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632/633鞍目 馬の鬣に降る雪 [第15章]

 2008-02-06(Wed) 初級クラス 通算632/633鞍目
■雪が降る。
灰色の世界にみぞれまじりの雪が落ちてくる。
馬場はぐちゃぐちゃ。
氷水に浸されたような世界。
なのに、
「乗れなくても馬にニンジンをやるだけでいいからと思って」とクラブに来る方。
この方とは直前のランチをキャンセルしていたのだ。
「今日は雪で道路が心配だから止めときましょう」とのメールだったのに。
クラブで顔を合わせて苦笑い。
やっぱり会食は諦めても、馬には会いに来るんですね…
■重症の馬中毒患者2人でレッスンを受ける。
私は【山桜】に乗り、相方は【青雲】
鹿毛馬のたてがみに雪が舞い降りる。
ざっくりとした毛束に白く半透明な氷の寄せ集め。
しばし留まり、やがて見えなくなる。
冷気だけが降り積もって行く。
■4%先生の御指導を賜る。
「推進は十分なので、速くしない。」
「後肢からの力を前でしっかり持ってください。」
「それがハミ受けにつながりますから。」
■【山桜】の駆歩はすぽーんと上にあがる走り方なので、馬場がドロドロでも安定感がある。
「競技会では、速歩は速く、駈歩はゆっくりと言います。」と聞かされると、
こんなすぽーんとした駆歩でもいいんだなと安心する。

■ふた鞍目は【アウグスティヌス】【ベルベットシート】との合同レッスン。
牡馬と牝馬。
かなり気が散るらしい【アウグス】
まあ、それもあり。
広い馬場の左右に分かれて、それぞれ練習。
■今日の課題は、すんなりと出ない右手前駆歩発進。
「馬が駈歩をだそうとする気持ちになるよう。」
「馬の見ている先、出そうと力をためている雰囲気にのせて」とアドバイスをもらう。
馬の見ている先に神経を使って、扶助を出す。
ビギナークラスの頃の「もっと強く蹴って、もっと!」と言われていた扶助の出し方とは正反対。
「今度はこっちだよ、こっち、わかる、そう!」とくすぐるようなわずかな合図ですっと駆歩が出る。
「スイッチがあって馬が動いているわけではないのですから」という4%先生の言葉がストンと胸に落ちる。

■こういう馬とのコミュニケーションの仕方は、マニュアルには書きようがない。
かつて乗馬の入門書には、「こうします」という理想型は書かれていても「どのように身につけるか」というプロセスはなく、ただ騎乗数を多くするべしとしか書いていないことに不満をもっていた。

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631鞍目 [第15章]

 2008-02-02(Sat) 初級クラス 通算631鞍目
■【チャンドラ・グプタ】
ごんちゃん先生。
【山桜】【霧丸】の3騎部班。
■右手前の駈歩。
まずは内側の手綱で規制してから、発進扶助。
上手く右手前が出る。
きもちのいい速歩。
「絶対踵をあてないで」と注意する先生。


629/630鞍目 詰めれば伸ばせます [第15章]

 2008-02-01 初級クラス 通算629/630鞍目
■部署が変わって体重が激増したのが悩みの種なのだが、それ以外にも多々不便になった。
「また明日があるさ」と鷹揚でいられなくなったので、馬場の凍結とか冷たい雨の予報に心底ガックリくる。
「この日を逃すとあと1週間は乗れない」となると予約を取るのもエゴむき出し。
早い者勝ちとばかりに次の週の枠にも手を伸ばす。
「なんだか節操がないなあ、他にも限られた日しか乗れない人がいるというのに…」と一日の終わりに反省しきり。
そんな切羽詰まった気持ちを慮ってか、先月は愛馬【山桜】を配馬してもらうことが多かった。
ありがたいことである。
■「3月の終わりに県の競技会があるんですよ」
4%先生がレッスンに来ている人皆に声をかけていた。
あの競技会デビューから、はや1年になろうとしているのだ。
「もちぇさんは、どうします?」とご下問があった。
1年の成長度合いを客観的に判定してもらういい機会かもしれない。
〈歩度伸びず、前進気勢の不足、騎乗者の姿勢不良、駈歩がビハインド〉など、前回の課題は山積み。
しかし、7週間あるといってもクラブに来られる日数は限られている。
練習が間に合うんだろうか?
ちゃんと仕事の休みが取れるのだろうか? 
今年は馬インフルの影響でエントリー数が多く、各競技会で出場制限がかかっているらしい。
など不安材料には事欠かない。

■ひと鞍目は【アウグスティヌス】
4%先生のご指導で【霧丸】【青雲】との合同クラス。
■【アウグス】は珍しく部班の先頭を仰せつかるが、これまた滅多にないくらい重い。
準備運動の最初からネックストレッチをつけられたせいなのか。
息が切れて、涙がこぼれてくる。
あのズンワズンワ進む【アウグス】はどこに行った?
「拍車に頼らないで」
「踵ではなく踝を当てるようにしましょう」
「ふくらはぎで圧迫して下さいね」といつになく強調する先生。
「もちぇさんは膝が上がってくるから、ニーパットより膝が前に出ないようしましょうね」
動かない馬に苦労している時は、いつもこう注意される。
■巻き乗りなど他の馬の姿が近くにくると、いきなり後退し始める【アウグス】
「手綱を譲って!」「前持たない!」と強い調子で指示を出す4%先生。
「ドンと蹴って叱って下さい」「馬を前に出して」の声を待たずに
「そんなことしちゃダメ!」と強く蹴っている私。
「納得いかん!」と跳ねようとする【アウグス】に先生と私のMax怒声「お"ら」がステレオサウンドで響く。
以前のように「この馬怖い、いやだ」という感覚がなくなって、
「ご納得いただけるまでいくらでもおつきあいしますよ」という心のゆとりは十分にある。
結局は、力まかせに叱りつけることより、反抗に動じない太っ腹かげんが馬には通じるのだと思う。
■一件落着したあとは、だんだんとスムースになってくる。
「もちぇさん、あともうひとつ分手綱短くしてね」と注文がつく。
動かない馬に乗っている時には、何をしたって手綱は短くできませんから。と苦笑い。
■【アグネス】の駈歩は、だんだんとその中身が感じ取れるようになってきた。
倒れ込んでくる右手前の駈歩。
「右側で支えて」という先生の声が、右脚で馬体を支える実感として感じられる。
網焼きの魚を菜箸で裏返すように「よいしょっ」と立て起こすようにして、その後の馬体を左脚と左手綱で受け止める感じ。
真直ぐになるとすううと前に出る駈歩になる。
私自身は気持ちよく長蹄跡を駈け抜けていくのだが、
「そこで速くさせないで」と前に伸びるのを警戒する4%先生。
■駈歩の後の速歩は、いつもの柔らかい極上の乗り味。
手綱もマーク2と3の間を普通に持てる。
レッスン後の講評で「馬が後半よく丸まってきましたね」と言われる。

