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第13章 初級手綱の感触編 ブログトップ
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556鞍目 僕を支えてくれ [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-09-14(Fri) 初級クラス 通算556鞍目
■本日は【時鮭】に乗る。
平日初級の常連が【ときめき】【ムーン】【ベルベット・シート】に乗り込んで、いざ出陣。
4騎部班でごんちゃん先生の〈にこにこスパルタ〉レッスン
■【時鮭】って6月の競技会の頃は、首を振ってハミを嫌がることが目立ってたのだが…
「彼に乗るときは拳を安定させることが大事」と課題をもって乗る。
部班の先頭でのびのびと走れるせいか、なんだか調子がいい。
「まず外側の拳を握って、それから内方脚で押して」とごんちゃん先生が内方姿勢を求める号令にもちゃんと応えてくれる。
ストライドの大きい走りは一定のリズムにはまると爽快感に充ちる。
私と【時鮭】が同じ力で引き合っているのを感じられるから、拳が宙に止まっている。
そうなのだ、拳は、私がひとり虚空に突き出して留め置いているものではなく、人と馬が同じ力で引き合っているからその場に浮いているのだ。
拳が静かにしていられると、こんどは馬の走りの癖が伝わってくる。
速歩では左右差なく「くっくっくっくっ」とビートを刻むはずが、【時鮭】はわずかに櫓を漕ぐ時のようにな斜め前に前後する。
ははん、君も身体の使い方に左右差ありますねえ。
巻き乗りができないとか内に切れ込んでくるというほどではないのだが。
■駈歩になると右手前が出にくいし馬の体勢が内側に傾いてとんでもない走りになってしまう。
駆歩下手な私にはなす術もない。
左手前は「うわぁ気持ちいい〜最高!!」と叫びたくなるようクッションの聞いた柔らかくも力強い乗り心地。
【ヴィーヴロワ】の至高の駈歩に匹敵する。
「はい、速歩〜軽速歩」の号令が恨めしくなるほど。
■こうやって速歩での輪乗り巻き乗りや3湾曲、駈歩を一通り終えると【時鮭】の速歩も左右差がなくなってくる。
「じゃあ、速歩は座ったままで」とごんちゃん先生の長距離正反撞のお時間。
人と馬の両方に引かれた拳のバランスが、ふと変わる。
馬が近くに来た分拳が軽くなるような感じ。
手綱を短く手繰ることができる。
なんだか【時鮭】が「もっとしっかり僕を支えてくれ」「そうしたらもっと踏み込んでいけるから」とでも言っているような雰囲気。
「私しっかり支えるからね」「頑張って!」と手綱を丁度いい張力のところまで手繰って、しっかりと握りに集中しながら脚を少しだけ使う。
 …楽だ。
馬のエンジンの回転数が上がってパワーが増えた分が、スピードではなくて支える力に転化したかのよう。
サスペンションのように下から支えられ、手綱を通してワイヤーを張ったように上体も支えられている。
なんだ〜、自分一人で動かないようにと踏ん張っていることはなかったんだ。
馬が支えてくれる。
「馬を支えてあげなくちゃ」とやったことが、いつの間にか自分も支えてもらえている。
「じゃあ鐙をクロスさせて鞍の背に上げて下さい」
「鐙上げでいきましょう」とごんちゃん先生の号令。
輪乗りで鐙上げ。輪線運動でも滑り落ちることはない。
「輪乗りを換え」の指示も鐙を踏んでいる時と同じようにできる。
うん、馬に支えてもらっていれば姿勢の入れ替えも問題ない。
■正反撞の苦手な人にはかなり過酷なレッスンだと思うが「馬と人の支えあい」ができれば平気になることがわかった。
と言っても、鐙上げでは内股の筋肉を極限まで使うから、
「今日はひと鞍だけなんですか?」の問いには「もう充分、3日分やりました」と答える。


