。
そんな切羽詰まった気持ちを慮ってか、先月は愛馬【山桜】を配馬してもらうことが多かった。
ありがたいことである。
■「3月の終わりに県の競技会があるんですよ」
4%先生がレッスンに来ている人皆に声をかけていた。
あの競技会デビューから、はや1年になろうとしているのだ。
「もちぇさんは、どうします?」とご下問があった。
1年の成長度合いを客観的に判定してもらういい機会かもしれない。
〈歩度伸びず、前進気勢の不足、騎乗者の姿勢不良、駈歩がビハインド〉など、前回の課題は山積み。
しかし、7週間あるといってもクラブに来られる日数は限られている。
練習が間に合うんだろうか?
ちゃんと仕事の休みが取れるのだろうか? 
今年は馬インフルの影響でエントリー数が多く、各競技会で出場制限がかかっているらしい。
など不安材料には事欠かない。

■ひと鞍目は【アウグスティヌス】
4%先生のご指導で【霧丸】【青雲】との合同クラス。
■【アウグス】は珍しく部班の先頭を仰せつかるが、これまた滅多にないくらい重い。
準備運動の最初からネックストレッチをつけられたせいなのか。
息が切れて、涙がこぼれてくる。
あのズンワズンワ進む【アウグス】はどこに行った?
「拍車に頼らないで」
「踵ではなく踝を当てるようにしましょう」
「ふくらはぎで圧迫して下さいね」といつになく強調する先生。
「もちぇさんは膝が上がってくるから、ニーパットより膝が前に出ないようしましょうね」
動かない馬に苦労している時は、いつもこう注意される。
■巻き乗りなど他の馬の姿が近くにくると、いきなり後退し始める【アウグス】
「手綱を譲って!」「前持たない!」と強い調子で指示を出す4%先生。
「ドンと蹴って叱って下さい」「馬を前に出して」の声を待たずに
「そんなことしちゃダメ!」と強く蹴っている私。
「納得いかん!」と跳ねようとする【アウグス】に先生と私のMax怒声「お"ら」がステレオサウンドで響く。
以前のように「この馬怖い、いやだ」という感覚がなくなって、
「ご納得いただけるまでいくらでもおつきあいしますよ」という心のゆとりは十分にある。
結局は、力まかせに叱りつけることより、反抗に動じない太っ腹かげんが馬には通じるのだと思う。
■一件落着したあとは、だんだんとスムースになってくる。
「もちぇさん、あともうひとつ分手綱短くしてね」と注文がつく。
動かない馬に乗っている時には、何をしたって手綱は短くできませんから。と苦笑い。
■【アグネス】の駈歩は、だんだんとその中身が感じ取れるようになってきた。
倒れ込んでくる右手前の駈歩。
「右側で支えて」という先生の声が、右脚で馬体を支える実感として感じられる。
網焼きの魚を菜箸で裏返すように「よいしょっ」と立て起こすようにして、その後の馬体を左脚と左手綱で受け止める感じ。
真直ぐになるとすううと前に出る駈歩になる。
私自身は気持ちよく長蹄跡を駈け抜けていくのだが、
「そこで速くさせないで」と前に伸びるのを警戒する4%先生。
■駈歩の後の速歩は、いつもの柔らかい極上の乗り味。
手綱もマーク2と3の間を普通に持てる。
レッスン後の講評で「馬が後半よく丸まってきましたね」と言われる。

■ふた鞍目は【山桜】
今度は中級クラスの方が【アウグス】に乗る。
■馬装準備をしているところに、折り返し手綱をもって4%先生がやってくる。
「今日は折り返しつけましょう」
え〜?【山桜】に折り返しですか? 素直ないい子に折り返しつける必要があるんかいな?
競技会の準備でもないのに、手綱の本数が増えて面倒だな〜 と内心の声。
馬の首にくるんと巻いて「やり方覚えてますか」と言われると、
「急いで過去の記憶にアクセスします!」と俄然やる気になる私。
ええと、腹帯に手綱の端の輪を通して、ハミ環の内側から外側に通して、よじれないように、手綱をくぐらないように、ええと…
馬装完了前に先生が再び現れて、点検。
「はい、これでいいです」
必ずフォローが入るから、4%先生の指導には信頼を寄せられる。
■久しぶりの折り返しに拳の中身が煩雑で、感覚が混乱する。
せっかく手綱のピッチマークを数えて長さを調整したり、張力の微妙な違いを味わっているのに、ごわっと固い折り返しの感触が邪魔をしてくる。
手綱4本をさばいて、それぞれの感触、握り、長さを調整するのにかなり時間がかかる。
伏せ拳にした時に外側(小指/薬指間)が手綱、内側(薬指/中指間)が折り返しだったはず…
普段なら元気のいい常歩をしながら、脚への反応とか馬体の柔らかさとかいろいろやりとりをしているのに、今日はうわずって座っているだけで、神経のほとんどが拳に集中。
【山桜】だからよかったのかも。
【アウグス】だったら、騎乗者がお留守になる隙をついて真直ぐに歩いてくれなかっただろう。
■本格的に動く前に「折り返しの調整の仕方のおさらいをしておきましょう」と4%先生のプチ実演。
「折り返しだけを緩める時は、親指側から出ている分を握りの中に戻すように、反対の手で押し込むようにして下さい」
「折り返しと手綱を両方短くする時は、まとめて取りに行ってそれから調整」
「手綱だけを緩める時は、小指と薬指とで送り出すようにできますか」
止まっている時にやると難しいのだが、実際に動いている時は手綱の反対を馬が引っ張っていてくれるので、楽にできる。
原理は、折り返しの長さは人間しか調整できないが、手綱は馬と人が両端につながっているのでそれぞれの意図で調整できるのだ。
だから、最初同じ長さで持っていても、知らずに手綱が伸びてくれば相対的に折り返しがきつくなるって寸法。
いい子の【山桜】に乗る時は、折り返しが緩くなっている(腹帯とハミ環の間が少し弛む)かを常に気にしておく。
最初はあれこれ気にしながら乗っていたが、だんだん馴染んでくる。
駈歩での輪乗りや斜めに手前を換えなどとやっているうちに4本の手綱を持っているなんてすっかり忘れてしまう。
■「じゃあ、今日は歩度の詰め伸ばしをやりましょう」
「歩度を伸ばすというのは、詰めることができればその規制を外すことで歩度が伸びます」
「十分に推進をして馬のエンジンの回転数を上げて、でも前に行かないでと手綱でせき止めていると、馬は上に上がるしかなくなります、それが歩度が詰まった状態なんです」
「蹄跡では歩度をつめて、斜めに手前を換えで歩度を伸ばしましょう」
「速歩の推進は、バンバン強く脚を当てるよりも、ふくらはぎのあたる時間を心持ち長くするのだと考えましょう」
えぇ? これまで速歩のリズムのあわせて両脚でトントントントンと馬のお腹を叩けと言っていたはず。
叩くではなく、押し付けるにランクアップですか。
確かに、叩くためには脚の振り幅が必要で、左右に脚を振り上げる余分な力と時間がかかっていた。
馬体にふくらはぎをあてる時間を長くするほうが、余分な力がいらないしタイムラグもない。
しっかり動く【山桜】の速歩に乗っていると、膝下の内側から内踝にかけて馬体の温かさを感じとれる。
ふくらはぎでのホールドができていると、自然と膝は開いて、踝から下の踵回りは馬から離れて宙に置いておく感じになる。
膝が緩んでふくらはぎが生きてくる感触だ。
斜めに手前を換える前の短蹄跡では、かなり脚を強く使う。
その分「おりゃあ」と気合いを込めて手綱を握る。
手前を換えて馬体が真直ぐになったら「まず、トンと脚を使いましょう」
「それから前の緩めて」
経路を知っている【山桜】だから、ダンダンダンダンと大きな速歩がでる。
ありゃ〜、跳ねちゃって座れなくなる。途中でずり落ちそうになる。
スプリングと同じでグンと縮めておくと、跳び出すように歩度が伸びるのだ。
楽しいなあ、変幻自在ではないか。
■折り返し手綱をつかっているためか、いつになく乗り心地がよく、しかも歩度を縮めることもできた。
レッスン終了後に「速歩の途中などに折り返し調整するよう注文を出しましたけれど、大体できますよね」「大丈夫そうですね」と4%先生。
今日は、折り返しの使い方を覚えていたかどうかの抜き打ちテストの日だったのだろうか。
馬が良ければ何をつけても大丈夫ということなのだ。
後からスタッフに「もちぇさんは【山桜】に乗っている時は、幸せそうですね」と言われる。
そう、この世の幸せを味わせてもらっている。
駈歩恐怖にひきつって騎乗していた時期もあるのだから、ウソみたいな話だ。




631鞍目 [第15章]

 2008-02-02(Sat) 初級クラス 通算631鞍目
■【チャンドラ・グプタ】
ごんちゃん先生。
【山桜】【霧丸】の3騎部班。
■右手前の駈歩。
まずは内側の手綱で規制してから、発進扶助。
上手く右手前が出る。
きもちのいい速歩。
「絶対踵をあてないで」と注意する先生。


632/633鞍目 馬の鬣に降る雪 [第15章]