■ふた鞍目は【山桜】
今度は中級クラスの方が【アウグス】に乗る。
■馬装準備をしているところに、折り返し手綱をもって4%先生がやってくる。
「今日は折り返しつけましょう」
え〜?【山桜】に折り返しですか? 素直ないい子に折り返しつける必要があるんかいな?
競技会の準備でもないのに、手綱の本数が増えて面倒だな〜 と内心の声。
馬の首にくるんと巻いて「やり方覚えてますか」と言われると、
「急いで過去の記憶にアクセスします!」と俄然やる気になる私。
ええと、腹帯に手綱の端の輪を通して、ハミ環の内側から外側に通して、よじれないように、手綱をくぐらないように、ええと…
馬装完了前に先生が再び現れて、点検。
「はい、これでいいです」
必ずフォローが入るから、4%先生の指導には信頼を寄せられる。
■久しぶりの折り返しに拳の中身が煩雑で、感覚が混乱する。
せっかく手綱のピッチマークを数えて長さを調整したり、張力の微妙な違いを味わっているのに、ごわっと固い折り返しの感触が邪魔をしてくる。
手綱4本をさばいて、それぞれの感触、握り、長さを調整するのにかなり時間がかかる。
伏せ拳にした時に外側(小指/薬指間)が手綱、内側(薬指/中指間)が折り返しだったはず…
普段なら元気のいい常歩をしながら、脚への反応とか馬体の柔らかさとかいろいろやりとりをしているのに、今日はうわずって座っているだけで、神経のほとんどが拳に集中。
【山桜】だからよかったのかも。
【アウグス】だったら、騎乗者がお留守になる隙をついて真直ぐに歩いてくれなかっただろう。
■本格的に動く前に「折り返しの調整の仕方のおさらいをしておきましょう」と4%先生のプチ実演。
「折り返しだけを緩める時は、親指側から出ている分を握りの中に戻すように、反対の手で押し込むようにして下さい」
「折り返しと手綱を両方短くする時は、まとめて取りに行ってそれから調整」
「手綱だけを緩める時は、小指と薬指とで送り出すようにできますか」
止まっている時にやると難しいのだが、実際に動いている時は手綱の反対を馬が引っ張っていてくれるので、楽にできる。
原理は、折り返しの長さは人間しか調整できないが、手綱は馬と人が両端につながっているのでそれぞれの意図で調整できるのだ。
だから、最初同じ長さで持っていても、知らずに手綱が伸びてくれば相対的に折り返しがきつくなるって寸法。
いい子の【山桜】に乗る時は、折り返しが緩くなっている(腹帯とハミ環の間が少し弛む)かを常に気にしておく。
最初はあれこれ気にしながら乗っていたが、だんだん馴染んでくる。
駈歩での輪乗りや斜めに手前を換えなどとやっているうちに4本の手綱を持っているなんてすっかり忘れてしまう。
■「じゃあ、今日は歩度の詰め伸ばしをやりましょう」
「歩度を伸ばすというのは、詰めることができればその規制を外すことで歩度が伸びます」
「十分に推進をして馬のエンジンの回転数を上げて、でも前に行かないでと手綱でせき止めていると、馬は上に上がるしかなくなります、それが歩度が詰まった状態なんです」
「蹄跡では歩度をつめて、斜めに手前を換えで歩度を伸ばしましょう」
「速歩の推進は、バンバン強く脚を当てるよりも、ふくらはぎのあたる時間を心持ち長くするのだと考えましょう」
えぇ? これまで速歩のリズムのあわせて両脚でトントントントンと馬のお腹を叩けと言っていたはず。
叩くではなく、押し付けるにランクアップですか。
確かに、叩くためには脚の振り幅が必要で、左右に脚を振り上げる余分な力と時間がかかっていた。
馬体にふくらはぎをあてる時間を長くするほうが、余分な力がいらないしタイムラグもない。
しっかり動く【山桜】の速歩に乗っていると、膝下の内側から内踝にかけて馬体の温かさを感じとれる。
ふくらはぎでのホールドができていると、自然と膝は開いて、踝から下の踵回りは馬から離れて宙に置いておく感じになる。
膝が緩んでふくらはぎが生きてくる感触だ。
斜めに手前を換える前の短蹄跡では、かなり脚を強く使う。
その分「おりゃあ」と気合いを込めて手綱を握る。
手前を換えて馬体が真直ぐになったら「まず、トンと脚を使いましょう」
「それから前の緩めて」
経路を知っている【山桜】だから、ダンダンダンダンと大きな速歩がでる。
ありゃ〜、跳ねちゃって座れなくなる。途中でずり落ちそうになる。
スプリングと同じでグンと縮めておくと、跳び出すように歩度が伸びるのだ。
楽しいなあ、変幻自在ではないか。
■折り返し手綱をつかっているためか、いつになく乗り心地がよく、しかも歩度を縮めることもできた。
レッスン終了後に「速歩の途中などに折り返し調整するよう注文を出しましたけれど、大体できますよね」「大丈夫そうですね」と4%先生。
今日は、折り返しの使い方を覚えていたかどうかの抜き打ちテストの日だったのだろうか。
馬が良ければ何をつけても大丈夫ということなのだ。
後からスタッフに「もちぇさんは【山桜】に乗っている時は、幸せそうですね」と言われる。
そう、この世の幸せを味わせてもらっている。
駈歩恐怖にひきつって騎乗していた時期もあるのだから、ウソみたいな話だ。