554/555鞍目 馬を感じて下さい [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-09-13(Thu) 初級クラス 通算554/555鞍目
■涼しくなって活気が出てきたクラブ。
会員の方々とおしゃべりする機会も増える。
「8月は10頭(22鞍)の馬に乗った」と言ったら驚かれた。
確かにメインに乗る馬が何頭か決まっていて時々違う馬が配馬されるというパターンが多い。
人によっては同じ馬ばかりに騎乗しているということもあるらしい。
こんなに多数の馬が配馬されるのは珍しいことなのか?
改めて振り返ると、私はいろいろな馬に乗ることで比較対照ができるというメリットを意識していなかった。
単に〈乗った、動いた、楽しかった〉で終わらせるのではなく、「あの時の馬と較べてどうか」「似たような状況の時どうしたか」という対照をしていかないと扶助の引き出しの中身が増えていかない。
■本日も【とら】ちゃんにお相手を願う。
中級の方@【ムーン】と初級の男性@【ベルベット・シート】の3騎部班で4%先生のレッスン
下乗りの時点では、【とら】は昨日ほどの左右差はなく元気に滑らかに動いていた。
な・の・に、
「これだけ動いていれば楽勝のはず」と真っ先に試した右手前蹄跡行進でしっかり内に入られる。
4%先生からも「内に入られてますねえ」と意外そうに言われる。
ここまでくれば「雨続きで馬体がほぐれてなかった」なんて言い訳は通じない。
「私の何かがよろしくない」とハッキリしたのだ。
■今日の課題も〈内方の肩から倒れていく馬にどう対処するか〉
部班運動しながらこの課題に没頭することになった。
■「もちぇさん、まず中央線をまっすぐ歩かせましょう」
「両拳を揃えて両手両脚同じように使って!」
「その状態で、馬がどう動くか見てみましょう」
あわわ、まっすぐに乗っているはずなのに【とら】は右斜めによれていく。
私は斜め横足させているつもりはない。
なんなの〜、この馬は。
「もちぇさん、馬の首の向きはあまり気にしないで」
「それより馬の胴体、4本の肢がどうなっているかを考えて!」
そうそう、自分が跨がっている馬の本体がどう動いているかが大事なのだ。
ん〜、右側の肩が磁石に引きつけられるように右脇に踏み出している感じかなあ。
これをどうするねん?
「右側の拳は自分のおへそのあたりに持ち込むようにして」
「左に斜め横足するように一歩毎に内方脚で押し出してみて」
「右にはみ出す分を押し返すように」と4%先生のアドバイス
中央線をまっすぐ歩かせたいのだから、手綱であちこち引っ張るのはそぐわない。
脚で押し出すのがメインになるのだが…
タイミングよく押し返せて1、2歩まっすぐ歩いても、ちょっと気を許すと斜めに進む。
長蹄跡分を直進することができない。
■部班なので【ムーン】の後について輪乗りをしたり手前を換えたり、速歩したりと様々な運動をこなす。
でも私の頭の中は「どうしたら右の内に入られないか」だけ。
「下ばかり見ないように」と注意されるが、馬の右肩を注視してしまう。
この肩がまっすぐ前に出ないで斜めに膨らんでいくのが諸悪の根源。
【とら】の肩を見ながら考える。
押し手綱っていうのは、馬の頸の付け根を手綱で押すことだったよなあ。
手綱を押し付けられるだけで馬の動きが制限されるのかあ。
馬の首の向きを変えることじゃない… 動きの制限をする手綱なんだ。
この肩が外に振れないよう制限するには?
んん? 肩を前に出す時に外はダメよと手綱で押せばいいのか?
【とら】ちゃんの前肢が出るたびに手綱をくっと押し付ける。
おうおう、まっすぐ歩いてくれるじゃん。
だんだん極端な押し手綱をしなくても、肢が前に出るタイミングで拳をくっと握るだけで用が足りるようになる。
手綱を持つ調子にリズムがついてくると、
じゃあ脚はどうなのだろう? と考える。
手綱の規制と同じタイミングで右脚を押し込むべきか?
握りが強くなる時は馬の肢が前に出る極期だから、ここで押しても意味がないような。
肢を振り出そうとする時に押さなきゃと考えると脚→拳の順番だな。
あれまあ、押しても持ち込んでも「ふぬっ!」と右によれ続けていた馬が、まっすぐに走っている。
「よしっ、いい子だ!」「すごい!」
馬の走るリズムに合わせて右の拳の握りだけ「くっくっくっ」と強弱がつく。
調子がいいので、ふうと右の握りも許して「さあ楽にして〜」とすると、再び右によれる。
なんだよー、常に右はガードしてないとダメなのかい?
気になったので4%先生に確認する。
「右側の拳だけが肢が前に出るタイミングで強くなるですが、それでいいんでしょうか?」
「いいんですよ、この馬はそういう馬なんですよ」
■1週間ぶりの駈歩もなんとかできて、その後の動きはより滑らかで〈握る〉という小さな扶助でよれることはなくなった。
隅角を深く回すこともできる。
やった!【とら】ちゃんと意思疎通ができた。
昨日の続きではあるが、思い通り動いてくれないとついつい馬上で大暴れしてしまうが、それだと何が原因でどう対策をとればいいのか見えなくなってしまう。
まずは原点である基本の姿勢に戻って、馬が何をしているのか冷静に感じ取るところから始めるのだ。
あるべき場所で馬を待つなんて、クールだ。

■「手応えのあるひと鞍だったなあ」とレッスン後に脱力しきっていると、
「もうひと鞍、今度は左手前で同じような傾向のある【ときめき】に乗りませんか」とお誘いがある。
【めっきー】も駈歩を含めると苦手な馬の部類にはいるのだが、速歩までならなんとか。
■ふた鞍目は、先のレッスンで御一緒した中級の方が本命【青雲】と参加。
さらに初級の会員さんが【アレフ・ゼロ】【時鮭】で加わって4騎部班となる。
今度も部班で運動しながら、馬とのやり取りの世界に没入する。
■【めっきー】は7月の最初に1年ぶりに乗ったときは、すぐ焦ってタカタカ進んでしまう印象だった。
「焦らないで」「ゆっくり大きく動こうね」と上手く伝えられるかなあ。
今度は左手前で内側に入られるぞと構えて準備運動を始める。
最初は特に問題なかったが、急に内側に進路を切る。
ただ、【とら】ちゃんのように「ふぬーっ」と何がどうあってもよれていくというのでない。
ぐっと手綱で止めて脚で押すと簡単に軌道修正してくれる。
後は何度か内に入りたがる感じの時にぐっと手綱で規制すると、「すみませんでした」と一瞬で止めてくれる。
【とら】のおじさんがねちねちと抵抗する感じに較べれば、【めっきー】は生徒が先生に「こらあ!」と怒鳴られてしゅんと萎れてしまう感じだ。
まだ、若い【めっきー】だからかな? 口が敏感なのも影響しているかも。
■タッタカ先に進みたがる速歩は、軽速歩のリズムをひと呼吸遅らせたり手綱を緩めるとふうぅと落ち着く。
ただ何かあるとどこかに飛んで行きそうな雰囲気。
「突然進路を変えようとしたりしますが」と伝えると
「もちぇさんには突然に感じられるかもしれないですが、馬がそれまで何をしていたかをいつでも感じ取るようにしましょう」
「馬はこうしたいと思って動くわけですから」と、
4%先生から〈常に馬を感じてください〉のお言葉を賜る。
確かにねえ、内側に入るために内方肩に重心が移るとか、首が動くなどの予兆があるのだから。
この時点で感じ取りぐっと手綱で止めれば、小さな動きわずかな力で済むのだ。
■ほとんど乗ったことのない【めっきー】の駈歩。
なんとか両手前の駈歩発進ができたのだが、右手前の駈歩がロケットダッシュのように感じられて緊急停止ボタンを押してしまった。
「そんなにだーと走る馬じゃないのですが…」
「ストライドじゃなくてピッチ走法だからもちぇさんには苦手かな?」
はい、そうなんです。
うわあーと先へ先へなだれ込むような走りをされるのは、やっぱりコワイ。
「これはダメだ」と感じると緊張して身体が固くなる。
まあ、このへんはぼちぼちやりますわ。
■内側によれないようにという課題も馬によって扶助への反応は様々。
その根幹は、馬がどう動こうとしているのか感じ取ることからなのだ。
永遠の課題とも言える。

■ところで、レッスンの前に驚くような話を聞いた。
なんと【とら】も中央競馬で走っていて地方競馬に移籍した後、乗馬に転向していたのだ。
歩様がきれいだから乗馬として育ってきたと思ったのに。
調べたら新馬戦でいきなり勝利、その後も活躍していたようだ。
サクラユタカオーの血を引いている。
どの馬も運命に導かれて、今このクラブにいるのだ。
この先どうなるのかわからない。
だから、御縁があったこのひと鞍を大切にしたい。