 2008-02-06(Wed) 初級クラス 通算632/633鞍目
■雪が降る。
灰色の世界にみぞれまじりの雪が落ちてくる。
馬場はぐちゃぐちゃ。
氷水に浸されたような世界。
なのに、
「乗れなくても馬にニンジンをやるだけでいいからと思って」とクラブに来る方。
この方とは直前のランチをキャンセルしていたのだ。
「今日は雪で道路が心配だから止めときましょう」とのメールだったのに。
クラブで顔を合わせて苦笑い。
やっぱり会食は諦めても、馬には会いに来るんですね…
■重症の馬中毒患者2人でレッスンを受ける。
私は【山桜】に乗り、相方は【青雲】
鹿毛馬のたてがみに雪が舞い降りる。
ざっくりとした毛束に白く半透明な氷の寄せ集め。
しばし留まり、やがて見えなくなる。
冷気だけが降り積もって行く。
■4%先生の御指導を賜る。
「推進は十分なので、速くしない。」
「後肢からの力を前でしっかり持ってください。」
「それがハミ受けにつながりますから。」
■【山桜】の駆歩はすぽーんと上にあがる走り方なので、馬場がドロドロでも安定感がある。
「競技会では、速歩は速く、駈歩はゆっくりと言います。」と聞かされると、
こんなすぽーんとした駆歩でもいいんだなと安心する。

■ふた鞍目は【アウグスティヌス】【ベルベットシート】との合同レッスン。
牡馬と牝馬。
かなり気が散るらしい【アウグス】
まあ、それもあり。
広い馬場の左右に分かれて、それぞれ練習。
■今日の課題は、すんなりと出ない右手前駆歩発進。
「馬が駈歩をだそうとする気持ちになるよう。」
「馬の見ている先、出そうと力をためている雰囲気にのせて」とアドバイスをもらう。
馬の見ている先に神経を使って、扶助を出す。
ビギナークラスの頃の「もっと強く蹴って、もっと!」と言われていた扶助の出し方とは正反対。
「今度はこっちだよ、こっち、わかる、そう!」とくすぐるようなわずかな合図ですっと駆歩が出る。
「スイッチがあって馬が動いているわけではないのですから」という4%先生の言葉がストンと胸に落ちる。

■こういう馬とのコミュニケーションの仕方は、マニュアルには書きようがない。
かつて乗馬の入門書には、「こうします」という理想型は書かれていても「どのように身につけるか」というプロセスはなく、ただ騎乗数を多くするべしとしか書いていないことに不満をもっていた。

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そして、 [終章]

とてもショックなことを耳にしました。
自分のよりどころとしてたものを奪われてしまう心細さ、悲しさ。

いつもと同じ日々が続いていくと信じていたのに…

落ち着くまでお休みいたします。


634鞍目 馬場全面凍結 [終章]

 2008-02-09(Sat) 初級クラス 通算634鞍目
■私の職場は建物の奥深く。
空がどんな色で風がどんな匂いかなんて全くわからない。
常に半袖でいられるくらい空調が効いているが、閉ざされた緊張感に晒されている。
外は陽光に恵まれた素晴らしい季節でも、何の関係もないのだ。
どうして仕事のない日に限って、雪が降ったり極寒になるんだ!
今朝、最低気温が−4.7℃で馬場が全面凍結。
昼前になってようやく馬場が柔らかくなるが、日差しはなく身体の芯まで凍りつく寒さ。
■午前中のレッスンをまとめたので、6騎部班の合同レッスン。
私は【アレフ・ゼロ】
【青雲】【アウグスティヌス】【チャンドラ・グプタ】【毒うま】【時鮭】をごんちゃん先生が見て下さる。
■【アレフ】は寒い時期は元気になるのだが、左側の肩から脇腹にかけて、触ろうとすると嫌そうなそぶりを見せる。
昨日、ぬかるみに肢を滑らせて転んだと聞いたので、心配である。
とにかく、無理はしないことにする。
■右手前の駈歩では、グワッと跳び出すことが2回ほどある。
どこか嫌な所に触ったかな?と思わせるような跳び出し方。
今日も肢を滑らせてはいけないので、それ以上の駈歩は止めてしまう。
■灰色の冷気が澱むようなひと鞍になってしまった。

■今後の展望が無惨にも断ち切られるような、ショッキングな話を伝えられた。
これから、どうなるんだろう。
別れの時は必ずやってくるとわかっていたけれど、その空虚さに押しつぶされそうになる。
自分の半身をもぎ取られてしまうような感じ。
その時は、すぐそこまで迫っている。
限りある時間の重み。
今この瞬間を100%生きる以外にないのだ。


635/636鞍目 前肢旋回やってみる [終章]

 2008-02-10(Sun) 初級クラス 通算635/636鞍目
■この冬は、レッスン後の手入れを済ませると、はや夕飼いの時間になっていたり、寒くて運動後の身体を冷やしてしまいそうで、私の好きな〈馬洗い〉や〈馬との散歩〉はしないでいた。
しかし「いずれ時期が良くなれば」と悠長に構えていられないことに気がついた。
もう山桜の花びらがひらひら舞うなかで馬に乗ることはない。
茂れるタンポポをはむ馬の口元を眺めることもない。
夏の夕暮れの雲をアリーナから仰ぎ見ることもない。
そのことに思い至ると心がちぎれそうになる。
もう馬との季節はめぐってこない。

■昨晩のみぞれが馬場に大きな池を作って、薄氷が張っている。
足元が悪いのは相変わらずだが、今朝は氷点下にならず太陽も顔を出してくれた。
本日のひと鞍目は【山桜】にお相手を願う。
ごんちゃん先生に見てもらって【時鮭】との2騎部班。
■池を避けて、馬場の中央部分のみを使ったレッスン。
駈歩も少なめで常歩、速歩が中心となる。
「外側の手に馬の重さを感じて」
「馬の重みを腕や肩で支えるのではなく、腰で受け止めて」とごんちゃん先生は内方姿勢をそうやって表現する。
〈何かをしなさい〉という指示は影を潜めて、あるべき状態になった時に感じ取れるであろう感覚を提示してくれる。
先生に言われた状態に近づこうとこれまでの経験を総動員する。
外側に依拠するには、内方後肢がしっかり踏み込まれていなくてはならず、そのためには内方脚での扶助が馬に伝わっていることが大切。さらに、馬の前進気勢を削がないよう人のリズムやバランスを馬にあわせていく。内方脚で押していく分が膨らまないよう外側の手綱と脚でしっかり壁をつくって力を留める。
手綱に力は感じるけれど、なかなか一定にはならない。
出たり入ったり、両方均等になったり外側が重くなったり。
「こっち、こっち」と内方拳を握ったり譲ったりしてみるのだが、結局は前進気勢が足りないのだと結論づける。
ちゃんと遅れず真面目に動いてくれる【山桜】なのだ。
それでも、もうひとつ上の軌道に励起した状態を求めなければならない。
わかっているのだが…
■そうこうするうちに「今日は前肢旋回をやってみましょう」と新しい課題に移る。
「前肢を中心として回るのが前肢旋回です」
「馬の腰が大きく移動して、前肢はその場足踏みをする状態になります」
「今は蹄跡で停止した状態から始めるので、右への旋回は左前肢が中心となってほとんど動きません」
「そうなるためには、左手綱で前を留めて馬の左肢は前に出さないように」
「左脚をわずかに後ろに引いて馬の腰を左から右へ動かしていくようにしてみましょう」と手順を説明される。
「この旋回も、持ちと推しのバランスです」
「脚が効いてないと馬はどちらに動いていいのかわからないし、前を止めなければ進んでしまうし、手綱で引っぱり回そうとしても馬は動けないですよ」
■まずは停止の状態から、やってみる。
前には進まないで横に動いてと左脚を後ろに引いて押してみる。
左の拳は持ったままなので、【山桜】は「えっ前進じゃないの?」と混乱している様子。
リラックスした停止からなので、馬を起動させるのにえらくエネルギーをくう。
「えっ?なに?」と何秒か戸惑っていたようだが、「ははんっ」と後肢だけを動かしてくるりと方向を変えてくれる。
逆の手前では、右の手綱を止めて右脚を後ろに引いて馬の腰を左側に押していく要領になる。
この左への旋回では、極小の巻き乗りをしているように前肢も動いてしまう。
「もちぇさんの場合、左旋回が膨らんでしまうということは右脚で押し切れていないということですね」
「もちろん馬の肢の具合が悪い場合も、苦手な肢の動きが悪くて綺麗に回れないことになります」
「常歩速歩での斜め横足と同じように左右の差がはっきりわかる扶助なんですよ」
自分でもしみじみ思うのだが、右に乗って左に落ちて右内側に傾いている姿勢がこんなところで悪さをしているのだ。
右手前の回転運動では、馬の左耳の向こうに前を見るようにすると傾きが多少改善されるはず。
かつてのグリコ先生の教えを今になって思い出す。
■【山桜】の騎乗を通して、いろいろなことにトライアルさせてもらっているのがとてもうれしい。
今やっていることが中級へのステップになればいいなと考えながら、ふとその先がないという空虚さに呑込まれていく。
このおそろしい虚しさをいったいどうやって振り払えばいいのだろう。