627/628鞍目 パズルがはまるように [第15章]

 2008-01-30(Wed) 初級クラス 通算627/628鞍目
■ひと鞍目は【山桜】
【青雲】と合同クラス。
4%先生のご指導を賜る。
■わが愛馬【山桜】なので、あれこれ悩まされることなく起動が可能。
〈元気よく推進して手綱でコンタクトをとる〉を目指す。
馬が動いてそれが手綱の感触にまでつながらないと、前後左右に自由に動けないということが身にしみてわかる。
というより、これまでよくも手綱がスカスカのままで動かそうとしていたなぁと思う。
クラッチのつながっていない車で走っているようなものなのだから。
■手綱を短くもって、外側の手綱に常に張力がかかるよう神経を使う。
そこに4%先生の声、
「手綱は3つ目を持ちましょう」
「今は、薬指が3つ目のマークのところにきていますが」
「動かすうちに親指と人差し指でマークをはさめるようにね」
ほえ〜、そうきたか…
普通に乗っていると、マーク4と3の間を持つ長さに落ち着く。
そこを努力して短めに持っているつもりなのだが、さらに短くとの仰せ。
もっと【山桜】に動いてもらわなければ。
■〈手綱マーク3を死守〉とばかりに、腕が伸びても手綱を握っている場所は動かさない。
馬に持っていかれないようにするには、腹筋背筋総動員。
スピードは充分でも馬エンジンの回転数を更にあげなければならないので、脚も必要。
見た目には身体を動かしていないけれど、筋肉は等尺運動を強いられる。
くう、もっと力が欲しい〜
時に「ふうぅ」と【山桜】が前に出る。
「どしたの?」と馬に尋ねる。
長鞭の先が馬の腰に触れた感触が手に伝わる。
「えっ?これだけでわかるの?」
お恥ずかしながら、これまで長鞭を使ってきて、腰に触れただけで馬が反応した経験はなかった。
いや、長鞭の先がどこにあたっていたかすらわからなかったのだ。
動かない馬を叱りつける意味で力まかせに叩いていたのが現状。
手首のほんの小さな動きで鞭の先が馬の腰に触れるためには、鞭を握る拳の位置がかなり限局されるのではなかろうか。
これまで鞭を振っても馬にあたっている感触なんてなかったのに。
不思議だ、パズルが次々はまるように〈あるべき姿〉が生じる。
■まだ少し自分の姿勢が前にもっていかれているが、鏡で見ると馬の鼻梁は真直ぐになっているし、「これでいいかなあ」と判然としないままいると、
「馬の首をもう少し起こして乗りましょう」と4%先生から声がかかる。
首を起こせなんて、初めて聞くリクエストだ。
やっぱり、もう少し近くに来てもらわなければ。
「脚で推進して起こしてあげて」
たしかにこの位置で乗る方がバランスが起きて、停止や回転が楽な気がする。
しかし推進のための等尺運動。静かなる激闘である。
■回転も駈歩発進もすべて外方を基準とする。
「駈歩」の号令を聞いたら、まず外方の手綱にテンションがかかっているかを確認する。
4%先生は「内方姿勢をとらせて」と表現するが、内方を引っ張って内側を向かせるイメージを持つと逆のことが起る。
内方をあえて譲ってあげる方がかえって外側にがっちりコンタクトが取れるような気がする。
そうやって駈歩をだすとスポンと上にあがるような駈歩になる。
【山桜】との駈歩は山型乗りの練習をしてからというもの、前に進みながら左右に動かすのもできるようになってきた。
「隅角をもっと深く」とか「斜めに手前を換え」という号令に勢いまかせではなく、かなり意図的に操作できる。
特に斜めに手前を換えなどの小さな回転は、あえて内方を譲ると強烈に外方の規制が効くという感触を得る。
ううむ、「外方が緩むから内方がきつくなる」と注意されてきたが、逆を言えば「内方を譲れれば外方を効かせられる」ということなのかもしれない。

■ふた鞍目は【アウグスティヌス】
駈歩クラスとの合同レッスン。
調子がよくて右回りが苦手なことをすっかりわすれていた。

■駈歩輪乗りから巻き乗りへが途中でビタ止まりされてしまう。
がっくり…

続きは後ほど


626鞍目 [第15章]