553鞍目 肩から内に倒れ込む [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-09-12(Wed) 初級クラス 通算553鞍目
■秋雨前線の活発化で土砂降りの朝になる。
酷暑の次は大雨か… 気候変動が極端になるのは温暖化のせいだろうなあ。
午後から雨があがりクラブに出向く。
うわっ、水面が広がっている。
水上での乗馬とは、趣き深し。
■本日は【とら】ちゃんがお相手。
マダム@【ムーン】との2騎部班で4%先生のお世話になる。
前乗りしてもらっている【とら】は、水をバシャバシャならして駆歩している。
先入観を持たずに眺めていれば、水を蹴散らす様子は豪快でやってみたくなる。
それにしても、右手前の駈歩は4%先生をもってしても走り難そう。
肌寒いから身体が固くなったのか? 今日は苦戦する予感。
■準備運動では、大きく前に進んでくれるのに巻き乗りは嫌がる。
右手前では外側を向いて内側に切れ込んでくる。
「もちぇさん、外向いているのに内側に入ってくるのは、肩から内に入ってくる状態です」
「そんな時は馬の肩を外側に押し出すように」と4%先生。
というわけで、
本日のレッスンは常歩と速歩でひたすら【とら】ちゃんを押し出す練習となる。
水浸しの馬場なので、島のようになった中央部で輪乗りする。
■「輪乗りなのに内側に入らないでよ!」とグニョグニョしている私に、
「外側の座骨を馬の背骨に寄せるようにして、内側に荷重しましょう」
「内側にだけ意識を向けていると外側に重心が落ちちゃいますよ」と
まず内方脚を〈重い脚〉にすることを一番に言われる。
「内方脚は付けたままで力を入れたり抜いたりしましょう」
「脚を付けたり離したりしてはいけません」
んーもう、押してもスウと外に出てくれないなあ。うまくいきませんなあ。
■「もちぇさん、手綱が長過ぎる!」
「ほら内方手綱が背峰を越えてますよ、それはダメです」
【とら】ちゃんは、右手前なのに右向きにならない。
手綱でなんとか向いてもらおうとする歴代の【とら】ライダーが力を込めたと思われる形跡がある。
だって、右手綱のピッチマークがとれてしまって、ない!
「左右の拳はなるべく揃えて使って」と言われても、馬の顔の向きに連れてズルズルと手綱が伸びていく。
きっちり手綱を持ちたいのに酷使する位置のピッチマーク(兼滑り止め)がないなんて〜
これは、秋の馬具屋のセールでマイ手綱でも買うべきか。
ぐぐぐ…
レッスンの相方の【ムーン】も、エンジンの回転数が上がらない様子。
常歩で馬を推進し続けるのは【ムーン】も【とら】もハードな運動である。
■「両手両脚を行きたい方に向けるんです」
「馬が内に入るそぶりを見せたところで阻止!」
「いったん内側に入っちゃったら、大きく動かさないと外に出ませんからね」
ああ、やっぱり。
完全に内に入られてからグイグイ引いたり押したりしている〈初動の遅れで被害甚大〉パターンなのだ。
教官に言われた通りしているのに上手くいかないのは大体このパターン。
深呼吸して、自分の中の「何とかしなくては」を忘れる。
まず基本姿勢。両手両脚ともまずは馬のまん中、まっすぐから。
そして、馬が何をしたがっているかを感じ取ろうと努力してみる。
「内側に入っちゃダメ」と伝えるのを止めて両手両脚を左右均等に軽く使うとまっすぐ前に進む。
あれっ? さっきまでの抵抗感がない。
うるさく言い過ぎたから、かえって「ウザイ」と反抗していたのか。
まっすぐに進んでいるところに「ちょっと内側向いてみて」と合図するとすんなり右側を向く。
「そう!」「えらい!」と褒めつつ内方手綱を緩める。
今日の【とら】ちゃんが教えてくれたのは、
「もう何とかしてよ」「いい加減にして!」と力まかせに手綱を引っ張ったり脚でどしどし押すと、かえって墓穴を掘ることになる。
手綱は両拳を揃えてわずかな動きで伝えようと心がけると、ロスなく伝わる。
長くは続かず、再び内側に入ろうとする【とら】ちゃんだったが光が見えてきた。
■左手前で輪乗りをしながら巻き乗りを入れる運動になると
「もちぇさん、身体ごと回転する方向を向いて下さい」
「それじゃ顔だけ向けてますよ」
「上半身すべてを向けるんです」
この間の【時鮭】でやった、上半身で振り向くだけで巻き乗りできるってヤツだ。
「手綱は身体を向けた分だけで充分なんですよ」
「その動きよりも大きく拳を動かしているのは、違うってことです」
■すんなり求める方向に向いてくれない馬に乗っていると、外の拳が上がったり押し手綱が背峰を越えたり、手綱でぐいぐい引っぱり回してしまう。
「拳を揃えて使って」
「手綱を短く」と最後まで注意され続けるのは、それが解決への早道だからなのだ。
うう、本能に反する動きだけに〈座して待つ〉のは強烈に意識しないと難しい。
■最後の講評では、基本姿勢を直された。
「手綱が長くなって身体が後ろに倒れがちに乗ってますよ」
うえ〜、ごんちゃん先生からも速歩での姿勢が倒れていると指摘されたところだった。
「座骨だけで乗らずに鐙にも体重をかけましょう」
「もちぇさんの場合は、骨盤がやや倒れ気味ですね」
もっと背骨を胸に近づけて上半身の重さがまっすぐ下におりるようにしないと。
「それと、膝と鞍のニーパッドの間をもう少し空けましょう」
「もちぇさんは何かあると、膝が上がって踵がふらふら動くから拍車で馬をくすぐっている状態になっているんですよ」
「鐙を踏む足の裏がもう少し後ろに向くように」
これまでになく細かい注文がつく。
馬が思い通り動かなくても、ひとが暴れて動くのは御法度。
いつでも深呼吸して、まっすぐまん中に座る基本姿勢に戻る。
脚を使う時に膝を上げたくなったら、鐙を踏み込んで重い脚にすること。
■「手綱は人が思い通りにできないものだから、できるだけ短い方がいいんです」
「肘や拳なら人が調整できるけれど、長い紐だとそれだけ扶助が伝わり難い」
「手綱を短く」とは、4%先生に最初にレッスンを見てもらった12鞍目の時から言われて続けている。
難しいのだよ、馬が「短い手綱でもいいよ」という状態になければ短くできない。
つまり馬が信頼できる拳であり、充分な推進であり、それを邪魔しない騎乗バランスである。
何万回でも言われ続けて、その基盤となる技能を磨いていくしかない。
■水浸しの馬場で常歩中心のレッスンだったが、そのぶん欠点がよく見えてくる。
つらいけれど有意義であった。