■ふた鞍目は【チャンドラ・グプタ】と。
中級との合同レッスンで【青雲】【山桜】と一緒に4%先生の指導を受ける。
■メインアリーナを使うので、森の小径を抜けていく。
「ああ【グプタ】、わずかな距離だけど森の中を歩くって気持ちいいねえ」
■アリーナは田植えを待つ水田状態。
駈歩はせず、常歩速歩だけ。
【グプタ】はいつもなら駈歩までが準備運動で、それから本運動というパターンなので、今日はなかなかに骨が折れる。
「手綱はもっと短く」と注意されながら必至で手綱をもっているから、苦しい【グプタ】はぐぐっぐぐっと歯ぎしりをしっぱなし。
ごめんよー、もっとしっかり動かしてあげられれば楽になるだろうに。
「もちぇさん重くなってきたら鞭も使って合図出しましょう」
乗っているこちらもゼーハーと息が上がってくる。
■軽速歩の歩度の詰め伸ばしは、歩度を詰めた状態でしっかり脚を使うことを厳命される。
「歩度を詰めることができれば、伸ばすことは簡単なんですから」
「歩度が伸びた状態では上下動が大きくなりますよ」といわれるのだが、【グプタ】の速歩は反撞が小さいので転げ落ちるような反撞にはならない。
それでもなんとなく馬の一歩が大きくなってきたかな…
■最後は中央線での左右の巻き乗り。
馬の姿勢の入れ替え。
「内方姿勢を取らせる時は、まず外側を制限してからですよ」
「内側むけたら譲って、引っ張ったままにしないで」
といつもの注意。
そうそう、内側向かないとついつい手綱で引き込んでしまう悪い癖がでる。
一方的に要求しているだけで馬の反応をくみ取っていない。
意識して外側で規制すると、だんだん楽になってくる。
まず扶助の予告をして、少しでも馬がそれにしたがえばリリースするよう努力してみる。
むりやり馬を引っ張り回していた感じがなくなる。
そうなのだ、馬が「次は何?」と聞いてくれる状態を作ることが最も重要。
「馬が脚に反応する状態にもっていくことが大事です」と4%先生のおっしゃる通り。
馬にやって欲しいことを大声で伝えるのでなくて、やって欲しいことを囁いても通じるだけの静けさと集中を作るのが扶助の大半なんだろうなあ。
そのためのコンタクトであり、バランスであり、推進なのだ。
【グプタ】とは、まだまだ雑踏の中で「通じないなあ、わかんないなあ」と首をひねりながら会話しようとしている段階。
それでもレッスン最初に較べれば、ずいぶん通じる部分も出てきた。

■今日は、日差しのぬくもりに恵まれた。
【グプタ】の手入れを済ませても、まだ日は高い。
久しぶりに馬とプチ散歩にでる。
冬枯れの芝地だが、よく見ると小さなロゼッタになってタンポポが葉っぱを伸ばしている。
【グプタ】が無心に枯れ草をかき分けて小さな青草をはんでいる。
背中に太陽が温かい。
馬房や冷たい泥の馬場だけでなく、草や土や太陽も味わってほしい。
そんな姿を眺めていると心の底から安らぐ。
しあわせはここにある。
昨日のことも、明日のことも知らない。
今に生きよう。


637鞍目 早春の日差し [終章]

 2008-02-11(Mon)建国記念日 初級クラス 通算637鞍目
■今年も玄関先に水仙とクロッカスの芽が出てきた。
クラブに通う道沿いの紅梅も蕾がふくらんできている。
季節はめぐりゆく。
時間は、すべてを押し流していく。
「今ここにあるままに」と願うことは虚しい。
■寒々とした日が続いたが、陽光に力が戻ってきた。
春の光だ、埒の上や木々の梢の先にあふれんばかり。
朝一番のクラス。
【山桜】と4%先生とのひとりレッスン、アリーナで。
先生にはどう声をかけていいのかわからない。
何かを言えば、それをとりつくろおうとして意味のない会話になりそうだし…
「どうなるんでしょうか?」と尋ねても、先生ご自身の衝撃を思うと答えを期待する方が間違っている。
ただ、早春の日差しを受け止めて馬に乗るだけだ。
■「最初は、前を楽にしてどんどん出していきましょう」
普段の〈元気よく〉という基準をはるかに越えてどんどん動かす。
充分に速いと思っていても、4%先生の近くを通ると舌鼓が聞こえてくる。
「遅くなるようだったら鞭も使って」
「隅角が馬の目に入るとスピードを緩めてしまうから、その前に推進、隅角の先を馬に見せてあげて」
これって、【アウグス】や【霧丸】の手綱ぶらぶらガンガン前に出す運動と同じではないか。
とはいえ、足元はぬかるむところもあるので手綱はマーク4を維持する。
本能的に短くしたくなるのだが「手綱は楽にしておいて」の声に、なんとも落ち着かない。
鞭を持ち替えようと大きく動かすと駈歩が出る【山桜】
「駈歩が出ることは間違ってませんよ」
「ちょっとのことで移行するのは、それだけ推進が効いているのだから」と解説してもらう。
〈バイタルウォーク〉も速歩になる直前の常歩を続けることだから、推進の効いた歩様というのは、ちょっとしたことで上方移行してしまうような励起したエネルギー状態をいうのかもしれない。
ゆっくり大きな歩幅で動かすなどという理想はそっちのけで、ガンガン動かす。
軽いジョギングで準備運動ではなく、ダッシュ3本で準備運動という感じ。
■ようやく「じゃあネックストレッチをつけますね」と本運動に入る。
「今度は手綱の長さも気にして」
「馬の首の位置をもう少し起こしましょうか」
「内方姿勢を取らせるのに巻き乗りしましょう」
「馬が内側向いたら、内方拳はゆずってあげましょう、引っ張り続けてはダメですよ」
「まず外側を規制してから、それから内方ですよ」
そうそう、外側の手綱に依拠していけるように。それがすべて。
ううむ【山桜】の首が潜った感じになる。
そんな窮屈なところに引きこもらないで、ちょっと顔を起こしてごらん。とちょんと脚。
外に乗った分を内側の拳を開いて楽にする。
でも、開きっぱなしのゆるゆるの拳も格好悪いよなあ。
フワッと握っていながら微妙に調整している姿にあこがれる。
「今薬指にかかっている3番目のマークが、親指のところで持てるように」
「手綱は人差し指と親指ではさむように保持して」
「薬指小指の握りは(微調整用)」
「脇に紙をはさんでいるように、肘は脇につけておいて」
ちょっと前までは手綱の長さそのものが気になっていたが、今では手綱の握り加減のほうに意識がいく。
小指薬指が開きっぱなしの拳は格好悪い。
肘関節が伸びきってしまった構えも情けない。
肘を畳んで鞍の前に揃えた拳の、わずかな握りの強弱で馬を話をしたいものだ。
■速歩での3湾曲。
「中央線と交わる所は馬体を真直ぐにね」
斜めに手前を換え。
「歩度を伸ばさなくていいから」
「次の長蹄跡は歩度を伸ばすから、その前に詰めましょう」
「脚使って〜、前をもって」
かなり腹筋背筋に力を込めて隅角を曲がる。
「馬体が真直ぐになった所で、脚をつかって前を許して〜」
うおっ、タンタンタンタンと跳ね上がる私。
「常歩、斜めに手前を換えたら斜線は歩度を伸ばす」
「常歩の歩度を伸ばす時は、まずギュウと長く脚ではさんで馬が前に出始めたら、それからとん、とんと左右の脚を交互に使うようにしましょう」
「馬が前に出たがったら、それにあわせて手綱を伸ばしてやっていいですよ」
「馬より前に手綱を伸ばしてしまったら、コンタクトはずれちゃいますからね」
いつの間にか、2課目の運動項目になっている。
「輪乗り駈歩は、輪乗りのラインに一歩のせてから発進ですよ」
「あそこに行くよと輪の接点となる次のポイントを馬に見せて上げてください」
見てから発進の扶助を出すとワンテンポ遅れる。
「今のは馬の準備が間に合わなかったから、方向はそれでいいですよ」
「馬の気持ちの準備をね、じゃあもう一度」
あらあ、今度は蹄跡を1、2歩走ってしまう。
「うーん、今のはダメ」
駈歩とその照準合わせが同時にできないと。
とは言っても、つまり外方で規制して内方向けて、内方譲ったところでポンと合図だから、スムースな駈歩発進扶助を大きめな動きでやっているに過ぎないのだ。
駈歩では、輪乗りが歪む。
「馬が厩舎側に行きたがるのでそっちの蹄跡は大丈夫だけれど、反対側の蹄跡に一歩踏み込んだ接点を作れるよう、半周前から準備して」
外方の手綱を開いて内側から押していく。
今度はちゃんと膨らんだ輪になった。
「輪乗りをといて、長蹄跡は歩度を伸ばしましょう」
「長蹄跡向いたら、最初の1歩2歩を推進して、隅角は入る前に、はい、背を起こして詰めて」
そうそう、以前は斜めに手前を換えるために勢いにのせて回っていた隅角短蹄跡だが、今では逆にグウと詰めて乗るようになった。
その方が断然操作性が良い。
内側の手綱で引っぱり込まないように、あえて内方譲るようにした方が、外方手綱の効きが良くて隅角を回り込んで手前を換えることができる。
スピードに乗った回転だから、言われる前から先のコーナーを見てライン取りをしていく。
今じゃ、こうしないと怖くて回転できませんがな。
■右手前の駈歩では、最近の馬たち誰もが内側に切れ込んでくる。
ごんちゃん先生にも4%先生にも「右の内方脚を前で使って!」と注意される。
今日は右脚の矯正がレッスン後半の課題。
「自分の脚を眺めてみてください」
「膝の下に鐙を踏んでいるブーツの先が見えるでしょ」
「そこから見てブーツが見えなくなったら、正しい位置じゃないってことです」
「ただ駈歩に乗っている状態でいいから、駆歩しながら前に出したり引いたりして、脚位置を自分で確認してみて」
おお、蹄跡何周するのだろうという思うほどの駈歩。
駆歩しながら、自分の脚を眺める。
普通に乗っていると確かにブーツの先は膝に隠れてしまう。
かなり極端に前に踏み込むようにするとブーツが見えてくる。
内側に入り込んでいた【山桜】が外に押し出されていく。
でもね〜、駈歩の乗り心地は右手前の方が楽で安定しているのだ。
脚の位置のみならず、座骨の位置とか座り方のバランスそのものから来ているんだろうなあ。
安定して乗れる駈歩が本来の姿勢からズレているとしたら、もっと根本的な解決をしていかないとなあ…
■4%先生と【山桜】との濃密な2課目レッスンとなった。
以前は、とにかく勝手に下方移行されないように頑張って動かすのがほとんどだったのに、一年経つと外方手綱を中心に馬を回したり、伸ばすためにしっかりと詰めることを考えられるようになった。
勢いだけでなく重みがました走りになってきのではと思う。
■幸せがあのまま続いていたら、県の競技会に出て成果を問うなんてこともできたのに…
さびしいなあ… むなしいなあ…
でもいいこと思い付いた!
クラブの最後の日は、プライベートな発表会にしよう。
ここまでできるようになったんだって、お披露目できるようにがんばろう。
そうしよう!