 2008-01-27(San) 初級クラス 通算626鞍目
■今週は日曜日も乗る。
冷え込みは厳しいが、日差しが降り注いで気持ちのいい冬の休日。
そんな日はクラブにやってくる会員の数も多い。
静養中の馬がいるので人気のある馬たちは一日5鞍をこなしている。
これまでは、騎乗者が集中すると馬が過重労働になるからと休日に騎乗することは避けてきたけれど、平日に乗れないのでは、そうも言っていられない。
あーあ、「馬たちがかわいそうだから」なんて結局センチメンタリズムでしかなかった。
「乗りたい」という自分の欲求が優先してしまっている。
結局、自己中心的な発想で行動する輩のひとりに過ぎなかった自分。
■今朝の最低気温は−5.3℃だったが、馬場は凍りつくことなく朝一番のレッスンは無事開催。
私は【ベルベット・シート】の背を借りる。
【山桜】と【チャンドラ・グプタ】の昨日と同じ組み合わせの3騎部班。
うーん、今日も同時駈歩は難しそうだなあ。
■障害アリーナは、連日のハローがけで隅々まで整備されている。
これまで砂が深かったり轍が残されたままのラフなアリーナで運動していたのに較べると、非常に気分がいい。
早朝から整備のために働くスタッフの苦労がうかがわれるが、利用者にとっては、凍結という災いが転じて馬場のコンディションが良くなる福をもたらしくれた。
■最初というのはどの馬も身体を動かすのが大変なのだろうか?
あの【山桜】でさえ、どんよりくねくねと運動している。
こうなると馬を気持ちよく前に動かすために細心の注意を払わなければと、気持ちを引き締める。
部班の馬が揃って馬装点検が終わるまでは4%先生が特に指示をすることはないが、ただ漫然と常歩しているわけにはいかない。
馬の動きを邪魔しないように後肢の運びにあわせて座る。
もっと動けと馬を無視して勝手なタイミングで扶助をだすと馬のやる気を削いでしまう。
ブランコの背を押してやるように馬の動きにあわせて「そうそう、そこをもうちょっと」と押してあげる。
【ベル】がリラックスしてすうと前に出たときには「いいねえ」「すばらしいねえ」と声を出してほめる。
何かに気を取られて肢運びが鈍くなったときには、舌鼓で注意喚起、それでもダメなら脚でトン。
女の子の【ベル】は、こんな自主性を尊重したほめて伸ばす扶助にはしっかり応えてくれる。
時に右の内側に切れ込もうとするけれど、手綱でこねこねしない。
拳を揃えて、内側から押しながら外の手綱をしっかり持つ。
ちょっとでも内に張り出した肩を引っ込めたら脚をゆるめて、押し手綱に使っていた内側の拳も緩める。
なんだかね、内方拳を緩めるのは内方姿勢の天才と呼ばれる【ベル】にとって絶大な影響力がある。
内側向いたら緩める、回転に入ったら緩める、駈歩発進前に緩めるetc.
速歩の運動は、驚くほど滑らかに動いてくれる。
■駈歩はやはり前後を気にして同時に走ることができない。
【ベル】が立ち止まって後ろ蹴りの準備をしている気配に頭を抱える。
速歩まではあれだけ集中していたのに、駈歩はダメだなあ。
「【ベル】は後ろにつかれるの気にするようなので、他の馬と別にやりましょう」と分割練習。
「手綱はもっと短く」
「内方の手綱をゆるめて」といつもの注意が飛ぶ。
■最後に2課目の並足から輪乗り駈歩を出すパート練習をやってみる。
発進の外方脚の扶助が強すぎるのか、ぶひっと跳び出すような駈歩になってしまう。
もっとふわっと発進させたいのにロケットダッシュになる。
内方姿勢がきちんととれていないのか、外方脚の扶助がガザツなのか、自分ではよく分からない。
■最後の講評で4%先生は
「馬は乗る人のバランスを映し出していますから」
やっぱりねえ。昔から【ベル】の速歩とは相性がよかったから。
反面、駈歩はいつもどこかに緊張感があって知らず知らずのうちに固くなってしまう。
「馬は敏感に感じ取りますよ」
言葉で表現できる意志とか意識の領域ではなくて、雰囲気とか無意識の部分が大きな影響を与えているんだろうなあ。
腰の据わった信頼の置けるリーダーの雰囲気って、あとどのくらい乗ったら身に付くのだろう。
先は長い。  


625鞍目 落ちることができない [第15章]