552鞍目 雷雨に打たれて [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-09-10(Mon) 初級クラス 通算552鞍目
■金曜日は台風の直撃で乗馬を休む。
このところ規則正しく練習に通っていたから、馬に乗れない日が続くと調子が狂う。
■家を出る前に天気予報をチェック
「各時間帯、くもりマーク」「ところにより激しい雷雨」という予報を聞いて、
「朝一番に雷はあり得ないだろうから、大丈夫」と考えたのだった。
馬装中に一度、激しく雨が降ってきたものの通り雨のようにおさまる。
「よし、普段の行いがいいからねえ」とレッスン開始。
■本日のお相手は、大好きな【アウグスティヌス】
【時鮭】【アレフ・ゼロ】に騎乗する駈歩クラスとの合同レッスン。
ごんちゃん先生に見ていただくはずが、準備運動での軽速歩中にぽつぽつ。
間もなく、ざああーと豪雨。
見る見るうちに馬場に水たまりができる。
■雨でも【アウグス】は平気で走ってくれるのだが、足元が滑った場所は覚えていて次に行こうとすると避けようとする。
急に出現した池や小川を避けて運動を続ける。
最初はヘルメットのひさしから水が滴り落ちるのが気になる程度だったが、だんだん腕や肩にシャツが張り付いてくる。
そして背中を通してキュロットの内側に雨が浸入。
あうう〜、革長靴の内側まで浸透してきた。
ここまで敵の侵攻を許すとは、騎乗前の天候の読みと装備が甘かった。
「ここまでくれば後はどれだけぬれても同じだ〜」と開き直り。

と、ピカっ
「ひゃあ【アウグス】、昼間に稲妻が光ったのが見えるなんて、こりゃまずいよ」
ごろごろんとかなり近いところで雷鳴がする。
【アウグス】の耳はピクピク動くが、歩調は変わらない。
「動じずか…」「えらい!」
駆歩の練習もしたいけれど、この状態では無理だろうなあ…と考えていると、
ビギナークラスの練習を早仕舞いさせた4%先生が、馬場の外から合図を送ってくる。
「雷が近いので止めましょう、あぶないですから」
多分、そうくると思った。
ぬれるだけぬれて、あえなく撤退。
■「普段の行いの悪さの報いって訳ね…」
馬場から引き上げて馬たちの手入れをしているうちに、雨は上がり晴れ間すら見える。
むんむんむんむん、1時間ずらせば問題なく乗れたのに〜
普段の日なら、不本意なレッスンの時は「もうひと鞍お願いします!」とリベンジするところなのに〜
装備の全てがビチョビチョで乾くまで再使用不可。
「時には、耐え忍ぶことを学ぶべし」

■雨の騎乗は、馬に乗っている分にはさほど苦にならない。
しかし、革製品のその後の手入れを考えるとため息がでる。
鞍も革長靴もヘルメットも絞れば水が滴る状態なのだ。
湿ったままでは型くずれやカビが心配だし、そのまま乾けばガチガチになる。
陰干しして十分に乾かしてから、サドルソープで汚れをおとしレザーバルサムを塗り込む。
今週はすっきり晴れる日がないから、手入れが完了するのは来週になるかも。
■装備一式、自宅に持ち帰ることにした。
普段から「かなり重い」と感じている鞍の重さを量るいい機会になる。
鞍を抱えて体重計にのってみる。
その結果、鞍は9kg。
(このうち左右の鐙だけでも1kg)←分解して鐙革から外してみた。
この鞍にさらに自分の体重が馬の背中のご厄介になっているのだ。
競馬の検量室でも似たような風景を見るが、合計で56kgとか54kgにするにはどれだけ装備と体重が軽くなければならないのか、考えるだけでも恐ろしい。
私は、【アウグス】君が競馬場で背負っていた斤量よりずいぶんと重く不安定な荷物でありんす。
すまないねえ。


551鞍目 穴があくかも [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-09-06(Thu) 初級クラス 通算551鞍目
■のんびり屋の台風9号のおかげで、雨が激しくなる時間帯が先に延びた。
というわけで、本日も馬に乗る。
■配馬表に書かれているお相手は【とら】ちゃん。
さあて、今日はどうなることやら…
馬房から連れてこようとすると、戻ろうとしたり立ち止まったりする。
無理してグイグイやっても綱引きになるだけである。
引き馬も手綱の扶助と同じ。
馬が踏ん張って膠着しないよう、引手を引く方向を左右に振ってバランスを崩して一歩踏み出せるようにする。
ちょっとでも馬がこちらの意図に沿って前に踏み出してくれたら、すぐに引手を緩める。
止まったら引手をぐいいと引いてプレッシャー。
馬が前に出ようとした瞬間を逃さずリリース。
地上にいる時は、プレッシャーとリリースを割に冷静に使い分けて引き馬で苦労することはないのだが、どうしても鞍上だと焦って上手くできないのだ。
困ったもんだ。
■本日は、4%先生のご指導で【アウグスティヌス】【ベルベット・シート】【霧丸】の4騎部班。
【とら】ちゃんはご機嫌うるわしく動いてくれる。
唯一の難点は、右に向いてくれないこと!
【チャンドラ・グプタ】や【アレフ・ゼロ】【時鮭】は右、【毒うま】は左とそれぞれ苦手な向きがあるのがわかってきたが、【とら】ちゃん、お前もか…
蹄跡行進の時から、右手前では馬体がまっすぐになっていない違和感があって押したり引いたりつついたり、いろいろ試してみる。
回転運動になると取りあえず曲がってくれるのだが、
「もちぇさん、馬の顔を内側に向けて」
「馬の姿勢にも気を配って」
「右の内方姿勢を取らせて」と4%先生から注意が飛ぶ。
外方にあたる左肘をしっかり腰の脇に畳んで内方の手綱を控えるが、つっかえ棒がはまっているように動かない。
「もちぇさん内方は開き手綱でっ」
「馬が向かないのなら向くまでやって下さい」
「あと、手綱が長いです。内方の押し手綱が背峰を越えてしまうというのは長い証拠だから」
ええん、やるべきことの整理がつかぬ。
わかったことは、肩から外側に逃げたり(←【アウグス】の得意技)
肩から内側に切れ込んでくる(←【アレフ】【ベル】の必殺ワザ)のではない感じ。
寝違えた時のように右側の首から肩が突っ張ってしまい向けられなくて苦しんでいるような雰囲気。
あれこれやって反応が返ってきたのは、内方脚で押し出したことと内方の開き手綱をかなり強引に広げた時。
馬の首をぐるりと回してストレッチするように動かして、終点が内方姿勢の位置になる。
わずかな握り加減や脚の推進でストンと内方姿勢が決まる場合もあるが、今日の【とら】ちゃんは寝違えた時のように自分から姿勢をとるのができないのかもしれないなあ、と考えてしまう。
内側を向いてくれたら、内方手綱は譲って「これでいいんだよ」と伝える。
緩めるとすぐ元に戻ってしまうけれど、こっち向けば必ず楽になるんだからねと伝える努力は続ける。
向いてくれるまでの時間は、最初より短くなってきたかなと感じられる。
■常歩の段階で「右内方姿勢を頑張ってとろうね」とやり取りを続けた成果か、
右手前の駈歩はちゃんと出してくれる。それだけで単純に嬉しい。
ただ、発進する時に私の姿勢が大きく崩れて拳が上がってしまう。
4%先生は「自覚ありますよね」とばかりに何もおっしゃらないが、自分で自分が情けない。
2、3歩で姿勢を立て直すのを【とら】ちゃんは待ってくれるので、どうにか駈歩が続く。
レッスンの内容は輪乗りで常歩ー速歩、速歩ー駈歩の移行。
【とら】ちゃんも座骨のリズムに反応してくれるので、すんなりと移行ができるのだが…
なにせ反撞が大きい。
駈歩から速歩に落ちる時には「どっひゃぁ〜」と跳び上がってしまうし、
速歩から常歩に落とすときもトントントントンとリズムが大きくて、上下動を押しつぶせず時間がかかってしまう。
反撞が大きい馬の座骨扶助って、移行するときの衝撃も大きい。
というわけで、家に帰ってからは風呂場のイスのみならず、どの椅子に腰掛けてもつらい。 
このままの調子でレッスンを続けていると、おしりの肉に穴があいてしまうかも。