■ふた鞍目は【アレフ・ゼロ】
休日なので昼食を作りにいったん自宅にもどって、それから再度午後のレッスンに出る。
すっかり気分転換してきた私は、同じ日に騎乗していたとは思えない。
そうか! 
レッスンを連続させず途中で着替えてリフレッシュしてから再度乗ると、騎乗できる日が限られていても日数が多くなったような錯覚が起きるのだ。
バカらしいことでも利用できるなら何でもやってみよう。
■このレッスンは【時鮭】【毒うま】【山桜】【チャンドラ・グプタ】【ベルベット・シート】と駈歩クラスとの6騎合同レッスン。
4%先生が見て下さるが、慣れないアリーナを使ったレッスンは駈歩クラスの人にはちょっと荷が重いのかもしれない。
せっかくの森の小径も騎乗せずに引き馬で移動。
■【アレフ】は重い。
しかし、無理矢理強い扶助をだしても動かないことはわかっているので、馬の気持ちに沿って少しずつ作戦にでる。
広い所をひとりで歩かせるとのったりのったりした歩調だが、他の馬の姿が見えると足取りが軽くなる。
元気のいい馬の後ろを歩かせることにする。
幸運なことに、先頭は慣れない駈歩クラスの方@【グプタ】なのでスピードが出ていない。
この速さなら、【アレフ】にどうせ追いつかないという気持ちにさせずになんとかついていける。
距離が空いたら、内側に入り込まれる前に自分が決めたラインで蹄跡を途中で曲がってショートカットする。
ぐいぐいガツガツと強い扶助を出して騎乗者のバランスを崩すことなく、一定のリズムで動かしている。
だんだん【アレフ】の気持ちが乗ってきた様子。
のったり速歩は座るだけで死にそうになるのだが、動いてくると速歩でも気持ちのいいスプリング効いてくる。
輪乗り蹄跡行進と難しい運動はしないので、リズムよく動かすことだけに集中できる。
そんな中で手綱を手繰っていくと、ハーフピッチでも5番目くらいまで取れる。
■駈歩は2つずつ。
残りの4頭は小さなスペースで輪乗り。
つい、準備馬場で手前を換えてしまうと後続の馬たちが右往左往している。
そうだった、馬を号令ではなく自分で操作するというのはまだやっていないクラスだったのだ。
眺めていると面白い。
教官から「〜して」という指示があるとその通りできるが、馬がどう反応しているかまでには気持ちが回らない。
そうそう、自分もそうだった。
「教官が言われた通りやっても馬が動かない、思い通り動かない馬は嫌いだ」の時代なのだ。
動いている馬に乗って自分のバランスを鍛えればいい。
馬に乗せてもらっている時期なのだから、それで充分。
落ち込むことはないんだから…なんて、偉そうなことを考えてしまう。
でもね、その先の練習する機会は、ないのだ。
と、またどんよりの渦に巻き込まれていく。
■「もちぇさんは【アレフ】に苦労しなくなりましたね」と洗い場に戻ってきてから、4%先生が声をかけてくださる。
いやいや、今日はたまたま周囲の状況に救われただけ。
ドロドロの馬場で駈歩輪乗りで人馬転をしたという話を聞いていたから、内心ヒヤヒヤしていたのだ。
馬に乗るバランスは常に鍛えておかないと、馬場の状態が悪いというだけでキャンセルしなければならなくならなくなるのだ。
限られた騎乗機会を最大限活かすために、何でもしてしまいそう。



告知される [終章]

■先週の金曜日にかかってきた電話で伝えられた。
「クラブが終わりになるのよ」
社長が交代した時期から、時折囁かれていた話ではあった。
それでも、淡々と過ぎていく日々に危機感は薄らいでいた。
いとおしい馬たちと信頼する先生のもとで馬に乗り続けるのが当然として、日常の予定を立て暮らしをやりくりしてきた。
いやそれ以上に、馬に乗っている自分に確固たるアイデンティティを築いていた。
仕事が上手くいかなくても、家庭で問題が生じても、馬の背にいる間は忘れられた。

■先生方はどうなるんだろう?
職を失うということか、なんと…
馬たちはどうなるんだろう?
知らない場所で別の名前で、かわいがってもらえるんだろうか。
いや命の保証さえ定かではない。
あの季節を映した美しい風景はどうなるんだろう?
こっそりクローバーの種を播いたあの一画は、馬の散歩に使われることもないのか。

■厩舎の窓から顔を出していつも迎えてくれる【ムーン】
おはようと声をかけると「ぶぶぶぶ」と挨拶を返してくれる【アウグスティヌス】
… …
どの馬もいとおしい。
寒い日はぴったり寄り添うとじんわり温かい。
鞍をのせる前に、背骨に沿ってやさしくなでる、何度も。
「よろしくね、この背中に支えてもらうよ」
馬の雰囲気がすうと落ち着く。
それからゼッケンをのせる。
時に、なでてもぴりぴりしたままの時もある、背中の調子が悪いのかも。
パットをあてたり、速歩の号令でもこっそり軽速歩したり、背中をそらないよう手綱を気をつけたり。
引き馬する時は、絶対に引手を引っ張ったままにしない。
馬が一緒に歩いてくれることを大切にしている。
馬の気持ちと並んで歩けたら、方向を変えるのも止まるのもわずかな視線や身体の向きで済む。

こんな馬たちとの時間が、失われてしまうと考えただけで、居ても立ってもいられなくなる。
限られた中で悔いなくと思う反面、その後の虚しさの予感に動けなくなる。
これからのことなんて考えられない。
「次はどのクラブ」なんて話題が出るとその場を離れたくなる。
今はまだ、馬に乗れるんだもの。
上の空で騎乗したら馬や先生に失礼だもの。
心穏やかに今この瞬間を大切にと思うけれど、難しい。
うまくいかなければあり得ないほど落胆するし、楽しければそれだけ虚しさが襲ってくる。
ああ、動揺しているんだ、私は


638/639鞍目 股関節周囲の筋肉 [終章]

 2008-02-15(Fri) 初級クラス 通算638/639鞍目
■日差しは明るく暖かい。
でも、風が冷たく身体が凍える。
寒くてつらいと感じることはほとんどなかったのに、ここに来てじわじわとやられている。
4日ぶりの騎乗。
密室で緊張感に押しつぶされながら仕事をしていると、馬に乗る感覚が戻ってこないときがある。
あまりに隔たっていて「私は誰?何をすればいいの?」状態になる。
今日はそんな違和感からスタート。
■ひと鞍目は【山桜】
アリーナで4%先生のご指導のもと【毒うま】君との初級中級合同クラス。
「今日も、折り返し使おうかな」のひと言で急遽4本手綱の世界。
久しぶりの騎乗でしかも折り返し手綱使用と、違和感のてんこ盛り。
ううむ、4本それぞれの感覚を分別して慣れるのに膨大な時間がかかる。
人間は年をとると新規のことに適応する能力が衰えてくるんだよねえ…
いつも通りの定型的な生活がストレスなく快適に思えるのに…
■いつまでたっても手元をゴニョゴニョしていている姿に
「折り返し手綱の使い方について教えましょうね」とアドバイスを下さる先生。
「折り返しは馬の頭を下げさせる効果がありあます」
「これは人が引っ張ればいくらでも短くできます」
「だから最初に折り返しを短くもって、ちょうどいい所まで馬の頭を下げさせます」
「そしてその分手綱が余ってくるので、手綱もたぐって下さい」
「馬の口から拳までの間の4本の手綱が弛んでいる状態はよくありません」
「折り返しが腹帯と馬の口の間でゆるんでいるのは、いいんですが」
ふうむ、まずは馬の頭の位置ありきなんだなあ。
どの位置がベストポジションなのか、さっぱり見当がつかないのが現状。
とりあえずピッチマーク4番から入って3番目が持てる手綱の長さを基準にして、折り返しはそれにあわせることにしよう。
■握る4本の綱の感触がこなれてくるまでしばしの時間がかかる。
見ている人から「折り返し初めてだったっけ?」と聞かれるほどの有様。
だんだん慣れていくしかないのだ。
■いつも真面目で思い通り動いてくれるはずの【山桜】だが、
駈歩で短蹄跡を回ろうとすると中央線に入るかのように小さな回転をしてしまう。
どうして、こんなに急に曲がろうとするの?
なんどやっても急なカーブを切ろうとする。
何が悪いんだろう? いつも右手前で内側に切れ込まれてしまうし…
私のバランスが決定的に崩れてきているのか?
今になって【山桜】が上手く動かせなくなるなんて。と深刻に落ち込み始めた。
だが、後で気がついた。
3課目の練習をしているのだ、彼は。
だから駈歩で蹄跡を回ってきて最後に中央線に入ろうとがんばっているのだ。
わずかな扶助に全力で応えようとする彼。
なんとなく合図を出せば自動的に2課目の運動をしてくれるはずと彼の愛の上に胡座をかいていたツケがここにまわってきているのだろうな。
ごめんね【山桜】