 2008-01-26(Sat) 初級クラス 通算625鞍目
■準備万端を整えまさに家を出ようとした時に、クラブから電話がかかってきた。
「馬場がカチカチに凍りついているので朝一番のレッスンができません」
「2時間目に振り替えて下さい」とのこと。
このクラブがオープンして4周年になるが、こんなこと今までにあったのだろうか?
今朝の最低気温は7時に−4.7℃。
水曜日の雨の後に寒波にみまわれるなど、諸条件が重なっているんだろうなあ。
■「すべてのクラスが障害アリーナでやりますよー」の声に、中級、初級、駈歩、ビギナーすべての会員が森の小径を抜けて馬と共に移動。
広いアリーナ全面にハローがかけてある。
横木で綺麗に区切って、それぞれのクラスの馬場がつくられている。
準備が大変だったろうなあ。スタッフのみなさんの頑張りに頭がさがる。
■本日のお相手も【山桜】
彼とは気心が知れているのでリラックスして乗れるのがありがたい。
初級は【チャンドラ・グプタ】と【ベルベット・シート】との3騎部班でごんちゃん先生にみてもらう。
冷え込んだ朝の最初のレッスンだから、なんとなく馬体が固い感じ。
部班先頭の【グプタ】などは真直ぐ歩かせるのにも苦労している様子である。
かなり上手なお嬢さんが騎乗しているのだが、馬を動かしてほぐしていくのは誰がやっても苦労するところなんだろうなあ。
■「じゃあ、駈歩」の号令にも散々もたつく先頭。
「【グプタ】は駆歩してほぐしてあげないと前進気勢がでませんからねえ」と声をかけているのが聞こえてくる。
真後ろに接近すると後ろ蹴りをするようになった【グプタ】を避けて、馬間を空けて常歩をする。
ううむ【山桜】でよかった。
他の馬なら駈歩を待たせているうちに前進気勢が衰えて発進困難になるのがオチなのだ。
■3頭同時駈歩にかなり無理が生じて、輪乗りで逃げたり蹄跡の内側を通ったりしているうちに【ベル】の後ろに付いてしまう。
「【ベル】に近づきすぎないで、蹴りますよ」と注意を受けた時には、既に後ろ蹴りの構えをする【ベル】のお尻が目に飛び込んできた。
うわ〜ん、そうだった。
接近して危険なのは【グプタ】だけではなくて【ベル】もだった。
と後悔先に立たず。
蹴りに驚いた【山桜】は反転して大きく逃げる。
私もバランスを崩して馬の首に乗ってしまう。
座骨もろとも鞍からはずれ体重の75%は左に落ちて、かろうじて馬の首につかまっている状態。
身体を鞍に引き上げようとするが踏ん張る所がない。
もしこれでもう一度馬が暴れたら、危険だなあと考えてしまう。
「もう落ちますね」と地面に落ちるつもりになるが…
落ちるためには腰より高い位置に右足を持ってこなくてはならない。
残念なことに右脚は鞍の向こうにあって腰よりも低い位置でしがみついている。
そうか跨がっている以上、くるぶしが腰よりも高い位置にこないと左右に落ちる事はできないんだ。
「まだ首に乗っているの〜重いんだけど〜」という【山桜】の心のつぶやきが聞こえてくる。
ええい、なんとかして身体を起こさなければ!
びったり左側の頸につけていた頭を必死に起こして、馬の右側につける。
頭を右下に落とすつもりで肩、腕、胸を右側に移動させる。
ようやく鞍の上に上半身が戻ってくる。
ふうぅ、時間がかかってしまった。
「いやはや、とんだ失態。お恥ずかしい所をお見せしました。」と赤面しきり。
■落ちなかったという安堵感もさることながら、くるぶしが腰より高くならない限り落ちないとわかってひとりおもしろがる。
地面に向って手を差し伸べ、頭を下げてむりやりズリ落ちる方法もあるけれど、それって「怖いから降りたい」という衝動に動かされてのこと。
馬の上に残りたい身体を起こしたいと思っているなら、かなりバランスを崩しても大丈夫らしい。
■後ろ蹴りに驚いての事件だっただけにドキドキもせず、そのままレッスンを継続。
なんだが図太くなったなあ。
いや、【山桜】なら大丈夫という安心感があるせいだ。
■駈歩は蹄跡行進と輪乗り。
隅角や輪乗りでは、ふたつ先のポイントに目を向ける。
かつて4%先生にしきりに注意されていたことなのが、今になってその必要性を実感する。
自分がどんなカーブを描きたいのか、それがわかっていないと馬を曲げていけない。
左手前駈歩だと、内方脚を押し付けて馬を外側に押し出していけることを実感。
それなのに右手前だと脚で馬を押せない。
「もちぇさん、右の内方脚をもっと前に!」とごんちゃん先生から声がかかる。
踵が上がって後ろに流れてしまう右脚。
まずは鐙を探って指の付け根で踏みつける。
駈歩のリズムに合わせてぐうーむぐうーむと踏み込む。
「そう、それで良くなりましたよ」とごんちゃん先生。
右の鐙を踏み込めるようになると、右脚が生き返る。
どうしてなんだろう? 
もしかして右に傾いて乗っているかも…
体重が左に落ちているかも…
とすれば、馬の外側の耳の先に進行方向を見るようにしようか。
真直ぐまん中に傾かずに乗るようにしなければ。
これまでにいろいろな先生に注意されてきたことが、一気に蘇る。
駈歩が怖くて乗るのが精一杯だった時には吹き過ぎる風の音に等しかったのに、今になってその時の先生方の口調そのままに聞こえてくる。
脚位置の左右の違いが馬に伝わるように。
内方脚をもっと前で使って。
外側の手綱を緩ませないで。
内方を拳をゆずって。
内側に人が倒れてこないで。
■一歩毎に馬の雰囲気が変わる。
前後左右のちょうどいいバランスの中心を探すように。
もっと後ろに。
持ちと押しを意識して。
ううむ、天秤ばかりにそっと重りをのせるような気持ちで前を持ってみる。
その分馬はもっと前へ。
ふわんと上に浮き上がったり、ずるっと前に滑り出したり、ぴたりと中心で安定しない。
「速歩〜」の号令。
今日はここまでか。
■気分爽快とか気持ちいいとかとは、ちょっと違う。
ひどく神経を使うけれど、ものすごく面白い作業だった。
■公道沿いのアリーナなので、馬が何頭も元気よく運動しているとかなり目立つらしい。
車を止めて埒沿いで見学している家族がいる。
近くを通り過ぎる時に挨拶をすると「かっこいいなあ」とおじいちゃんらしき人がしきりに感嘆している。
まさか、さっきの落馬未遂は見てないですよねえ。
心配になってしまった。


623/624鞍目 駈歩3湾曲お試し編 [第15章]