549/550鞍目 絶対、座骨! [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-09-05(Wed) 初級クラス 通算549/550鞍目
■今年の秋刀魚はおいしい。
塩焼きを作ろうと買ってきた活きのいい魚を洗っていて、その手触りに「どこかで似たような感触が…」
レッスン後の馬洗いをしていて気がついた。
秋刀魚の薄い鱗を逆撫でする感触と馬の毛を逆立てながら洗い流す感触が同じなのだ。
バンと張った馬の腰を素手でわしゃわしゃ擦るのって、痒いところをぽりぽり掻いているような充実感がある。
■普段とは逆の西に向って進んでいる台風9号のせいで、ざあっと通り雨が降ったり雷が鳴ったり日が射したりと目まぐるしく変わる天気。
「蒸し暑い」というのが唯一変わらぬ特徴。
本日のお相手は【ムーン】1回限りのご縁でないところが嬉しい。
「よっしゃあ、がんばろ」とつぶやいたところで「何を頑張ればいいんじゃろ?」と自分につっこみを入れる。
「動け!そらっ!」と焦れば焦るほど馬の足を引っ張るのは目に見えている。
頑張らずに乗ることが肝要なのだ。
■4%先生が【ムーン】の下乗りをしているところを眺める。
ドリルのような反撞のはずの右手前駈歩が普通のパカランパカランのリズムになっている。
速歩だって、後肢がしっかり上がっている。
ふうむ、ダッチブレッドの【ムーン】はひとつの動きが大きいからリズムがゆっくりでもスピードが出ているのだ。
他の練習馬と同じつもりのリズムで走らせたら、彼には窮屈だろうなあ。
のっしのっしと雄大に乗れたら気持ちいいだろうなあ、と思う。
■ひと鞍目は【青雲】【とら】【ベルベット・シート】との中級初級合同レッスンで4騎部班。
【青雲】が先頭なので、今日は「渋滞しないように」と焦らずにすむ。
初級入門者がいるためか速歩までの運動で基本的な姿勢の練習になった。
身幅の大きい【ムーン】に乗って長時間の常歩をするとどうなるか?
「馬の動きに合わせて左右の脚を交互に使うように」という4%先生の言葉通り実行すると腿の付け根が重く痺れてくる。
毎日【ムーン】に乗って股関節の可動域を広げておかないと無理だ〜
というわけでふくらはぎを押し付ける方法は止めて、馬の歩みと共に脚を踏み下げる発想に変更。
馬と一緒に地面を踏みしめるように腰から脚一本全部を入れる。
【アウグス】騎乗時にたびたび経験するのだが、馬の後肢が大きく動いているとこの踏みしめる感覚がよく感じられる。
【ムーン】にも腰の上下動がでてくればこの方法で乗れるはずと、長鞭でぴちぴちと合図しながら元気のいい常歩をしてもらう。
苦し紛れの小細工なので一瞬しか続かないけれど、脚で蹴るより一歩毎に腰から鐙を踏み下げる方が馬がスムースに動いてくれる。
■軽速歩になると「もちぇさん、手綱を短くしっかり張って馬にハミをくわえてもらいましょう」と注意が飛ぶ。
ほえぇ、私は緊密にコンタクトをとる必要性がまだ身体にしみてわかっていないのだ。
「手綱を持つとスピードが落ちるようなら、脚でそうじゃないよと伝えればいいのだから」
このあたりのやり取りは新出単語(扶助)だ。
推進をしながら、ちょうどいい手綱ぐあいに絞っていく。
うう、気を抜くとすぐエンジンの回転数が落ちてくる。
「もうちょっとそばに来て」「もっと前に出てごらん」と語り続けるのだが、
その度に手綱をたぐったり脚じゃ足りなくて長鞭を使ったりと忙しい。
もっと静かに乗りたいのに、あっちこっち出たり引っ込んだりフラフラせずにはいられない。
「もちぇさん、手綱が緩んでくるなら脚を使って馬に引っ張っていってもらえばいいんですよ」
なるほど、頻繁に手綱をたぐったり持ち替える必要性はないんだなあ。
こんなことやっていたら、馬だってイライラしてくるだろうし…
長蹄跡で目一杯脚をつかって、ようやく一定のパワーがハミに出ている。
よっしゃあ!この感じ。
と、「はい、順次巻き乗り〜」
ようやく馬といい感じにつながってきたのに、違う運動をするとすべて瓦解する。
■「そのまま座って速歩しましょう」と号令。
【ムーン】が前に出てくれない限り、いつまでたっても手綱が緩んでコンタクトなしの騎乗になってしまう。
とは言うものの脚を入れ続けるには股関節の限界がきている。
やはり、ここは脚にこだわらず座骨だ!
タンタンタンタンのリズムに意識して乗る。
右後肢が前に踏み出す時は、右タン。
左後肢の時は、左タン。
【ムーン】は必死になって脚で押したり蹴ったりする時より、よっぽどスムースに動く。
「はい、常歩」の号令でちょっと背を起こしてリズムカウントを止めると馬もポトリと常歩に落ちる。
この馬はバランスとリズムで動いているのだ。
座骨を意識している時の方が100倍よく伝わる。