■ふた鞍目は【ベルベット・シート】
ごんちゃん先生のひとりレッスン。
水勒だけのシンプルさにほっと一息つく。
駈歩せずに常歩と速歩だけ。
どうしても左手前の回転が外に膨らんでしまう。
■「外をしっかり抑えて、内側に乗る」
「もちぇさんの場合は左の鐙に乗り切れていない」
「腿の付け根のところをしっかり伸ばして、自分の体重をしっかり落とす」
「人の身体が左右にずれたりしちゃダメなんですよ」
「人の腰は真直ぐまん中に乗っていて、ズレたり倒れたりしないんですよ」
どうしても馬も向きを直したくて、人の脚や胴体、腕がぐにゃぐにゃと動いてしまう。
このふらふらした隙を馬がついてくる。
押し手綱は、手先での規制ではなくて、腰の脇の肘を置いて、腰からぐっと抑える。
そして脚は、膝から下で蹴ったり押したりするのではなくて、
腰からももの付け根にかけて真直ぐ固く使う。
これって、内股の筋肉や大腰筋などのインナーマッスルをかなり意識して使うことになる。
股関節回りの筋肉などがフル稼働。
くう〜、つりそうな気配。
しかしながら、腰から内股のあたりをみっちり使って、座骨を意識すると【ベル】はスムースに回転してくれるようになる。
ふう、速歩で続けていると息が上がってくる。
反撞の少ない【ベル】だが、内股を極限まで使って速歩を続けるのは、かなりの運動量。
おばさんは、もう限界です。


640/641鞍目 [終章]

 2008-02-16(Sat) 初級クラス 通算640/641鞍目
■ひと鞍目【ベルベット・シート】ごんちゃん先生のひとりレッスン。
昨日のレッスンを受けて、まっすぐよれないよう常歩からしっかり動かす。
ごんちゃん先生は運動の指示を出さずに自分で考えて運動する。
時に、こんな風にするといいのではというアドバイスをもらう。
内方姿勢をしっかりとって、内側の手綱を譲れるようになると駈歩発進が楽に出るはず。
が、速歩までは内方姿勢が綺麗に取れて、回転がスムースにできるのだがやはり駈歩になると難しい。
自分の技量がまだまだなので、どうしても力んでしまう。
そこを馬に悟られてしまう様子。
■ふた鞍目【アウグスティヌス】
競技会の準備馬場に匹敵する混雑。
駈歩では、前の馬のお尻にぴたりと付いて追走する【アウグス】
ちょっとこれはいやなのだ。
前の馬に何かあれば、どうなるかわからない。
ということで、列から離れてしまう。
最後に一頭残ったところで、駈歩を1周させてもらう。
ひとりで走る駈歩は問題ない。
右手前で内側に入るのを阻止できないのが残念。
内側に傾かず内方脚を前で使うように心がける。


【杏爺】 [アルバム]

【杏爺】こと【アプリコットジャム】です。
誕生日:1988-04-22 生産地:岩手県
父:クラウンピラード 母:グロリークーガー
軽くて扶助に素直で初心者から初級クラスまでのかなりの人が彼のお世話になりました。
かくいう私も初めての部内競技会ではペアを組んで練習しました。
「馬は前に出さなければ何もできない」という大切なことを教わりました。
立ち乗り駈歩を最初にやったのも彼とでした。

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2006年の5月頃から蹄の状態が悪く、長い療養生活を送っています。
最近、日当たりの良い眺めのいい部屋に引越ししました。
馬房から顔を出した所をパチり。

642/643鞍目 このままじゃ終われない [終章]

 2008-02-17(Sun) 初級クラス 通算642/643鞍目
■朝の1時間目は、馬場凍結で中止になるリスクが大きいので、いつでもアメダスの過去24時間の気温データとにらめっこ。
早朝の最低気温が−3℃になっていなければ「大丈夫かな」と支度を始める。
この週末は馬場も乾いてきていい具合。
バレンタインデーも過ぎて日差しは明るく、空気そのものが輝いているように見える。
■今日のお相手は【アウグスティヌス】
【山桜】と【青雲】【とら】との4騎で中級初級合同レッスンを4%先生が見て下さる。
【アウグス】は馬装をしていた時から、なんとなく私を見下す感じ。
隙をついて、あちこちにちょっかいを出そうとする。
暇つぶしで済めばいいのだが、前の馬のお尻に噛み付こうとしたりするのを見ると、馬同士の争いになるのではとハラハラする。
つい「こらっだめ!」と大声を出して、周りの人の視線を浴びる。
■レッスンが始まっても、立ち止まったり後退を始めたりと挙動不審。
【アウグス】なりにどんどん進みたいと思う所を、ゆっくりと進む馬の後ろにつく部班で、ブレーキをかけかけ進むものだから、「んもー」という気持ちになるらしい。
乗っている私を徹底的に無視する。
駈歩を出すと前後に跳ねるし、内側に急旋回して止まる。
つい「おわっ!」と叫んでしまう私。
「大丈夫ですか」と気遣ってくださる4%先生。
大丈夫だし、怖いとも感じないのだが、【アウグス】が私をなめてかかっているのがなんともツライ。
かつては「私が下手だから」と落ち込んでいたが、今では「アウグスに伝わらない、アウグスに聞く耳がない」と受け止めている。
■レッスンは、危険防止もあって速歩中心の大まかな運動のみになる。
【アウグス】をもっと楽にどんどん動かしてあげる中でやりとりしたら、こちらの声も届いたかな。
とにかく、前の馬の後ろをのっそりのっそり歩くだけの運動では、彼をイライラさせるだけだったようだ。
レッスン後、「ちょっと乗りますね」と4%先生の騎乗。
「ちょっとわがままが出ていたようですね」とのこと。
んー、わがままさせる原因はなんだったのだろう?
次のレッスンで騎乗する人に迷惑がかからなければいいのだが…
■スッキリしないままアリーナから【アウグス】を引き馬して帰る。と、
先生の矯正騎乗の効果か【アウグス】の歩き方が全然違う。
ぴたりと同調して、まるで馬に乗っている時と同じような人馬一体の感覚になる。
歩幅もリズムも完全に一致する。
自分の右側に大きな波があって、それに乗るようにすうーすうーと進む。
これまでの経験では進みたがらない馬を引っ張ったり、どんどん前に出る馬をとどめようとしたり、人の歩調と一致して進むのは難しくて微調整しながら歩くのが当たり前だった。
不思議な経験。
ただの引き馬なのに、こんな完璧な感覚を得られるなんて。

■ひと鞍目のレッスンでご一緒した方が、次に【アウグス】に乗る予定。
跳ねていた姿を見せてしまったから、ひと言「レッスン後先生が調整したから大丈夫ですよ」と伝えようとすると、なんとレッスンをキャンセルされていた。
理由はあえて聞かなかった。
「でも、そうなら私にもう一度乗せて欲しい」という気持ちがむくむくと頭をもたげてきた。
このまま終わりにできない。
■4%先生に頼んで【アウグス】に乗せてもらうことにした。
ふた鞍目も合同レッスン。
雲の上の方々と一緒になるが、ご迷惑をかけても上手にかわして下さるだろうから、かえって気分は楽。
【とら】【ムーン】【青雲】【ベルベット・シート】の5騎がアリーナそれぞれに散らばる。
■私は初級の【ベル】と2騎で部班を組む。
牝馬の【ベル】が後方につくので、今度は【アウグス】が気持ちよく先を走れるだろう。
とにかく、前方が詰まって渋滞しだらだらした動きになると、馬の気持ちが「しらー」となるので、軽快に走ることから始める。
「もちぇさん、馬が焦らないようにもっとゆったりとしたペースで」と注意が飛ぶ。
いったん気持ちよく走った後だから、リズムをゆったりするのは大丈夫。
無理矢理押さえつけるのではなく、馬と相談しながら「ゆっくりだよ、わかるよね」とペースを作れる。
さっきと大違い。
輪乗りも外側にしっかりと依拠して、滑るように輪線運動ができる。
駈歩で内側に切れ込んでくるのは、やっぱり同じような傾向がある。
もうこれは、私のバランスの悪さがそうさせているのが明白。
これは自分の課題として何とかしなくては…
■「輪乗り半周速歩、4分の1周常歩、そしてまた速歩に移行」
「内方姿勢を取らせるために外方の脚を後ろに引いた扶助をしているところで、内方も後ろに引いて脚位置を揃えて下方移行の準備をしましょう」
「脚を使ってから、前を止めましょう」
「脚を後ろに揃えてから1、2、3、4のカウントで止めるつもりで」
うん、最後は見事にカウント4で常歩になった。よし!
■「今度はずいぶん馬が集中してましたね」
「あのまま終わっていたら、ずいぶんがっかりしたでしょうから、よかったですね」
よかった〜、きっちり落とし前をつけましたから。
このままでは終われないという気持ちが、私の特徴なのかも。


644/645鞍目 前肢旋回/外方で押し込む [終章]

 2008-02-21(Thu) 初級クラス 通算644/645鞍目
■なんと暖かで穏やかな昼下がり。
ああ、春がそこまで来ているんだなあ。
別れの春が…
■ひと鞍目は4騎部班の合同クラス。
私は【山桜】もうひとりの初級の方が【時鮭】
中級の方が【ムーン】と【とら】
4%先生のご指導なるも、なんだがそれぞれの課題練習といった感じ。
【山桜】とは、駈歩輪乗りがきちんと蹄跡と接した円になるようにとの練習。
■【時鮭】に乗っている人が、楽しくなさそうな雰囲気。
思い通りに動いてくれないようだ。
残り少ない騎乗機会で「これじゃあ、かなわん」という思いをするのはつらい。
まして、配馬してレッスンを担当する先生方には心苦しいものがあるだろう。
次の機会がないというのは、いろいろなことろに影響していく。
目に見えぬ檻のようにのびのびとした動きを封じてしまう。