 2008-01-25(Fri) 初級クラス 通算623/624鞍目
■水曜日は氷雨にたたられてしまい、あえなく騎乗を断念。
このところ機会に恵まれていない。
■本格的に寒くなってきた今日この頃。
午前中は馬場がガチガチに凍りついていたらしい。
午後のレッスンでも日陰では固いままの場所があって、運動時には避けて通る。
本日のひと鞍目は【山桜】
ごんちゃん先生のひとりレッスン。
ドレッサージュアリーナを独り占め。
■【山桜】は午後からのお仕事シフトだったらしく、私が最初の運動担当になる。
「しっかり動かしてあげて下さいね」
最初は手綱を伸ばしたままのリラックスモードで常歩一周。
少しずつプレッシャーをかけてバイタルウォークまでもっていく。
そして軽速歩。
私が馬から跳び出したり遅れたりしないよう「一定のリズムで元気よく」と心がける。
駈歩まで流して、まだまだしっくりこない感じを残したまま本運動に入る。
■手綱は4番目から始めるけれど「3番目を定位置に持つべし」と脚と手綱のバランスを計る。
まずは、輪乗りから。
輪乗りを換えて、姿勢の入れ替えも。
内方姿勢は右手前の方が楽にできる【山桜】
左に向けるのにやや手こずる。
そして、速歩で3湾曲。
苦手な手前から得意な方へ換わる時は、あきらかに馬も人もほっとするのがありありと見て取れる。
馬が苦手なところを人が支えてあげるのは当然だとは思うが、人がその分苦しくなる。
苦しいから嫌だなあと抵抗感を持つのでなくて「まかせて!」と積極的にフォローに回れるようになるのはまだまだ修行が足りない。
練習馬の中でもっともオートマティクに運動してくれて、楽をさせてくれる【山桜】であるにもかかわらず、わずかな左右差に苦労してしまう今の自分の実力。
くうー、道のり遥かなり…
■今日もいつもの運動メニューだなあとタカをくくっていたら、赤いコーンが登場。
最初は何をするのかわからなかった。
「じゃあ、速歩で長蹄跡に入ったら(蹄跡の3m内側にある)このコーンの外側を通って蹄跡に戻りましょう」
これ山型乗りですよね。
「今度は駈歩で」
この間は背伸びをするつもりでちょっとかじったが、今日はひとりレッスンでこのメニューが入るのは、ちゃんと学べとのことなのだ。
まあ、わずかに長蹄跡の内側に入るだけなので追い越しをかけるつもりで楽に乗る。
「じゃあもう一度」
んん、短蹄跡から隅角を回り込んでコーンをとらえると、なんだかさらに内側に深くなっているような雰囲気。
あのコーンを回り込まなければと深く曲げると蹄跡に戻すのが大変。
蹄跡に戻りきらないうちに長蹄跡が終わってしまうので、やむなく急カーブをきって短蹄跡になだれ込む。
「うわ〜こんなに急回転の駈歩ができちゃったよ〜♪」と練習の意図とは違うところで感激してしまう。
「コーンを過ぎてから蹄跡に戻ろうと扶助を出すのではなくて、コーンを頂点としたカーブを走るイメージをえがいて下さいね」
「【山桜】には『大丈夫、そのまま走っていればいいから』と言いきかせながら駈歩のバランスを変えずに」と注文がつく。
逆の左手前の方が、あたふたせずに蹄跡に戻れる。
「そのまま、そのまま」
「コーンの脇を通るか通らないかのところで、外側手綱を心持ちしっかり張って内側の脚で押していってください」
「うーん、もちぇさんは左手前の方が上手ですね」
「右は内方脚が後ろに流れてきちゃうから、【山桜】はどっちが内方だったか確信が持てなくなって蹄跡まで帰れなくなっちゃうんですよ」
「じゃあ、また右手前でもう一度」
短蹄跡から隅角を曲がる所で、既にテンパってしまっている私。
しっかり深く隅角を回ることもできないまま、赤いコーンを目指す。
こうなると駈歩スラロームの風情。
ひょえ〜、次は右に行くつもりがすぐに左へ向わなくては、と、長蹄跡が終わってしまい、埒を避けるように右に急カーブを切る。
この最後のカーブはまるでその場で回転するかのような優雅な乗り心地。
【山桜】がぐぐっと縮まって、その場で足踏みするような雰囲気。
これまでならこんな急ガーブを切れば、馬と一緒に倒れ込みそうになるか、馬が首をあげてグギーと抵抗しながらむりやり曲がるかの野蛮な場面が必至だったのに。
先生の解説によれば、外側の手綱でしっかり支えているから馬は深い内方姿勢をとって急な回転も楽にできるのだそうな。
これが、外の支えがなければ、内側に倒れ込んできて最悪の時には人馬転になるか、はたまた急に内側を引っ張れば外の肩から逃げて膨らんで埒にぶつかることもあり得るそうな。
なんとか駈歩を続けようとしっかり外側の手綱を持って内方脚も使っているからできることなのだと教えてもらう。
「はい、もう一度」
「コーンのない長蹄跡を走らせている時は馬をリラックスさせて走らせて下さいね」
「短蹄跡を回り込むころから、ぴしっと気持ちを引き締めるように乗って」とごんちゃん先生の声がかかる。
「よしっ、いいリズムで蹄跡回ったぞ」とその先のコーンを探すと…
なに〜、中央線より向こうにある!
「遠いよー」と叫びながら、コーンの向かい側を回って蹄跡に戻ってこようとするが、こうなるとどっちが外方と内方になるのか完全に混乱してしまう。
こんなスカスカの扶助でも駈歩を続けてくれるのは【山桜】の愛があるから。
「取りあえず最初に指示された手前で何があっても駈歩を続ければいいんでしょう」と真面目にやってくれるから、形になるのだ。
普通の馬なら、とうに速歩に落ちている。
どんな風に乗ればいいのか混乱していると、
「【山桜】には『途中何があっても大丈夫だよ、そのまま駈歩を続けていればいいんだよ』と言い聞かせるように乗って下さいね」とアドバイスがある。
「じゃあ今度は…」とコーンをもうひとつ増やして、また別の場所に配置する。
「コーンの外側をそれぞれ回ってもらいますけれど、コーンの間に私が立っているところは蹄跡側を通り抜けて下さい。」
どうも全体の図形のイメージがつかないが、とにかくコーンと先生の間を大きく蛇乗りすればいいのだな…
駈歩でスラロームするには60mの馬場でも狭く感じる。
左右に行くぶんにはかまわないのだが、どっちが内方でどっちが外方かわからなくなって、外側のガチッとした支えがハラリとほどけてしまう感じ。
わけがわからん。
■レッスンが終わってから気がついた。
駈歩での山型乗りだと思っていたのは、駈歩3湾曲の準備だったのだ。
2番目の湾曲をだんだん深くしていって上手くできるようになったら、1、3湾曲目も形を付けていくという駈歩3湾曲のシークエンスをとにかく一通りやってみたというのが今日のレッスン。
【山桜】なのでわけわからん扶助でも、それなりに動いてくれて雰囲気が味わえるというお試し編だったのだ。
■「『反対駈歩の練習』と言うと皆さん、難しいことをするのだと緊張してしまって、かえってガチガチに力が入ってしまって上手くいかないんですよ」
「今日のように『そのままの駈歩を続ける』っていう気持ちで乗っていれば、バランスだけで馬はどちらにも動いていけますからね」とごんちゃん先生が楽しそうにおっしゃる。
うへぇ〜、これって駈歩クラスに進級したばかりの人の方が力が抜けていて綺麗なフォームだったり、初級クラスの最初で駈歩巻き乗りができたりするのと同じ原理ではないか!
変な所に力が入ると途端にできなくなるのだ。
〈イノセンス〉って求めて得られず、そこにある時には気がつかずという厄介なもの。
とにかく、駈歩3湾曲をやってみたことがあって、とりあえず湾曲は浅いけれど駈歩は続いたということだけは記録に残しておこう。