■駈歩の練習もしたいので【アレフ・ゼロ】にお相手を願って、ふた鞍目のレッスンをとる。
今度は【青雲】との2騎部班。
■輪乗りをメインとした移行の練習となる。
ベテランの【アレフ】なので座骨のリズムに合わせて、気持ちよく移行をしてくれる。
特に駈歩が楽しい。
駈歩が狙ったように出せるなんて、ありがたし。
駈歩中も姿勢や手綱のことを考えながら解放された気分でいられる。
目指すは、手綱が重くもなく緩くもない一定の張力を保てる状態なのだが、それはまだまだ遠い道のり。
■【アレフ】に乗るというと「暑い時に重い馬では大変でしょう」と声をかけられるのだが、座骨レッスンを受けてからの【アレフ】はまったく別馬。
よく動いてくれる。
あれだけ、拍車や脚でドカドカ蹴り付けていたのは何だったのか!

それにしても、お風呂の腰掛けに座るのがつらい… 
普段の生活に座骨はいらん!


548鞍目 鐙注意報 [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-09-03(Mon) 初級クラス 通算548鞍目
■新学期スタートの月曜日。
久しぶりに差し込んだ日差しは、透明な秋の光になっている。
【主席】の表情がはっとするほど生き生きしてきた。
「死の影は去れり」と胸をなでおろす。
■今日から45分間のみっちりレッスンになる。
私が【ベルベット・シート】、マダム@【毒うま】、元馬術部監督@【ムーン】での平日初級メンバーで3騎部班。
ごんちゃん先生に見ていただく。
■【ベル】は軽やかな肢運びで準備運動を終える。
「今日はいい子ですね」と意外そうに先生が評す。
日によって調子が変わる牝馬ということもあり、様子を見ながら乗っていたが、何時になく元気よく前に出てくれる。
ありがたいことである。
■ドレッサージュアリーナ全面を使って、輪乗り巻き乗り、3湾曲、斜め横足とフルに運動する。
速歩での運動は、反撞の小さい【ベル】ということもあって楽にこなせる。
とくに推進と手綱のバランスがつぼに嵌ると、宙に浮いているような抵抗のないすうーとした移動感が味わえて面白い。
方向を変えるとか次の運動に移るなどで霧散して、わずかな時間しか楽しめないのが残念。
■駈歩は「いよいよ来るか…」と構えてしまうが、発進も維持もできる。
程度が低いと言われようが、とにかく【ベル】の両手前で駈歩発進ができて蹄跡が周回できれば、万々歳。
それにしても、両方の鐙がはずれてしまうってどういうことだろう?
片方なら時々はずれてしまい、そのまま乗っているうちにはき直せるのだが、今日は両方はずれてしまった。
それだけ騎乗姿勢に問題ありってことなのだ。
平日初級メンバーの駈歩での要求される水準は、蹄跡周回から輪乗りや巻き乗りを随時入れるレベルなのだが、私は駈歩発進ができるとか蹄跡周回ができるレベル止まり。
輪乗りや巻き乗りは馬の愛情や偶然に頼っている。
標準的な練習馬で難なく巻き乗り駈歩ができるためには、駈歩時の姿勢や脚と手綱のバランスなどクリアすべき課題は多い。
この秋冬の目標にして、がんばろっ!
■レッスン後は、馬洗いとプチ散歩の至福の時間。
心置きなく、汚れているところをしっかりきれいにできるのは、気温が高い夏の間だけ。
すべての馬を洗うわけに行かないから、せめて乗せてもらった馬には恩返しをしたい。
プチ散歩で馬が無心に草をはんでいる様子を眺めていると、日常の雑事がすべて背景に小さく退いて、馬と草だけがこの世のすべてに思えてくる。
贅沢な時間を過ごさせてもらっている。


546/547鞍目 夏の終わり [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-31(Fri) 初級クラス 通算546/547鞍目
■今日でサマータイムが終了。
明日からは、短縮されたレッスン時間が30分から45分に、10:30〜15:00の休馬時間が11:30〜13:45の昼休みに戻る。
今回の夏時間は、7月が涼しかったので「30分じゃ物足りない」の声もあったが、さすがに酷暑となった8月は「限界に挑戦するつもりで乗る」レッスンだった。
■06年の夏は、障害レッスンに出るなど『バランス養成概論演習』(←勝手に命名)を受講。
そして今年は『バランスの上に成り立つ扶助基礎演習』とでも言える内容。
日々の練習では、できたりできなかったりと変動が激しく歯が立たない馬もいて落ち込んだりしたが、それでも楽しかった。
バランスがとれないうちは何をやっても馬の上で暴れているだけで「先生、次は何をしたらいいのですか?」と馬ではなく教官の方に心も耳も向いている。
それが安定して乗れるようになってくると、先生の「今日はこうしてみて」という提案に基づいて、馬と人が「わかる?」「わかる!」と繊細で豊かなコミュニケーションができるようになるのだ。
こんな時の教官は、見守りと生じている現象の解説だけになる。
地上から見ているだけで騎乗者と馬の間に何が起きているのか理解できるなんて、すごい能力だと思う。