■ふた鞍目は【アウグスティヌス】
【山桜】と【ムーン】は中級の方が乗って再び合同レッスン。
■【アウグス】は前回とうってかわって、聞く耳を持ってくれている。
速歩での蛇乗りや輪乗り等、気持ちよく動いてくれる。
どうして乗るたびに違うのだろう。
なにが彼にそうさせているのか?
■駈歩まで一通り終えたあとの常歩は、十分に身体が動いてズンワズンワと進む。
手綱の感触も、馬に引っ張って行ってもらう感触充分。
左右差もなく力強い手応え。
すると、
「前肢旋回ってやりましたか」
「あっ、はい」ごんちゃん先生のレッスンで一度やってみましたが…
「じゃあ、やってみましょう」
ぅえ、この【アウグス】でですか? 
きっちり前に出ていてコンタクトが取れていないと難しいはずなんですが…
常歩の動きが良かったから【アウグス】にもできると考えたのだろうか。
「馬を埒の方にむけて、自分は後ろを見るようにね」
「馬体を埒側の脚で押してぐるりと方向を換えるように」
えーっと、動かない側の手綱で前を止めて、脚は後ろに少し引いて押してくんだったかな。
ん〜、脚を使おうと意識すればするだけ膝が上がってきちゃう。
【アウグス】には伝わらないなあ。
「もちぇさん、もっと馬を埒側に向けちゃっていいですよ」
「そして後ろの【ムーン】の方、しっかり見て!」
あらっ、くるりと向きを変える馬。
やった〜、あの【アウグス】が前肢旋回やってくれた。
それにしても、先生によってやり方の説明がずいぶん違う。
ごんちゃん先生は扶助の左右差を強調していたけれど、4%先生は進む向きを極端な形で馬に伝えるのが主体になっているような感じ。
同じことを違う表現で説明されるのは、自分の中であるべき扶助の形を作り上げるのに大変役立つ。
それにしてもこの前肢旋回って、馬が単独脚に反応して後脚を内側にずらすこと、コンタクトがしっかりとれていることなど、ベーシックスキルがきちんとできていることが前提だからなあ。
上手くできないということは、すなわち基礎がなってない証拠なのだ。
■次なる駈歩は、輪乗りの練習をする予定であった。
が、【アウグス】は膨らんで曲がり難い。
何度もトライするが、最後には離れて待機している人馬の群れに突っ込むしまつ。
私自身は「また私の言うことが伝わらなくなった」と軽く考えていたのだが、他への危険迷惑も懸念される。
「ちょっと乗り替わりますね」と4%先生の助け舟。
【アウグス】に輪乗りで駈歩をすること教えている。
■「じゃあ、もちぇさんもう一度輪乗りをしましょう」
膝下を抱え上げてもらって馬上に戻る。
先生は蹄跡に接していない円弧にコーンをひとつ置いて、
「最初は速歩でやってみて下さい」
「コーンを後肢が過ぎたら外側の拳を握って、その後両拳ごと内側にスライドさせるように。外側の押し手綱になるようにね」
「その時、外方脚は踝からギュウと押し込む感じで使って」と指示が出る。
「他の蹄跡との接点でも同じようにやってみて」
おわー、馬がくいっとコーナリングする感じ。
「じゃあ、次は駈歩で」
先程と同じように埒に囲まれていない円弧の部分で膨らみかけるが、外を握って両拳を内側にスライドさせると曲がるようになる。
「外方脚で押し込むようにして」と脚の指示。
まさに外側の壁になって馬を押し返していく感触。
これまで「外側で抑えて、外方脚で押して」と言われてきたが、勢いにまかせて何となくやっていたつもりだけだった。
今日のように細かく分解してやってみると、何をすべきでどんな反応がかえってくるのかが如実にわかる。
■駈歩の輪乗りを繰り返していると、
「馬の顔が外を向いていたって内側に曲げることはできるんですから」
「実際にやってみましょう」
「【アウグス】を外に向けて!」
「そのままで同じように外方から押してみて」
うわぉ、曲がりますねー
馬の首を向けることだけに一生懸命になっている自分がいた。
脚より手綱で引っぱり回す自分。
頭ではわかっていても、身体がその通り動かないのだ。
実際にやってみて、脚で十分に馬が動かせるのだということを体感していく以外ないのかも。

■クラブ閉鎖のショックがだんだん落ち着いてきてかなと思える今日この頃。
悲しみも怒りもそこにあるままにして、
「明日世界が滅亡するとしても、私は今日林檎の木を植えよう」という心境に至る。



646/647鞍目 コンタクトをとる楽しさ [終章]

 2008-02-22(Fri) 初級クラス 通算646/647鞍目
■今週は暖かい日が続く。
最高気温が13℃。
風もなく陽射しに力があるから、戸外で活動するのが楽しい。
こんな時には「馬たちを洗ってあげられたら…」と思うのだが、なにせ私の次にもレッスンが控えている。
馬洗いをして散歩させる、そんなのどかな時間はどこに行ってしまったんだろう。
何にも邪魔されない馬との平穏なひととき。
この〈平穏さ〉は粉々に砕かれてしまった。

■今日のお相手は【アウグスティヌス】
彼を馬房に迎えに行くと腰をおろしてお昼寝中。
声をかけると「はあい?」と顔をあげるが、寝ぼけ眼で再び首を畳んで寝ようとする。
馬の顔が自分より低い位置にあるからか、「かわいいなあ」とこちらも和んでしまう。
「いやいや、仕事だから起きてもらわねば」
舌鼓が目覚ましがわり。
彼とはこんなやりとりから主導権争いが始まっている。
なあなあで済ませるとレッスン時にリーダーシップが取れなくなる。
と、気をつけていたつもりだったが…
馬装時に他の会員の方から話しかけられる。
手は動かしていたが、気持ちは馬から離れて話に夢中になっていた。
いざ、馬場に向う段になって愕然とする。
しまった【アウグス】と気持ちをあわせることができていない。
なんたること! お別れ会の話なんてして馬を無視したままだった。
■レッスンは【霧丸】との2騎部班。
ビギナークラス担当の先生が見て下さる。
予想通り最悪のパターンになってしまった。
レッスンは、のったり進む【霧丸】の後を追走。
気持ちよく動けない【アウグス】は、先頭の馬の後追いをしているだけで、鞍上の指示をまるで聞いていない。
彼は大きくどんどん動かすところから始めないと、脚や手綱のチマチマした扶助には頑として反抗する感じなのだ。
スピードにのって動いているうちに外側のハミに乗ることを受け入れるような、そんな印象がある。
後ろから抜くか、巻き乗りをして馬間をあけて【アウグス】自身のスピードで走れるようにしたい。
ところが、騎乗者の指示に聞く耳を持たない彼は、馬間をあけると途端に立ち止まったり、あらぬ方へ行こうとする。
先生が「外側の手綱を許してしまわないで、鞍の前で動かさずしっかり握っていて」と声高に叫ぶ。
一瞬は、外方で馬をコントロールしかける。
しかし、前に出ていない馬には効かない。
馬に主導権を取られてしまっている。
■これは、【アウグス】に聞く耳をもってもらう以外ない。
段階的に強い扶助を送ってスマートにできればいいが、今の私には原始的なことしかできない。
強くドカッと蹴って長鞭もビシッと使って怒声をも援用して、とにかく前に出て欲しいことを伝える。
どんどん出す。
すると「そんなにスピード出さないで」とビギナークラスの先生。
違うのだ、今は必要があって馬を追っているのだ。
馬が動き出せば、いくらでもゆっくりにできるのだから。
馬が気持ちよく前に出ることができて初めて、外方の手綱で規制したり内方脚で押したりできるのだから。
のったりぐずぐず動いているうちは馬とのコンタクトなんて取れっこないってことが、身にしみてわかってきたのだから。
そういった微妙なニュアンスが共通認識にならないのが残念。
■【アウグス】がスピードを上げて動き出してからは、外方の手綱が効くようになる。
「よしっ、いい子」
これでお互い楽に動ける。
速歩での輪乗りの開閉や8の字乗りもスムースになる。
馬が納得して動くときの滑らかさは絶品。
でも、気を許すと再び馬が主導権を奪取しようとわがままなそぶりを見せる。
油断ならん。
■聞く耳を持つ時の【アウグス】は滑らかな前進気勢があって、乗り心地がよく騎乗していることが最上級に楽しい。
だからたとえ、鞍上を無視してあらぬ方へ動いてしまったとしても、「今度こそはリーダーシップを認めさせたい」と闘志がわく。
何があっても大好きな馬なのだ。