■ふた鞍目は【チャンドラ・グプタ】
【霧丸】と障害アリーナで2騎部班となる。
■【グプタ】の駈歩はやる気になると結構速い。
「内股の力を抜いてどっかり座って、腹筋背筋で支えて!」
「後ろに乗ってあげれば、首は下がってそれ以上速くなりませんから」とごんちゃん先生の声が飛んでくる。
よし、腹筋背筋使えと言われれば指示に従って動くことができる自分に満足。
特に怖いと思うこともなく平気でいられる。
■駈歩の左手前の回転がどうしても膨らんでしまい、無理矢理曲げると速歩に落ちる。
駈歩を続けるようにと勢いにまかせて曲がろうとしている自分に気がついて、3回目には外側の手綱を意識してみる。
内側の拳をゆずるようにして外側にしっかり力がかかるように駈歩に乗っているとすんなりカーブを走り抜けてくれる。
やはり駈歩も勢いではないのだ。
外方の手綱(ハミ)が鍵と見た。
■ひろいアリーナを思いっきり駈歩で走ったあとは、速歩も気持ちよく動いてくれる。
寒い日なのにしっかり汗をかいてくれた【グプタ】
楽しかったよ、ありがとう。

*** 追記 ***
■ごんちゃん先生のレッスンで稀に取り上げられる〈お試しエクセサイズ〉は、1993バージョンの第3課目の運動項目だった。
実力以上の背伸びをさせてもらうのは、今やっていることの意義がよく分かるという点でありがたい。
内方脚の位置とか外方手綱の重要性なんて、ただ蹄跡周回駈歩をしているだけでは切実に感じられないのだから。
中高年のスポーツは、上達の筋道とか基礎練習の意義とかを頭で理解してからでないと身体が動かない。
まあ、私が乗馬日記を書くのも、やっていることの意味を求めているからなのだが…
すっごい頭でっかちである。
身体が動かないから、しょうがないんだもん。


622鞍目  [第15章]

 2008-01-19(Sat) 初級クラス 通算622鞍目
■なんだかなあ、飛び石で騎乗していると積み重ねていく手応えがなくて困る。
平日のほとんどを馬に乗っていた頃は、「今日教わったことを明日検証する」という連続性があったのに今は「次は来週半ばまで馬に乗れない」という状態。
しかも「今日ダメでも明日があるから」という寛容さが減って、「今日しか乗れないのに」という焦りが滲み出してくる。
毎日のように乗れる人がうらやましい。
ああ、うらやましい〜。ねたましい。ちきしょー。
人をうらやんでも仕方ないと思いながら、めりめりと膨れ上がるマイナス感情である。
■本日は、4%先生が研修で不在。
2年ぶりぐらいにビギナークラスの先生にレッスンを見てもらう。
私のお相手は【山桜】、他の人が【毒うま】【アウグスティヌス】に乗って3騎部班。
■レッスンは、大まかな運動を一通りやってみるという感じで終始。
先生からは、
「軽速歩の手前を合わせましょう」
「駈歩で漕ぐように馬をおっている場面があるから、もっと力を抜いてそのまま乗って」と2点を注意される。ううむ、いまだに手前合わせが混乱しているのは、認める。
さらに【山桜】の駈歩を「もっと走って!」とせき立てているのも、認める。
誰が見ても、やっぱりダメな所は目につくのだ。
■今日の駈歩では、後ろから【アウグスティヌス】がすごい勢いで差してきていた。
【山桜】がいきなり駈歩を更に加速させて走り出したので、何事かと驚くと、まるで競馬状態の後続馬。
駆歩しながら後ろを振り向くゆとりがあったが、少し前の自分なら緊急停止ボタンを押していただろうなあ。
ただ、加速してからの【山桜】は、駈歩が前に出てくれて手綱も短くとれるようになって自由自在の領域に入る。
やはり、のったりと動いているだけではそれ以上どうにもならないのだ。
扶助に鈍感にならないよう、手綱や脚を使ったら譲ってゼロにもどすことを心がける。

■このところ、乗り心地が良くて操作性の高い状態になるのに、まったくの偶然を頼らなくてもよくなった。とは言え、結局は前進気勢がないとそれ以上何もできないのも身にしみてわかった。
上手な人達が、拍車や長鞭を必携している心情がわかる。
半年前なら「重くてほとんど動かない馬に乗るわけじゃないのに、枝の長い拍車をつけるなんて」と怒っていたのだから、おかしなものである。
私自身は、相変わらず先丸の一番小さい拍車をつけるのがせいぜい。
いまだに「脚を強く使おうとすると膝が上がってきますよ」と4%先生に注意されているレベルだから、馬への実害が少ないものを選んでしまう。
■何をするにも、馬を前に出さなければ始まらない。
これまでの「部班に遅れなければそれでよい」レベルではないのがつらいところ。
もっと前に、もっと動いて、もっと、もっと。
■私達が、ランニングシューズの履き心地の違いで、どんどん走りたくなったり、走るの止めたくなったりするように、馬たちも騎乗者によって軽々動けたり嫌になったりするのだろうなあ。
馬が走るのが楽しくなるような、そんな騎乗者バランスを身につけたいものだ。