■本日のひと鞍目は【アレフ・ゼロ】のお世話になる。
マダム@【時鮭】、元馬術部監督@【アウグスティヌス】といつもの平日初級メンバーの3騎部班。
馬の搭載エンジン排気量から言えば、【アレフ】は部班の最後尾を務めるはずなのに今日も先頭になる。
先頭を仰せつかる栄誉に感謝しつつ「遅くてごめんなさーい!」と必死で馬に脚を入れる。
動かないのではないのだが、若くて排気量の大きい馬たちが渋滞する雰囲気に押されてしまう。
「慌てて馬上で人が暴れてしまえばかえって馬が動けなくなる」
「静かに決然と乗らなくては」と自分に言い聞かせながら、速歩は汗だくになる。
■運動の内容は、2課目経路を思い出させる斜めに手前を換えから3湾曲、輪乗りなどを速歩駈歩を取り混ぜて行う。
さらに、常歩で歩度を伸ばす練習もする。
「まずは詰めて」
「それから手綱を少し楽にして前に出す」と4%先生の指示があるが、
【アレフ】には、しっかり歩いてもらうことがすべて。
「もちぇさん、脚が動き過ぎです」と注意されるが、必死に脚をいれていると静かにしていることができない。
「もうちょっと手綱も短くできるはず」
ううっ、焦らずに馬が気持ちよく動けるようにしなくては…
推進して、手綱をとって、あせらずどっしりと…
「馬の後肢に乗っているつもりで」
後ろ肢の動きに集中してみると、ずんわずんわと自分の腰もうごいている。
そんな中で一瞬すうぅとスケートで滑るような動きが味わえる。
自分だけ前に行ってはいけないのだ。
■ひたすら「遅くならないで」とアクセルを踏み続けたひと鞍だったが、駈歩の乗り心地はよかった。
さすが【アレフ】爺だけのことはある。

■ふた鞍目は【アウグスティヌス】にお相手を願う。
今度は【毒うま】君との2騎部班になる。
■【アウグス】は2鞍目の仕事になるので、最初からしっかり動いてくれる。
後肢を大きく動かしてくれる常歩は、脚を伸ばして鐙を踏み込んだ状態が自然に保てる。
馬に「もっと歩け」と要求し続けてしまう【アレフ】の時とは、全く違う。
■内側を向きたがらず首を上げてしまう【アウグス】に、輪乗りで内方姿勢を要求する。
外側の手綱を意識して持つことと内側を向いてくれたら内方手綱を緩めることに気をつける。
「ねえ、そんなに外側に逃げないで内側向いてごらん」とかなり強引に内側に向ける。
向いたら手綱の握りを緩めて楽にしてみる。
1歩2歩は、内側向いて首もさがっているが、再び違う方に向きたがる。
この違う方に向き出した瞬間に「違うよ」と手綱でくっと伝えられれば、大きく崩れることはないのだが、この瞬間を逃してしまうと首も上がって最初からやり直しになる。
【アウグス】とのやり取りはとてもわかり易いので、4%先生が部班の他メンバーの指導にかかりっきりになっている時でも、人馬のペアだけでいろいろ試してみることができる。
■「じゃあ、次は速歩にしましょう」
「まずは根を下ろしたようにどっしり自分の体重をかけて準備して」と指示が出る。
速歩にする前に〈どっしり根を下ろしたように〉と表現するのを奇異に感じていたのだが、その謎がとけた。
「体重をかけて、それに馬が反応しているかよく見て下さい」
「馬が次に何をやるのかと指示を待っている状態になっているのを確認してから、速歩の合図ですよ」
ふむふむ、ハーフホルトのことだったんだ。
馬の準備完了を見極めてから次の扶助を出すって、改めて言われないと見過ごしてしまう。
■輪乗り駈歩では、前に馬がいたせいか、いきなりテンションが上がる【アウグス】
(広い馬場でこれをやられると"競馬"になってしまう…)
「馬間を空けましょう」
「もちぇさん、後ろに乗って」という4%先生の声。
言われた通りグンと後ろに重心をかけると、やわらかな反撞に変わる。
「これなら乗りやすい、大丈夫」と感じられる。
それにしても【アウグス】の腰から後肢のサスペンションって、次元が違う。
これだけすごいのに、乗り心地のいい馬という評判がたたないのはどうしてだろう。
同じクラブで同じ馬に乗っていても、乗り味の良さを分かち合う人がいなくて寂しい。
■いったん「これならいける」と思えると、
駈歩がざわついても落ち着いていられる私。
これまで駈歩発進の扶助を送ってすぐに駈歩が出ないと「あれっ?どうして?」と姿勢を崩してしまっていたのだった。
それが、そのまま乗っていると2歩も3歩も遅れて駈歩を出す【アウグス】
「あれぇ、駈歩出す気があったんだ…」と驚く。
「それをこれまで待てなかったということなのか?」
馬の後ろで待っていれば駈歩出してくれたはずなのに、つい姿勢を崩して前傾し、駈歩を出し難くしていたということかも。
これまで散々言われてきたが、実体験として納得する。
■「もちぇさん、内方脚は前で使って」
「脚位置の違いが伝わらないと止まっちゃいますよ」
「拳が上がってこないよう、自分の視界に入らないようにね」
きゃぴ〜、いつもの駈歩注意連発だ〜
サマーシーズン中、駈歩についてはほとんど何もいわれずにいたので「ようやく駈歩を本題として扱ってもらえるぞ」と嬉しくなる。
4%先生は「まずは常歩速歩でできるようになってからです」と基礎固めの重要性を説く。
地味な運動の繰り返しで自分が今何を学ぶべきなのかをわかっていないと、ただ馬を走らせて終わりになってしまう。
この暑い中、先生や馬たちが必死で伝えようとしてくれたことを私は受け取れたのだろうか?
〈夏の終わり〉の切ない気分になる。


544/545鞍目 到達度テスト [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-30(Thu) 初級クラス 通算544/545鞍目
■ああ、楽になった。
最高気温が24℃だ。
馬繋所にずらりと並ぶ馬たち。
クラブにいらっしゃる人も増えて活気が出てくる。
■8月の初めに体調を崩し何度も死線をさまよった【主席】は、放牧に出してもらえるようになった。
苦しんだせいで身体中傷だらけになり、がりがりに痩せて骨が目立つけれど、それでも独特の精気を発している。
愛すべき大動物が老い病み衰えていくさまを身近にするのはつらい。
しかし、スタッフや会員の方々が看病し見守り祈る姿に救われもする。
「自分のことを心配してくれる」「決してひとりではない」と馬が感じられる環境は、まわり回って会員にも穏やかな気持ちを運んでくれる。
〈人が馬を愛するように馬も人を愛している〉ってJRAのブランド広告だったが、本当にそんなことがありそうに思える。