■ふた鞍目は【山桜】
【ベルベット・シート】と【時鮭】との合同レッスン。
今度は4%先生が見て下さる。ほっ…
■【アウグス】の後に乗ると【山桜】のエンジンの回転数が足りないのが強烈に伝わってくる。
急がせないで、一歩一歩少しずつ大きく踏み出してくれるよう心がける。
どかどかガツガツ扶助を送るのではなくて、馬が楽に動けているか、窮屈なところはないか、進むべき方向が開けているか、そこに向って扶助が出せているか、全身の感覚で受け止めていく。
バイタルウォークまであとまだ一息足りないというところで、4%先生に呼び止められる。
「ネックストレッチをつけましょう」
ふえ〜、まだまだ無理ということを見透かされているなあ。
「ドレッサージュアリーナ全面を使って、4湾曲」の指示がでる。
軽速歩でもまだまだ動いてない。
くう〜、レッスンの最初からしっかり動いて内方姿勢もきれいに取れるなんて期待しない方がいいのかも知れないが、なるべく早いうちに人馬ともに納得できる動きになりたいものだ。
それでも巻き乗りなどを繰り返していくうちに、だんだん良くなって行く。
「巻き乗りの中心をいつでも探して」
「顔だけじゃなくて体全体で中心を見て」
「むち打ちの人が首を固定されて身体ごと振り向くような、そんな感じですよ」
回転に入るときにいつも言われる注意だが、
きちんと身体の向きが決まると、視野に回転に沿って湾曲した馬体全体が映る。
先生の指示どおりやって言われた通りの現象が起こることに、充実感を覚える。
■駈歩もひととおり終えるとようやく【山桜】エンジンの回転数が規定値に到達する。
ここまでくれば、馬とコンタクトが取れるようになる。
脚を使った分がちゃんと馬の動きに反映されて、次にどんな動きをするか手綱を通じて馬に予告できる。
姿勢の入れ替えとか移行は3歩先、4カウント先を読んでいく。
手綱の長さもあともう一握りでピッチマーク3番目を親指ではさめるところまでくる。
こうなると楽しい。
馬が思い通り動かないのは、100%こちらのタイミングやバランスが悪いからなのだ。
先生に注意を受けて、バランスやタイミングを気をつけながらやってみるとどんぴしゃり決まる。
【山桜】が真面目で敏感に扶助に反応してくれるからこそで、本当にありがたい。
■「もちぇさん、短蹄跡に入ったら馬場全体が視野に入るようにね」
顔を上げて胸を開いて姿勢よく乗ると、頭や肩腕の重さがそのまままっすぐに馬に伝わるような感じ。
さらには、馬場全体を見渡すと自分が次にどのラインを通るかを眺めることになる。
「あそこで曲がるから馬に準備をさせて」と自然に考えられるようになる。
馬とコンタクトが取れないうちは、どんなに自分の行き先を眺めていてもその通り馬が動く保証がないから、ラインを取るなんて絵空事にしか聞こえないのだが、現実に馬が動くようになるとラインが俄然生きてくる。
おもしろいなあ、楽しいなあ。
■合同クラスなので各人の課題を個別練習。
私は、引き続き輪乗り駈歩。
輪乗りに入る駈歩発進は、確実に馬を内側に入れてから発進すること。
「進む先のポイントに向って直線で進むつもりでいいです」
「曲線を想定するとどうしても蹄跡を何歩も走ってしまいますからね」
「直線を進むつもりでも馬は膨らんで走りますから、ちょうどいいですよ」
想定するラインが直線と曲線の違いって、そこまでシビアなのかしら? といぶかしげにしていると、直接馬場に足で線を引いて下さる4%先生。
この直線に沿って行けばいい訳だ。
思った以上に内側に切れ込むラインで、曲線を想定した場合との違いに改めて驚く。
言われた通りやって、綺麗にきまる。
「そう!」
ううむ、繊細な世界だ。
輪乗りが蹄跡と接する箇所は「一歩だけ蹄跡を踏んですぐ出るように」と指示がある。
「昨日やったコーンを回る感じでね」
何となく丸く廻るじゃあ、ダメなのだ。
接点を頂点とする正方形を廻るつもりで輪乗りのライン取りをする。
そのためには次の頂点をまわり込む前にその次の頂点をはるかに眺めて体勢作りをする。
一年前にも同じことを言われたが、今になって自分の身体の動きとして現実感を持つようになる。
「2課目の経路なんて一旦覚えてしまったら目新しいことは無い」というセリフ、それは傲慢な考えだ。
私にとっては、真剣に取り組むたびに深みを増していく。
そして、4%先生が言葉で説明したことが自分のなかに取り込まれていくのを実感する。
■最後に「蹄跡での駈歩で斜めに手前を換えて、中央で速歩、蹄跡に一歩入って常歩の下方移行をやってみましょう」と指示が出る。
「隅角はきっちり通って!」
経路の練習となるといきなり要求水準が跳ね上がる4%先生。
取りあえずラフに回ってみるなんて、あり得ない。
一度できっちり正確にやることを要求する。
そこが「何となくでも、できればいい」という私のレッスン行動基準と齟齬をきたす部分なのだ。
そろそろ私自身の中で「経路練習は一度で成功させる」という掟を作らねば…

■【アウグス】も【山桜】も馬とコンタクトをとる楽しさを存分に味わわせてくれる。
本当にありがたい。
やっぱり、私はしあわせものだ。



648鞍目 鼻梁を垂直に [終章]

 2008-02-23(Sat) 初級クラス 通算648鞍目
■今日は【アウグスティヌス】
ご一緒する方は珍しい方で【とら】ちゃんに乗る。
いつも同じような面子でレッスンをしているだけに、違うメンバーだといい気分転換になる。
4%先生のご指導で、【アウグス】も【とら】も折り返しに長鞭、拍車とフル装備に慣れておくためのレッスンという趣旨らしい。
■「手綱と長鞭で一杯で、もうひとつとして思い通り身体が動きませーん」と叫ぶようにしている相方。
そうなのだ、わたしもわけわからん状態だったのだ。
今日の【アウグス】は比較的聞く耳を持ってくれる。
やはり、前進気勢のある馬は手綱を取り易い。
「今はまだあまり手綱を詰めなくていいですからね」と言われてマークの4番目で手綱と折り返しの長さを揃えるようにして持つ。
馬場に映る影で折り返しの下半分が緩んでいるかどうかを確かめる。
あれ? 左右で垂れ下がる度合いが違う。
どうも右側の折り返しの方が長くなっているようだ。
あわてて、折り返しの長さを点検する。

■「鼻梁を垂直に」
あとちょっと、あとちょっと、微妙な感じ
「そうです」と言われるところはまぎれもない垂直。
こんなものかなといういい加減さは通じないと見た。

■3湾曲は気持ちよく決まる。
「経路まわれそうですね」という4%先生のお言葉がうれしい。
でもねえ、駈歩がねえ〜
「輪乗りや長蹄跡は安定してきたけれど、短蹄跡から斜めに手前を換えるところが騎乗者のバランスば微妙に変わってしまうみたいですねえ」
そうなんです、いつ内側に切り込まれるかとハラハラしながら乗っているので、どうもうまくいかない。


649/650鞍目 いつも通り [終章]

 2008-02-27(Wed) 初級クラス 通算649/650鞍目
■朝起きた時に自分の頭の中に巡っていることが、
〈ライナックのフラクション〉のことか〈脚の使い方〉か、前日の内容によってきっぱり二分されている。
仕事と乗馬との2重人格になったようだ。
今朝は馬人間の方にスイッチを入れる。
■本日のひと鞍目は【とら】が配馬されている。
【青雲】と合同クラスで4%先生のレッスン。
■【とら】は後肢の具合が良くなくて休みがちだったが、最近復帰してきている。
重いわけではなのだが、首が左に曲がったままの彼。
まずは4肢が直進をしていれば良しとして、無理矢理首を右に向けるべく手綱を引っぱり回さないようにする。
しかしながら、回転しようとするといきなりぐっと前が詰まって動かなくなる。
「そこで負けない!」という厳しい声が飛んでくる。
何がなんでも左手前の巻き乗りをさせる。
動き難いのはわかっているのだが「動かなくてもいい」とさせては必要な運動もできなくなる。
右手前の駈歩でも発進しない。
そこで巻き乗りから蹄跡にもどったところで発進させる。
うう、内方姿勢が上手く取れない。
どうしても右の手綱ばっかりが強くなって、左がすかすか。
4%先生に手伝ってもらって鞭を使って右手前の小さな輪乗りを繰り返す。
ようやく「右をむかないとまずい」と【とら】にわかってもらえた。
駈歩もひとおり。
■それにしても身体の使い方に左右差のある馬たちは、姿勢を矯正するためにつねに片方のハミを強く持たれたり、片側から押され続けてしまうのだ。
向いたらゆるめる、外や前に出たら押すのを止めるのを心がけていても、すぐにまた引いたり押したり。
【とら】の右側の口をいつも引っぱってばかりになるのが、なんともやりきれない。
■相方が馬場を大きく使って動くのを停止してのんびり見学していると、
「もちぇさん最後にもう一度駈歩しましょう」と4%先生に促される。
何となく馬の雰囲気が柔らかくなってきていて、あれぇと思っていた所だったのだ。
ストンと駈歩が出て、大きなストライドで馬場をまわる。
「もちぇさん、手綱をもうひとつ伸ばしてあげて」
言われたとたん速歩に落ちる。
「手綱の張力は変えなくていいんです」
「手綱が短いともちぇさんが馬に引っ張られて前傾になってしまうのを防ぐためなんです」
馬の後ろからついていくつもりで、馬よりも前に出ないでということなんだろうな。
最近の4%先生の注意は「もっと後ろから」というのが多い。
それにしても、前半の絶対右に向きませんという固い雰囲気と最後のすうと駈歩の出る柔らかい雰囲気の違いは、どうして生じるのか?
何をしたわけではない。
不思議だ。

■ふた鞍目は【山桜】
【アウグスティヌス】【アレフ・ゼロ】【とら】との合同クラスで同じく4%先生。
■ほとんど左右差のない【山桜】に乗るとほっとする。
部班の最後尾で【とら】が再びイヤイヤしている姿が目に入る。
難しい馬なんだなあ。
■レッスン自体はいつも通り無事に終わる。