621鞍目 [第15章]

 2008-01-17(Thu) 初級クラス 通算621鞍目
■朝、目を覚まして窓の外を見たら真っ白!
雪が積もっていた。
しかし、どんどん解けてきて、騎乗する頃には日陰に残るだけになる。
■本日は【山桜】がお相手をしてくれる。
【アウグスティヌス】と【青雲】との中初級合同クラス、3騎部班になる。
障害用アリーナで4%先生のご指導を賜る。
■【山桜】は、左に向きたがらない。
以前は左手前の回転運動等ができない状況になって初めて、左右差があるなあと自覚していたのだが、いまはもっと微妙な所で違和感を感じる。
左の内方姿勢をとらせようと思っても、内側に向きたがらず、外方の手綱に手応えがなくて内側だけがぎゅうぎゅうときつくなってしまうのだ。
「あ"〜 外側が心もとないよ〜 内側の拳を緩めてあげられないよ〜」
「あ"~気持ち悪過ぎる〜」
結果、輪乗りは小さくなるし、こまやかな扶助が伝わらない。
■反面、右手前は外がびしっと決まって、輪乗りの遠心力が外側のラインに沿って動くのがよく分かる。
手綱はマーク3番目を持って、内側を譲ってあげることもできる。
上手くいっている時は、手綱や脚の扶助が丁寧に細かくできるし、馬の反応をきちんとわかる。
ああ、それなのに、それなのに。
■どうやったら、向きたがらない左を向かせて、左内方姿勢をきちんととれるのか。
内方脚をかなり意識的にぐんと使うのが、最初だろうなあ。
ちょっと強めに押し出して、それを外方でうけて、内側の手綱で内側を向かせて、ちゃんと内方姿勢がとれたら譲ってリリースという手順だろうだあ。

■最近の〈内方姿勢の練習〉から学んだことは、内方姿勢がきちんと取れていると驚くほどスムースに馬が動くということ。
特に駈歩発進は、内方姿勢そのままの体勢からトンと離陸できるのだとわかった。
リズムの変わらない滑らかな回転やフワッとした駈歩発進、ストンと決まる下方移行など、どれもこれも内方姿勢があってこそ。


620鞍目 [第15章]

 2008-01-14(Mon)成人の日 初級クラス 通算620鞍目
■この冬一番の冷え込み。
明け方の最低気温は −5.1℃ 
朝一番の馬装時は、まだ 0℃代の寒さ。
そう言えば、2年前の最高気温が0℃しかならなかった極寒の日にも馬に乗ったのだった。
馬の傍にいれば寒さはあまり感じない。
■本日のお相手は【ベルベットシート】
4%先生のレッスンで【毒うま】との2騎部班。
ビギナー用馬場が凍りついているので、変則的に初級は障害アリーナを使用する。
砂が深くて足元が不安なのか、いつになくふわふわの乗り心地の【ベル】
きっと肢をあげて歩いているんだろうな。
やる気のない時の引きずるようなべったりした歩き方に較べると10倍も気持ちいい。
■この【ベル】さん、先頭の【毒うま】の近くにいたいようで、わざと別方向に進もうとするとひどく嫌がる。
部班仲間の馬じゃなくて私とペアを組んで欲しいのに、困ったものである。
【毒うま】は高速馬で扶助に敏感に反応する馬だったので、いつも部班の先頭を務めている。
ところが最近、エンストを起こしたりと前が詰まる事態が頻発。
駈歩発進で待たせたり追突防止のために脇へ逃げようとすると、【ベル】は「なんなのー!」と内側に切れ込んで反抗を示す。
そこを「ちょっとダメじゃない!」「しっかり駈歩出してよ」と外方脚を強く使うと後肢で跳ねる。
ごめんごめん、拍車を後ろで強く使うのは【ベル】にとって「ひどく嫌なこと」だって知っていたのに…
以前のようにいったん反抗されたら最後まで引きずるということはなく、輪乗り半周ぐらいのうちにおさまるのだが。
「前の馬を追いかけちゃダメ」と言うたびに【ベル】と喧嘩になるのは、けっこう恥ずかしい。
■4%先生は、
「手綱が長くなっている時に反抗されやすいですねえ」
「それと、反抗した時はそのまま走らせるのではなくて、いったん止めるつもりになって下さい。」
「間違った方に行くのを阻止してから、正しくやらせましょう」
「その方が反抗に上手く対処できるようになりますよ」とアドバイスくださる。
そうなのかぁ、肩から逃げる時など、まず前に出さなければ正しい方向に向けることすらできないと何があっても推進が第一と考えてきたが…
今回の場合は、内に入ってきても後退しても、後っ跳ねしても、前に出そうと脚をぐいぐい使ったのがかえって悪かったか。
ただぐいぐいやっているだけじゃ、何が正しくて間違っているかをわかり難くしたのかも。
ううむ、【ベル】と仲良くやっていくにはまだまだ10年早いか。
■しかしながら、馬場のせいなのか駈歩速歩とも乗り心地がよくて、楽しい。
外側の手綱がビシッと決まって、人の重心が馬とぴたりとあって動けるのは、ほんのわずかな時間だけ。
すぐにぶれて逃げてつかまえるのが難しい瞬間。
でも、この輝くような瞬間をつなげて長くしていくのが、これからの楽しみでもある。
ああ、もっとたくさん乗れるようにならないかなあ。


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