■本日ひと鞍目は【ムーン】
乗り心地はメルセデスのようで、お気に入りの部類に入る。
いかんせん、サイズが大きくて自分の鞍が乗せられないとか、騎乗機会が稀だから慣れるまでに多少時間がかかるなどの些末な理由で、乗る楽しみの半分が減ってしまう。
なんとも乗りこなせない馬なのだが、乗るなら徹底して乗り続けてみたいと思う。
■【とら】【毒うま】【山桜】との4騎部班で4%先生の合同レッスン
準備運動の常歩で、昨日の〈後ろ振り向き巻き乗り〉をやってみる。
びっくり、ちゃんと巻き乗りできる。
速歩までは軽快に進む。
【ヴィーヴロワ】並みにバランスに敏感でほとんど手綱に頼らなくても、曲がったり止まったりしてくれる。
手綱を軽く握っているだけにしていると、
「肘を引いて手綱をしっかり張りましょう」
「それで馬が止まるようなら、違うんだよと脚を使えばいいから」
あらら、また手綱ゆるゆる系になっているのかしらんと心配になると、
「馬にハミをとってもらいましょう」と4%先生のお言葉。
なるほど、確かにハミの手応えがほとんどないままだった。
つい「口が敏感な馬だから」とふんわり手綱にしていた。
脚を使いつつ馬がハミをぐっと取ってくれる感触を求める。
こんな感じかな? 70%ぐらいの出来だったかも。
なんとか速歩パートは形になった。
■しかし、駈歩はやっぱり出せなかった。
左手前は首をぐっと持っていかれて、そのままつんのめる。
右手前は駈歩になっているはずなのだが、道路工事のドリルを握っているようなダダダダという反撞に「えっ?」と驚いて終わり。
4%先生の「この馬はちょっと難しいですから」のフォローに納得はするものの、それでもちゃんと駈歩に乗っている人もいるのだ。
どうやったら駈歩ができるようになるんだろう?
これまで何度か【ムーン】を配馬されているが、上手く乗れなくて「まだまだ無理ですね〜」と1回乗ってそれっきりになるばかり。
到達度テストを受けて今だ基準点に達せずと言われているようなものだ。
くやしいけれど、これが私の実力なんだろうな。

■ふた鞍目は「ぜひ乗せて下さい」と【山桜】に乗せてもらう。
このまま駈歩しないでは寝覚めが悪い。
【霧丸】【アレフ・ゼロ】【毒うま】との4騎部班になる。
全員が初級なので、変則軽速歩を中心としたバランスレッスンになる。
■ひさしぶり【山桜】は、ちょっとだけやつれたような感じがする。
暑い中でも頑張って鞍数の多い仕事をこなしてきただけに、疲れがでているのか。
それでも、真面目に動いてくれるところが偉い。
ネックストレッチをかけると首がさがってしまう。
もう少し首をあげてごらんと脚を使って手綱をたぐり寄せるのだが、
「あとひとつ半、手綱を短くできるはず」と4%先生に看破されてしまう。
うう、詰めが甘いのが私の欠点だ。
自分の中でも「よしっ」と言えない状態なのに「このくらいでいいかな」となあなあで済ませてしまっている。
■おかげさまで駈歩は気持ちよくできた。
駈歩と速歩の移行もリズムとバランスを焦点にして練習できる。
時には【山桜】に乗せてもらって、気分よくレッスンを終えるのもいいものだ。
■部班のメンバーは私の苦手な【毒うま】や【霧丸】に普通に乗っている。
何がどう違うのだろう?
どんな乗り方をするとああも楽々と駈歩ができるのだろう?
苦手な馬を乗りこなしている人に興味が出てきた。


543鞍目 パーツの統合 [第13章 初級手綱の感触編]

 2007-08-29(Wed) 初級クラス 通算543鞍目
■ようやく涼しくなった。
太平洋高気圧と大陸からの高気圧、それにはさまれる前線。
今夏ほど、ご当地アメダスと天気図を頻繁にチェックしたことはなかった。
前線が南下して涼しい空気に入れ替わるのを肌で感じる。
【主席】も「ぶぶぶぶっ」と大きな声で黒砂糖をねだるようになった。
よかった、よかった。
■本日は【時鮭】なり。
この馬は栗毛のはずなのだが、細かく白い毛がまじっている。
服の色ならヘザーって表現するのだろうか? 趣味の良い柄である。
ブラシがけをするたびに「どことなくブリティッシュなんだよねえ」とつぶやいてしまう。
■今回も4%先生による基礎レッスン
座骨扶助、肘の位置ときて〈回転時の姿勢〉とあいなった。
「馬の(反対側の)腰に手を置くくらいに後ろを向きましょう」
顔も肩も胴体もすべてねじる。
鞍に跨がったままだから上半身だけの動きになる。
うくくく… リブケージがみしみし音をたてているじゃないですか。
「手綱をとってもう一度その姿勢をとってみましょうか」
「馬は巻き乗りするはずですよ」
常歩でまっすぐ乗っている体勢から、ぎゅいいと後ろに振り向く。
肋骨がきしむが頑張って後ろを向き続ける。
と、いびつながらも巻き乗りする【時鮭】
「手綱は、身体の向きに合わせて自然に回転する扶助になるんです」
「そして脚も内側が前に出て外側が後ろに下がっているでしょう」
「ちょうど腰から上下が反対の向きにねじったようになりますね」
あらっ、本当だ。
〈内方脚を前で使う〉とか〈外方脚を引いて〉と意識しなくても、馬からずり落ちずに振り向こうとすれば自然に下半身はそういう体勢になっている。
「回転の時の脚は今のように使えばいいんです」
■今度は速歩の輪乗り。
「巻き乗りの時ほど極端に後ろに向かなくてもいいです」
「回転の大きさに合わせて身体の向きをとって下さい」
だんだんコツがつかめてくる。
腰が安定して鞍に座っていられると、騎乗者の身体を回転の方向に向けるだけで馬は曲がってくれる。
〈手綱を引くとか開くとか〉〈脚を前とか後ろにとか〉なんて、パーツをバラバラに使う必要はない。
これまで教官の指示で「〜して」と個々の動きに焦点をあててきたが、いまやっていることはすべてのパーツの再統合。
〈あれとこれとそれをそれぞれ動かして〉いるのだが、意識するのは「あっちに行きたい」という単純なこと。
いや、常に意識しなくてはいけないのは馬の上に安定して座っていることだけなのかも。
特に私は、膝が上がってきやすいので「膝の後ろを伸ばして鐙をまっすぐ踏みこむこと」を意識し続けないとだめだろう。
■駈歩は楽しく乗れたのだが、右手前の乗り心地がいまひとつ。
内側に倒れ込んできやすい【時鮭】なので、私の姿勢がとんでもなく変な形に崩れてしまう。
「内側の手綱と脚で押し出すように支えてあげるといいですよ」と4%先生にアドバイスをいただく。
駈歩で難しいことをするのはあと100鞍くらいかかりそうだが、駆歩しながら微調整できるようこれからも精進しよう。


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