残された日々 [サマリー]

 2008-02-29(Fri) 
■3週間前の金曜日に親しい人からの電話で聞かされ、
その後『乗馬クラブ閉鎖のお知らせ』という通知が届いて、
安穏とした馬との日々が崩壊し始めた。
この先も変わりなく季節が巡るはずだったのに…

■我が【よちよち乗馬クラブ】は、存在し得ないクラブだった。
贅沢すぎる施設、利用者の少なさが幸いして各人の技量にあわせたマンツーマンに等しいレッスン。
ひと鞍乗るたびに赤字を積み上げていったのだ。
マトモな経営感覚からすれば、もっと早く切り捨てるか、徹底した合理化をすべきだったのに。
だらだらと続けてきたのが現状なのだろうなあ。
これまで払ってきた会費や騎乗料では、自分の受けてきたレッスンやサービスの採算がとれないということは、薄々わかっていた。
乗客の少ない赤字路線に乗っている人が、廃止を嘆くようなもので、
「これまでの利便性が失われてしまう」「愛着ある路線がなくなって寂しい」と語るのと同じことなのだ。
この自由主義経済下では、存在できないクラブなのだ。
たまたま巡り会わせて夢のような乗馬ライフを送れたということだけで充分。
魔法が解けて、目の前には現実がむき出しになっていることを嘆くのは間違っている。
〜最近、そんな風に考えるようになった。

■馬たちとの別れはつらい。
肢を悪くしている2頭の馬は「いらない」と言われているそうだ。
「いらない」か… 
むき出しの現実に心がヒリヒリする。
■自分が馬の立場だったら…
馬の行き先を考える管理者の立場だったら…
毎日身近で世話をしている立場だったら…
■今の自分にできることってなんだろう。
決して忘れないこと。
残された日々を精一杯過ごすことだろうな。




651/652鞍目 自覚するべし [終章]

 2008-02-29(Fri) 初級クラス 通算651/652鞍目
■4年に一度しかない日付。
寒さに固まっていた心と身体がふっと緩むような、ぬくもりのある日になった。
■2月ひと月で45鞍以上を騎乗した人がいる。
私も25鞍になる。
3月末で終わりになると知っているから、
「最後の競技会に出よう!」「花道を飾ろう!」と人それぞれの思いを胸にクラブはにぎわっている。
こんな時でも、見学者の姿がある。
おばさん3人組が駐車場からもの珍しげに眺めている。
決してご一緒することはないだろう人達だ。

■ところで『乗馬ライフ』の最新刊4月号に、
ウェスタンライディングのトレイル競技の記事が載っていた。
『競技という意図的な「しばり」があるから「自分の合図に自覚を持つこと」「自分の出した合図に妥協しないこと」が求められる。』
『そして、この2つが上達への近道』ということが書いてあった。
馬場経路の練習も同じなんだろうなあ。
定点から正確に運動させる価値を改めて知らされた。
形だけできればそれでいいと思わないで、
自分がどんな扶助を出したら馬がどう動くのかをもっと注意深く感じ取るようにしないといけないのだ。
いつどこでどんな扶助を出したのかをもっと精密に。
うーむ、まだまだ「駈歩が続いた」とか「内側に切れ込まないでくれた」ので馬に感謝するレベルで、自分がどんな扶助を出しているかなんてほとんど自覚できていない。
教官が地上から「〜して」と扶助の方法を指示してるのを頼っている現状。
う〜、今まで何をやっていたんだろう。

■本日のひと鞍目は【アウグスティヌス】
ごんちゃん先生のご指導で【とら】との合同クラス。
それぞれの課題練習となる。
■【アウグス】を駈歩までひととおり動かした後は、速歩での馬の姿勢が課題。
速歩で輪乗りや蹄跡行進。
「もちぇさんが馬より前に出ていくと馬も伸びてしまいます」
「人のお腹を縮めて馬の後ろにどっしり構えていると、馬が『うわあ重くなってきた、何?』と注意を向けてきます」
ついもっと動かそうと「前に前に」と人の意識が先走ると、馬も前肢だけが動いて後肢はそれにつられて動くだけになる。
後肢が大きく動いて4肢がそれぞれきちんと動いている状態を求めなければいけない。
「そうです、後肢を引きずらずしっかり踏み出すようになると馬の腰が大きく動くでしょう」
馬の肢運びが乗り心地の違いに出てくるのだ。
動きは大きくなるが柔らかく弾力があるので気持ちがいい。
「馬が焦らず集中してくると馬の首が下がってきますね」
扶助に無理がなくて一定のリズムに乗ってくると、馬の雰囲気が落ち着いて首が下がってくる。
「座りも馬の動きも良いので、後は馬を内方の口側に落としてあげることだけです」
「内側に向いてごらんと手綱で合図してあげて、内方脚でトンと押してみてください」
出口はこちらと内方のハミを示したところできゅっと押し出してあげるとにゅるっと出てくるといった感じだろうか。
にゅるっと出てくるところをこぼさないよう手のひらで受け止める、そんな雰囲気で拳をゆるめる。
馬のホッとしたような柔らかな雰囲気になるのが、とっても面白い。
■しかしながら、「おお、いい調子」と喜んでいるといきなり止まったり、巻き乗りしようとするとあらぬ方を向いて制御不能になってしまうことがある。
なぜに? 
するすると輪乗りの手前を換えをしたり、なんの問題もなく巻き乗りするときもあるのに、この予測不能さに悩まされる。
「【アウグス】はもちぇさんのこと見てますからね、」
「『おや、後ろから駈歩してくる馬を気にしているみたいだ、じゃあ僕も気にしよう』とか」
「『見学のおばさん達って危ないヤツだから避けた方がいいらしい』とか」
そんなところまで気にしなくてもいいのに、そのまま走ってくれればいいのに〜
ほとんど意識に登らないようなことにまで反応する【アウグス】なのだ。

■ふた鞍目は【山桜】がお相手をつとめてくれる。
【ときめき】との2騎部班で先と同じくごんちゃん先生のレッスン。
■ごんちゃん先生は時として運動の号令を出さず「こんなことやあんなことも取り混ぜてやってみて」と各個運動をさせて下さる。
その中から、気になったところをアドバイスしてくれるのだ。
■速歩は後肢から動かして十分に前に出せていたとOKをもらうが、
駈歩では難点がいくつもあがる。
そのひとつは、回転。
身体が柔らかく敏感な【山桜】なので、急な回転でもやってのけてしまう。
隅角も内側に入らせないようにと構えていれば、そのまま突っ込んで直角に飛び抜けるようなこともしてしまう。
「駈歩の隅角は6m手前から内側の鐙を踏んで内方姿勢を取らせるようにしましょう」
「短蹄跡は2、3歩を左右まっすぐに乗って、また内方姿勢にとメリハリをつけて」
「ちゃんと準備させてあげれば綺麗に隅角を曲がってくれますからね」
あちゃ〜、駈歩のスピードに間に合っていないらしい。
隅角を曲がり出してから内方姿勢を取らせようとすると馬がバランスを崩してしまう。
次の運動の準備としての扶助をもっと自覚しないといけない。
さらには、駈歩での巻き込み。
「まっすぐ前を見たもちぇさんの視野に馬の耳が見えてこなければ、
それは馬の首が下がり過ぎている状態です」
「前を持たれて後ろからも行けと言われると馬は窮屈になって丸まるしかなくなります」
「度が過ぎれば馬もつらいので、首を上げて抵抗したり、蹄跡に出た途端に飛び出すように走り出したりする子もいます」
「【山桜】は真面目なので、窮屈なまま引きこもって走ろうとします」
「そんな時は、まず内方の拳を緩めて内方脚でトンと押してあげて下さい」
「ちょうど息つぎをするような感じで馬はふっと首をあげることができます」
「動くスペースを空けてあげた所に推進すればいいわけです」
【山桜】にネックストレッチや折り返し手綱を使っていると、
時々「馬がうなだれて走っているなあ」と感じるときがあった。
4%先生にも「馬の首の位置をもう少し持ち上げて」「首をそのまま引っ張りあげていいですから」と言われることがあった。
つまりは馬が窮屈になって引きこもりになっていた状態だったのだ。
それにしても、推進が足りないという側面だけで判断するのではなく、手綱の規制についても自覚していかないと。
ううむ、内方拳をゆるすというのは馬をリリースすることであり、進む方向を指し示すことでもあるのだ。
内方をゆるめるには、緩まない外方があってのことだし。
外方内方の違いをハッキリさせるには、拳の安定が不可欠で手綱にたよらない騎乗者のバランスが土台になっているし。
はるかなり、駈歩への道。
なんてことを遠い目をして考えていると、
「これで上に乗っている人のバランスが悪ければ、彼はやけになって『走ればいいんでしょう』と首を振って必死に自分のバランスを取り戻そうともがくように走るんです」
うわっ、かつての私だ。
絶対速歩に落ちるようなバランスの悪い乗り方なのに、必死で駈歩をしてくれる彼に申し訳ないような気持ちで乗っていた時代がある。
最後に「じゃあこれまでのことを気をつけてもう一度駈歩」という指示。
駈歩をする馬を感じとろうとして乗る。
前に出ようとするパワーを適正な拳で受け止めているか?
馬に指示を与え「次は何をするよ」と緊張感を与えたあとで、「そう、それでいいよ」とほっととする瞬間を与えているか?
私の脚は、馬にとってどんな風に感じられているのか?
内方脚が流れて、左右差がなくなり何をしていいのかわからなくなっていないか?
もっと自覚しなくては。
馬の走りは自分の鏡になっているのだから。







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